第02稿03話~ミミックと遊び人は生産職3~
__遊び人|市場
どうしてこうなった。王都は何時から世紀末になったのだろう。市場迄の道で絡まれる事、数回。これは明らかに敵意だ。
そしていつの間にか囲まれていた。
「トキトー様、これは私達の客人かな?」
「多分、俺の客人だ。フィオの事を頼めるか?そうだな冒険者ギルドで待ち合せよう。それと敬称は要らん。今は一学生だしな」
「分かりました。トキトー、私の仕事は荷物持ちではないと言う事ですね。フィオ様のボディーガード、この光の騎士シャイン・シャイニングが承りました」
うわぁ、眩しいな。厨二心をくすぐる台詞だ。
さて集まってる人数は7人。顔は既に覚えた。空気の呪いの力を見せてやろう。
2人と別れ裏路地に入る。そして待つ。
すると2人組の男が裏路地に入ってくる。
「は?糞、見失っちまったか?」
「急いで追いかけないと」
目の前に居るのにまるで見えてないかのように2人組は振舞う。
実際、空気の呪いで見えていない。これはデバフではなくバフだと思う。
『こういう使い方だと確かにバフに見えるな』
後ろに回って無詠唱で麻痺をかける。パラライズ。ターゲットを2人組にする。
状態異常強化されたパラライズは相手の行動を封じる。
普通の麻痺だと甘いからその場に崩れたりするが強化された麻痺はかけた時の状態で固定化される。
ぶっちゃけこれで心臓にナイフ付き刺せば殺せるじゃんとか思うだろう。
だがしかし、遊び人の圧倒的攻撃力の無さにより。職業魔法使いの皮膚を貫くのにも一苦労する。
よってこの状態にしても口を塞いで窒息死させたり、毒を与えて毒殺するくらいしか出来ない。
継続ダメージなので結局どちらも時間がかかる。
この世界にはレベルが上がると目に見えて体力が増量されるので。かなりの時間がかかるのである。
『じわじわと甚振るとは鬼畜だな』
もっと上の級の状態異常には一瞬で相手を溶かす魔法があるらしい。俺も覚えたい。
『アシッドか……でもアレも一応継続ダメ系だぞ?威力は高いけど』
なんと慈悲は無いのか。
『相手にとって即死は確かに慈悲だな。と言うか毒精製で一応、酸も作れるぞ』
ナンダッテー、あれって指先から出るし。毒は無効だけど酸も無効に出来るのか?出来なかったら手がスケルトンになるが。
『溶けはしないがヒリヒリする位かな。鉄も全部溶かすから現状持ち歩けないのが弱点だな。高純度のガラスなら行けると思うが』
「なんだ?お前らどうした」
追加が来ました。1人か……試してみよう。パラライズ。そしてアイアンクロー。からの毒精製。
「っっ!?」
手のひらから酸が精製されジュウジュウと音を立てながら顔面を焼いていく。自分の手のひらも少し痛い。
手を放す。男も結構レベルが高いのか肌が焼け爛れている位だ。
『継続して精製しないと駄目そうだな。質より量だ』
あとの4人は……遊び人のステータスは素早さ重視型だから追いつけそうか。
棒手裏剣を取り出し麻痺毒を塗る。
『お、使うのか』
ここは死角だから寄らないならこっちから出向こうかなと思ってな。
『転生者じゃなかったらアイテムマスターにもなれただろうな』
アイテムってダメージは品質で固定っぽいからな助かる。
さてと取り出してる間に様子がおかしいと気づいてこっちに来ているのが2名、待機してるのが2名か。
『どっちから行くんだ?』
レベル100越えのスピードを見せてやる。待機から処理するぞ。逃げられても面倒だし。
路地を出ると目的の2人はバラバラにこちらを監視しているようだ。
……この距離ならパラライズ届くんじゃないか?
いや、よしておこう。キッチリと背後を取ってからかけないと。
状態異常魔法効果UPのお陰で成功率は上がっては居ても相手によっては100%ではない。
攻撃を当てると相手への空気の呪いも切れる。つまり相手からの反撃を貰う事がある。
よって基本的に背後を取って状態異常魔法を連打が安定。それに振り向かれなければ掛かってない事になる。
どっちから行くか考えていると目の前に赤黒い玉が浮かんでいた。
とてもとても丸い玉だ。これはござる忍者の玉だ。何でこんな所に?
と思ったら小さい棒人間になった。何か腕を振っている。
『あっちを指さしてるんじゃないか?』
成程、あっちをやる……なのか?それとも、あっちをやれなのか?
まぁ、行った方の反対に行ってくれそうな気がするから左手の奴をやろう。
走って後ろに回る。パラライズ。上級の状態異常は強い。動きを止められるスキルは上級からだしな。
頑張って上級が使えるようになるまで釣り上げて地面で跳ねる雑魚相手に状態異常魔法を使いまくったかいがあった。ふむ、マナポといい魚に感謝しないといけないな。
取り敢えずパラライズした奴は放置して路地裏に戻る。