第02稿04話~ヒットマンVS経験値スレイヤー3~
__魔銃使い|双子自室
「失礼するぞい」
ライダーが出てって少しして学園長が入って来た。扉から。ライダー無駄足ぇ。
「学園長。何かあったのか?」
「クライン王子が倒れたんじゃ」
「……兄上の状態は?」
「まだ予断を許さない状態じゃ。毒を盛ったと思われる賊も同じ状態でな。賊はもう捕まっておる」
クライン王子と賊が同じ状態……?毒……?
「どういう症状なんだ?」
「王宮治療術師が見ておるのじゃが、解毒が出来ていないようじゃ」
チラチラと学園長が視線を送りつけてくる。
「神級術師でも解毒が出来ないってそんな毒を賊が用意出来るのか?」
「あ、すいません。ちょっと用事思い出したので失礼しますね」
待って、解除出来ない毒がクラインとか言う王子と賊に症状として出てるって言うのに何でカタナから連絡がないんだ。何かあったのか?部屋か?そうだPTの装飾品で場所が大体分かるんだったな。……トキトーの部屋か。
2階に上がると、トキトーの部屋の扉が吹っ飛んでいた。扉からはカタナのスキルである血の腕がゆらゆらと出ている。
「ちょ、マジか。これはマナの暴走だよね。何があったんだろ。取り敢えずトキトーとミミック生きてたら良いなぁ」
背負っていた魔銃を構える。カタナ殲滅作戦開始!
「ファイアファイアファイアファイア」
急ごう、トキトー君の血が無くなる前に。忍者の血の腕を魔弾で吹き飛ばしていく。
コイツ相手にするときはマナポが必要かな。チャージするよりも手数で攻めた方が早く削れるからかなりマナを消費する。
魔弾を100撃った辺りで、やっとこさ扉の代わりになっていた血を吹き飛ばせた。中に入るとトキトーがカタナの攻撃を凌いでいた。ミミックは……あの血の塊の中か?ヤバそう。早く本体にトドメ刺さなきゃ。
しかし、トキトー良い動きだね。レベルもあるだろうけどレベル詐欺の忍者をあそこまで凌いでるのは凄い。
まずは血に覆われてる本体の方のバリアっぽいのを割ってから中にブレイズ打ち込めば何とかなるだろう。
なぁにアイツは忍者だ。死にはしないだろ。
「鷹の目」
鷹の目スキルでバリアの薄い所を探す。
「ストーンゲイルブレイズセット!ロック!」
ストーンは土の魔弾で貫通力に、ゲイルは風の魔弾で発射した瞬間の威力に優れている。
セットした後、魔銃が手から離れ薄い部分を射撃できるように移動する。
「ファイアファイア!そしてトドメだファイア!」
円錐状の岩の塊が血のバリアにめりこみ、吹き荒れる風が岩を押し込み穴をあける。そして穴に注ぎ込まれる溶岩の様なブレイズ。
注ぎ込んだ後、浮いていた全ての赤黒い血が地面に落ちる。ミミックはどうやら宝箱の中に入っていた様だ。
地面に流れる血がカタナの元に集まって行き卵みたいな見た目のオブジェになった。
「びっくりした。マジでびっくりしたぞ。なんだアレ。超怖かったんだが」
「良かった無事そうだね」
「ミミックは?」
「宝箱の中かな」
さっき鍵穴から血が出て来てたけど。中は大丈夫なのかな……何か開けるのが怖い。ミミックも生きてるなら、この考えてる間に顔出してもいいのよ?出してくれないか。よし、開けよう。開けゴマ!
「ハァッハァッ」
なんか、くたってるミミックが入ってた。てか下半身付いてるじゃん。ほぉほぉ、アイツはエロ触手的な事をこの子にしてたのか……?
「生きてるみたいだな。とりあえず……閉じておくぞ」
「そうみたいだね。物質系だからスケルトンとかと一緒で血が無いから無事だったのかな」
「良かった良かった」
「トキトーは良く無事だったね」
「何が効くか分からなかったから片っ端からかけたらスロウが効いた」
「君、状態異常無効貫通でも持ってるの?」
「あぁ、似たようなものなら」
「そっか、間ぁ何にせよ無事で良かった」
「ところでこの卵はなんなんだ」
「その前にカタナに魔力込めたりした?」
「あぁ、魔道具を使わせようとしたけど」
「魔道具かー使えなかったでしょ。アイツ体内魔力を全部血に混ぜちゃうみたいで」
「あぁ、だから魔道具に血が這ってたのか」
「……そう言えば、そこの空き瓶達は」
「マナポの瓶だ」
「納得、原因は魔力酔いか。アイツ体内の魔力を殆ど空っぽの状態にしてるからマナポで酔う。で、魔力を込めてる、あの血の制御もおぼつかなくなる。さらに血の魔力が濃くなるから薄める為に血を求めて血の腕があっちこっちいくから被害も大変。誰か死んでたかもしれないから、次からは気を付けてね」
「……すまん。知らなかった」
「いや、こっちもカタナがマナポを飲まされる想定をしてなかったから説明しなかったんだ。こっちの落ち度だったから次から気を付けてくれれば良いよ」
「死にたくないし。留意しとこう」
「ん、卵の状態は適当に解除されるからそれまで放置で」
さて、部屋で壊れたところは扉だけか。スロウ強いな。攻撃力低下と速度低下の効果があるみたいだ。あとガード不能かな。
「扉壊れちゃったね」
「大丈夫だ。問題ない。すぐに直せるから」
トキトーは吹っ飛んだ扉を持つと修復を始めた。
「部屋の移動はしなくて良い?するなら学園長に伝えてくるけど」
「壊れたところは少なかったし大丈夫だろう」
「用事が途中で来ちゃったから戻るよ。あとよろしくね」