第02稿01話~学業・国や魔族、瘴気について2~
「にしても卒業前に一回ユウ君の家行きたいなー。駄目?前提に仲良くなろ!」
そこまでの関係だっただろうか。
前提か。
ん?何の前提に仲良くなるんだ?
家に紹介する理由で仲良くなるって事か?
うちの領に挨拶したいって話かな?
『現実逃避しながら返答すると碌な』
「あー、別に家に紹介する位なら大丈夫だが。勇者との縁はうちの領としては欲しい所だしな」
『事が無い。って遅かったな』
「お、おぉぉぉやった!やったよ!」
「そんな約束して大丈夫か?」
ロックオンがちょっとイケメンボイスで問いかけてくる。
「ん?まぁ、領民の事考えたら勇者と縁を作っとくのは大事だと思ってな。忘れてたけど次期領主候補だし。俺、長男だったわ。待て、帰ったら忘れられて養子が増えてたとかショックだけど」
「トキトーは一人っ子なの?」
「妹が2人……いや3人ほど居る」
「へぇ、じゃぁ養子よりも入り婿で領主候補が居たりして」
「止めてくれ。マジで居そうだし。領主継がなかったら無職になりそう」
「そろそろ話戻して良いかのう?」
「すみません。どうぞ」
「では次に瘴気についてじゃ。
瘴気と言うのは人の住めない地域に存在する空気の様な物。と言ってもメッチャ濃い魔力なんじゃが。
土地が淀み魔力を垂れ流してしまっていてな。人に悪影響を及ぼすのじゃ。
魔物や魔族が何故、そんな土地に住めるのかと言うと魔石を体内に宿しているからじゃ。
魔石と言うのは体内の魔力を安定化させる役割を担って居てな。
瘴気による魔力圧を中和してくれるのじゃ。
よって魔石のある魔物や魔族は瘴気の土地に住めるという訳じゃな。
しかし、魔物がこちら側に来ると体内の魔素を放出したがり興奮し人を襲う。
なのでこちらに来た魔物は人や生物に対して敵対的じゃ。なので魔物討伐は終わらないのじゃ」
「向こうに討伐しに行けばいいんじゃないの?」
勇者の質問タイムに入ります。
『なんか、いや。何でもない』
「ふむ、何故、人が過ごしていけないか。それは人の体内に魔石が出来るからじゃ。そして、魔石が出来ると魔族となってしまう。そうなってしまうとこちらに来た時に理性を失って暴れる事になる」
「長時間居れないのかぁ」
「しかし、天啓で勇者と診断された勇者とそのPTは勇者の加護により魔族化を防げるのじゃ」
「じゃぁ私達が魔物を駆逐すればいいの?」
「魔物を倒すと魔力が放出される。それは世界パワーバランスを崩す事になる。瘴気の範囲が広がり自分たちの首を絞める事となるのじゃ」
「……ん?じゃぁ勇者は何するの?」
「人に害なす魔物を討伐するのが仕事じゃ。逆に最低限の魔物処理に留めなければ世界は瘴気に包まれてしまう」
「瘴気を無くす方法は?」
「捜索中じゃ」
「へー」
「……と言う訳で魔王とは今の所友好な状態であるのじゃ」
なぁ、フール。
『なんだ?』
俺らなんの為に転生したんだ?
『この世界をより良くする為だ。と言っても俺とお前は自由に過ごせるぞ。だって魔物退治を強制されない立場だからな。遊び人と言うのはそう言う事だ』
俺、何か貢献出来てる?
『お前が貢献してるのは料理とかだな。お前が作ったお陰で領内で醤油や味噌に調味料が作られるようになったし』
魔物退治が出来なくても貢献は出来てるのか。
『そもそも戦闘向いてないの他にも居るしな』
お前、最初最弱だって言ってたのにそこそこ戦えたしな。
『単純にレベルの暴力だ。まさか生産しまくって脅威的なレベリングするとは思ってなかった』
財力があるなら生産でレベリングした方が早かったしな。
『生産での経験値って微々たる物なんだけどな』
しかし、分かった勇者はうちの領の飯が食いたいんだな。
『おーい、脱線してるぞー現実逃避は止めろ』
駄目か。料理振舞ったら許してくれない?
「ふむ、長期休暇は勿論ある。その時に帰省なりなんなりに付いていくのは問題ないぞい」
問題あるよ。てか爺さん突然何でプッシュしてきたんだ。
「ダンジョン攻略の実技を彼の領地でやるという方法もあるぞい!」
倍プッシュだ!!
「本当!?」
勇者が食い付いたようです。
「勿論じゃ。儂はお主たちの希望はなるべく叶えてやりたいからのう」
俺の、俺の希望は?そのお主達に俺は入ってないのかな?
「ただ、僕達は未探索のダンジョンじゃないとやる気が起きないんで実技の方は僕達行かないと思います」
天の助けはロックオンだった。
「未探索のダンジョンを探しておこうとするかのう」
見つからない事を祈ろう。
「先に家族から……それも良いかな。領主に挨拶は当然出来るよね」
帰ったら外堀埋まってたらやだなぁ。