第01稿09話~王者の墓場本番7~
「拙者が刺すでござるよ」
血の触手で軽々と十字架を持ち上げダンジョンコアの横に刺す。
「オォォォォ、ヨクゾ我ラヲ倒シタ」
「王族ニ入レテヤロウ」
「「「遠慮」」」「願う」「します」「するでござる」
何か十字架を立てた場所から小さいリッチとワイトが出てきた。
「弟ヨ、初メテ我ラノ所ニ辿リ着イタノニ要ラナイッテサ、ドウスル?」
「デハ叡智ヲ授ケヨウデハナイカ」
「経験値が欲しいでござる」
ござる忍者は経験値スレイヤーか。ブレねぇ。
「一定時間デマタボス部屋デ湧クカラマタ来イ」
「我ラハアンデッドダシ、ダンジョンコアガ無事ナラ復活ガ出来ル。コアガ無事ナラナ」
「所デ二十層ニタムロシテイル奴ラハ知リ合イカ?」
「拙者のご飯でござる」
「と言う事らしいよ」
「ソウカ。ナラバソノ階層迄送ロウカ?」
「良いんでござるか?しかし、帰りの経験値も捨てがたいでござる。」
「暗くて面倒な所は飛ばしたいな」
「デハ、四十層ニ飛バシテヤロウ四十一層カラガマトモニ視界ヲ確保スル事が難シクナルカラナ」
「お願いするでござる」
「旅人ヨ、先ノ道ニハ何モ無ク彼ラハ風ノ趣クママニ、旅人ヲ送ル風ハ道ヲ作ル、葬送」
__遊び人|王者の墓場四十層
「何か不吉な単語が聞こえたな」
「生きてるし問題ないでござる」
周りの壁の位置とかを把握して階段を見てから四十層のマップを見ると確かにここは四十層の様だ。
「そう言えば、二十層の様子は変わりなしなの?」
「そうで……問題ありでござる。勇者PTが居るでござるよ」
「ヤバイ、忘れてた。許可貰ったのかな。何も言わずに来ちゃったのは失敗だったかな」
「何だ、勇者PTが待ち伏せに捕まってるのか?」
「うーん、休憩中みたいでござるよ」
「まぁ、早く行こうか」
「そうでござるな。経験値が待ってるでござるー」
と言う訳で忍者がリアルタイムアタックを始めた。
二十層まで残り五層を切った所で。
「あー!!経験値が!!急ぐでござる!」
触手が俺とロックオンに巻き付く。身体が浮いた。これは拉致。
「待て、説明を……うわあああああ」
「アレー」
ロックオン、慣れてるな。
と言う訳で二十層に辿り着いた。
辿り着いた先では勇者が血に塗れていた。
「あ、ユウ君!!」
真っ赤に染まった勇者がこちらに気付いて寄ってくる。
「ちょ、ユウ、その状態で近づくとか女子にあるまじきホラーよ」
聖女がストップをかける。
「拙者の……経験値が」
とか言いながらござる忍者は勇者に手を向けると勇者の身体に掛かった血が集まって行く。
そして辺りからも赤いモノが糸を引くように絡めとられて行く。
うむ、大きい丸だ。床と天井に届く位の大きな真の丸。見事だ。
忘れてたけどそこ等辺に転がってるのは近衛隊、38番隊の成れの果てか。
「さてと、現状は?説明してもらえる?」
「君を切り捨てる為に私達は王者の墓場に来た」
騎士の子、ソル・サカキが目的をいう。青いポニーテールが舞いロックオンを指さした。
「ちょっと待った。何で僕が討伐対象に?」
「経験値が生きてるでござる」
「ぎゃぁあああ止めてくれ。ひぃっがっ」
とか言う背景音が聞こえるけど無視して話してる……
「酷いからだよ!私を騙した癖に」
「正直に言って忘れてたんだよ。この王宮騎士たちが待ち伏せする前に潜りたかったんだよ」
「出る前に言ってくれれば良かったのに!」
「フィオから聞いてきたんじゃないの?」
「あ、そうだった。一応、伝言残してくれてたのか。なら許す」
「許された助かった!」
「蘇生するから大丈夫なのに」
聖女が蘇生するから死んでも大丈夫と言ってるのだろうか?勇者PTがどう見ても正常じゃない。
「それよりもユウ君!この人達、ユウ君を処理するとか言ってたんだよ!だから先に処理しといたの!」
褒めて褒めてーって幻聴が聞こえた。
「あー、それなんだが。死体の処理はどうするつもりだったんだ?」
「スノウに火葬してもらう予定だったの!」
「えっ、それはちょっと……やりたくないわね」
「後処理は拙者達に任せるでござるよ」
「それなら任せるわ……えっと忍者君」
「あとは服を処理するだけでござるよ」
哀れな王宮騎士38番隊は服だけ残して失踪扱いか……
「ブレイズセットファイア」
「焼くでござるよー」
王宮騎士の鎧や服が燃やされる。服すら残さず失踪扱いか。ナムナム。
鎧が残る。骨も溶かすブレイズで溶けないって凄いな。
「む、魔法耐性があるでござるか?」
「じゃあ、俺が貰おう」
魔法の鞄に残った鎧を回収していく。この量だ。中々良い素材が手に入ったな。
なんか、遊び人って言うより職人になってる気がするけど。
「それじゃ勇者PTさん達。ここに騎士団なんて居なかった良いね?」
「ここに潜ったら休憩中に戻って来たユウ君達と合流した!OK!」
「ユウが良いなら大丈夫だけど君たちはそれで良いの?」
「問題はないでござるよ。証拠はないでござるし。来るなら経験値が来たと思うでござるよ」
「まぁ、これで警戒して慎重になってくれればいいんだけど」
「引き揚げた方が良さそうじゃないか?定時連絡とかしてるなら。遭遇したりするのは避けたい」
「あぁ、確かに。じゃあ引き揚げよう」
勇者PTも連れだってダンジョンの入り口まで戻り。こうして、ギルドの昇級試験は終わった。
『立つ鳥、跡を濁さずレベルだな。伝令係が行方不明を証明してくれるという事か』
と言う訳で、王宮騎士38番隊は伝令係以外全滅です。ミミックを魔物使いに引き渡しとかクライン・ファンタシア辺りの反応を書いて第一稿は終わりだと思われます。
勇者PTは規格外です。騎士団がボロを出したので全滅しました。
ボロ出さなくても忍者に殲滅させられましたけどね。
ちょっと、人が軽く死ぬ世界だと強調しすぎた感はありますが。
魔物だろうが人であろうがあっさり死にます。
そして、忍者は神話生物でした。