第01稿01話~入学3~
__遊び人|修練場―実技試験
<皆さんステータス測定を開始します。ペアと一緒に指定された番号の所まで来てください>
「番号……あそこか行こうかユウ」
AAの番号を見つけて声をかける。
「うん!行こう。皆また後でー」
「どうおもう?」
「遊び人か、誰でも成れる職業だが選択するような者好きは居ないと思ってたが」
「居た。転生者はジョブの系統が固定化される。もしかしたら可能性はある」
「じゃあ、伝えてきますね」
聞こえてるんだけど。え?誰に何を伝えてくるの?
『面白そうな事になりそうだな』
嫌な予感しかしない。
『どれに対してだ?模擬戦か?その後か?』
両方。
「ステータス測定を開始しますね。勇者様、石板にお手をお願いします。」
AAの担当の人が勇者の案内をしている。
「はいはーい」
勇者は振り上げた手のひらを石板に叩きつける。ピシッとか聞こえたけど大丈夫か。石板に文字が浮かび上がってくる。
「……凄いステータスです。魔法もかなり強力な物を使えるんですね。はい、問題ないです」
何だと、魔法迄みられるのか……やばいかな?
『補助魔法と状態異常魔法は一通り覚えたんだっけか』
「あ、そっちのペアの人も適当に石板に手あてて」
案内雑っ。
「はい、分かりました」
指示に従い手を触れるとステータスが順番に表示されていく。
「へぇ、職業遊び人の割に君ステータス良いね。ってL100越え……?」
この世界では調合や錬成、アイテム作成などの成功でも経験値が入る仕様だ。だから引きこもっててもLが上がる。真面目に色々作って遊んでたらL100超えてました。
そんな事を考えていたら、石板がバカっと割れた。
「凄い量の魔法を習得……ちょ、石板割れた」
「え?何で?」
こんなにも目立つ事が連続するんだ。
『クックック、さっきの勇者のビンタが決まったようだな』
あれ攻撃判定だったのかよ。まぁ、ひびが入るような音もしてたしな。
勇者様、手のひらで瓦を割る。いや、石板だけど。
「これは……新しい物をお持ちしますね」
そう言って係の人は走り去っていく。
「あわわ、もしかして私のせい?べ、弁償しないといけないのかな?」
もしかして勇者は力加減が出来ないのだろうか?成程、さっきフールが言ったように防御バフをかけといた方が良さそうだ。
「お待たせしました」
係員が持ってきたのは石板ではなく鉄板だった。何かグレードが上がってる。
「手で触れてください。こっちの方が情報が見やすいので」
「あのぅ、弁償しないといけませんか?」
「気にしないでください。長く使ってる石板は壊れやすいので」
「そうですか。良かった」
鉄板に触れる。石板と同じくステータスが表示される。しかし石板とは違い一瞬で表示された。
「嘘……私よりレベルが高い」
「なん……だと?ユウは今幾つなんだ?」
「いま41レベル。凄いねユウは」
『何か自画自賛してるみたいで滑稽だな』
「はい、大丈夫です。しかし凄い量の魔法を覚えてますね。属性攻撃魔法は覚えないんですか?」
「遊び人一筋なんでレベルはアイテム作成とかで勝手に上がってった感じだ」
「そう言えば遊び人系職業は攻撃が……」
「正直言って勇者と模擬戦ってマジかって感じです」
「あー、まぁレベルのお陰でステータスは攻撃以外は想像よりも結構良い数値ですから大丈夫だとは思います。頑張ってくださいね」
「さて、模擬戦に入りましょう。そこの青く光る四角いラインの中で戦って貰います。武器、アイテムの使用は有り。場外で負けです」
フィールドは50m×50m位の大きさだ
俺とユウは陣の中に入り向き合う。
「では、始めてください」
「ライトエンチャント!」
え?エンチャント!?ヤバイ。防御バフと光カットの魔法を重ねがけ!更にシールドも追加!あと攻撃デバフ付与……あとあと。
「行きますっ!ブレイブソード!ファーストギア!!」
速すぎる。剣に走る光が複数の歯車の形をとる。時間がない。あ、そうだスロウをかければ時間が作れる。通るか?勇者に。スロウ!
「あ……」
良かった無事に通った様だ。
『クックック』
なんだ、何笑ってる。
『何でもないぜ。クック、続けろ』
そうだ、ディスペル使えばライトエンチャントは消えるんじゃないか。
消えました。後はスロウを解除してこの剣を受けて場外に行くだけだな。
スロウを解除すると一瞬で剣がこちらに来た。シールドの割れる音がした。多段攻撃じゃないか!
バリバリと音を立ててシールドが破壊され肌に触れるバチッっと音がして。
俺は壁に叩きつけられていた。成程、ノックバック攻撃……。エンチャント要らなくね?
衝撃に肺の空気が全部出され息が出来なくなり、気絶はしなかった。が、壁が崩れてそのまま後ろに倒れる。
『アッハッハッハ』
なんかめっちゃ笑ってるし。
『お前光カット使ったのに光エンチャ消すとかマジ笑える』
あ、光カットが意味をなくしてたか。焦り過ぎてて忘れてた。
『それにお前アレ受けたのに無傷だぞ。怪しまれるんじゃないか?』
「……ヒール!」
ヒールを使ったアピールをしてから立ち上がる。ここで初めて魔術を使った扱いだ。今までは固有スキルの無詠唱スキルを使ってバフとデバフをかけていた。
「いてて」
痛いフリをして壁の向こうに行く。
「だ、大丈夫!ユウ君」
「流石レベル100越えのヒール。全回復か、しかも勇者にも少しでも通用するスロウも持ってるとは」
あ、そうだったスロウは周りからでも判断出来る。
『忘れてたなお前。まぁ、良いじゃねぇか遊び人は目立ってナンボだ』
目立ちたくなかったから勇者に一発貰って負けたかったのに……
「凄いね。ユウ君無傷だ。」
君はバカなのかな?
『だから言っただろアホだって』
「ヒールしたからな。流石に手加減してくれると思っていた」
「ごめんね。学園長に手加減禁止って言われてたし君も言ってたから最初から全開で行ったの」
「殺す気か……」
「見たぞい。成程、良い身体してるのぅ」
声のした方を見ると髭を蓄えた筋骨隆々な爺さん、もとい学園長が居た。
「ふむ、成程。お主のクラスは特待生クラスじゃ。ユウ・キサラギが場所を知ってるので案内してもらうと良い」
『良かったな。勇者と同じクラスだぞ』
マジかよ。
こうして、この学園でのクラスが決まった。予定が大幅に狂っている。
『こうなったら引っ掻き回して遊ぼうぜ』
2023/04/30 書式などを調整。
レベルが高くてもステータス補正が微妙なので悲しい遊び人。しかし、出来る事が多い。
それでは皆様また次回。