第01稿01話~入学2~
__遊び人|修練場-実技試験
勇者PTと一定の距離を取りつつ追跡する。
『お前真面目だなぁ』
「もともとの性格だ。バレないと分かっていてもバレる前提で行動してしまう」
『まぁ、確かにスノウとかいう転生魔術師は反応してたしな。見てて飽きないから良し』
実技試験のペアを決めるくじ引きがある様だ。内容は知らないが最後はペアとなった相手との模擬戦があるのは確定してる事は分かっている。
「クジ運か、幸運には愛されてないと思うが」
『遊びの神には愛されてるぜ。保証する。だって俺だもん』
順番が来る……クジを引いた。
「マジかよ」
「栄えある勇者のお相手はAAのクジを引いたものだ!」
アナウンスが流れる。
俺のクジに書かれた文字はAA……つまり勇者とペアだ。勇者は勇者PT内でクジしろよ。どうして一般人と組ませるんだよ。
「はい、俺です」
実技試験、名乗りをあげない訳にはいかない。だって入学出来なくなるし。
「勇者のペアが名乗りを上げた!」
空気化の呪いは話しかけると一応は認識してもらえる。あとは攻撃するとかしても認識してもらえる。
「君が私のペア?」
ユウ・キサラギ。勇者が話しかけてくる。
整った顔立ちに漆黒に塗りつぶされた目。吸い込まれそうだ。
「あぁ、そうだ」
「私はユウ・キサラギ。勇者してるよ!」
「俺はユウ・トキトー。職業は遊び人だ」
「……同じ名前?遊び人?どっかで会った事ある?」
「俺は勇者を知ってるが実際会ったこと無い」
「そっか、どっかで会ったような気がしたから」
「そうか、取り敢えず。何で一般職が勇者と組まされるんだ?滅茶苦茶不利じゃね?」
「分かんない。特別扱いはしないって事じゃないかな?」
「いやいや、してくれないと俺の様な奴が……」
『話弾んでる所悪いが注目されてるぞ』
勇者と話してるだけで空気の呪い解除されるのか?
『それだけ勇者が目立つっつーより男と話してるからかもな』
確かに周りを見ると、誰だって顔しながらこっちを見てる。
「あ、ごめん。目立ちたくない?」
「いや、そう言う訳じゃない」
「そっか、よろしくねユウ君」
「せめてファミリーネームの方で呼び合わないか?」
「え?お互いに呼び合うなら大丈夫じゃないかな?」
「分かったユウさ……」
『おい馬鹿。呼び捨てだ』
「……わかったユウ。よろしく」
危ない危ない。この世界は基本的に呼び捨てだった。つい君付けで呼ばれて普通に返すところだった。
『転生者だってバレないように行動するつもりじゃなかったのか?』
はい、そうです。言ってくれて助かった。
「……」
プリーストの装備に身を包んだピンクオブピンクの髪の子が女の子が金色の眼を光らせながらジーっとこっちを見てくる。
「ん?ココノどうしたの?」
「んーん、なんでもない」
何だか怪しまれてるような。
「初めまして。えっと勇者PTのヒーラーの人だよな」
『違いねぇ』
「私の事も知ってるのですか?」
「同い年だし砕けた喋りで良いよ」
「そう?じゃぁ、私はココノ・コロ。よろしくトキトー君」
さて、とりあえず実技をするとして。なるべく目立たない様にしないとな。
『返事忘れて長考モード入ろうとすんなって』
「あ、うん、よろしく」
空気化の影響か自分に対してフール以外の他から声掛けられる事がないので返答を忘れる。
「……ここじゃ人が多いもんね」
「はい?」
「ううん、なんでもない」
やべぇ超怪しまれてる気がする。
「そう言えばユウ、実技の流れはなんだ?」
「ステータス測定と模擬戦だね」
「マジか、マジで勇者と模擬戦しないといけないのか……」
「まぁ、心配しなくてもセーブするよ」
「いや、しなくていい。圧倒して倒してくれ。そうだな一発で気絶させる感じで頼む」
「え?何で?」
「痛いのは嫌だから一発で終わらせて」
『情けねぇ。倒しちまえば良いのに』
おいおい。勇者に勝っちゃったら勇者PTに目付けられちゃうだろ。
「えぇ……それでいいなら良いけど」
『なぁ、防御系のバフかけまくっといた方がいいと思うぞ』
え?どうしてだ?
『ぜってぇアホだからだ』
え?
2021/01/01 聖女と勇者の容姿について。改稿。
2023/04/30 書式などを調整。
ご都合主義だと思いますか?違います。(03稿くらいで軽く触れます。
それでは皆様また次回。