第01稿09話~王者の墓場本番6~
何事も無くワイトとリッチは昇天した。
この世界では敵を倒すとドロップ品として残る。
ドロップしなかった場合は魔力に変換されてダンジョンに吸収される仕組みだ。
『魔力だけど正確には大源な。世界に満ちる魔力は大源。生命が生み出す魔力は小源だ』
「あ、運が良いね。ドロップしたや」
「拙者は装備品は要らないでござる」
「あぁ、お前ずっと裸だもんな」
「一応服着てるでござるよ」
「自分の血で出来た服ってそれは服と言えるのか?うーんローブは欲しいけど剣と杖は要らないな。トキトー要るかい?」
「あぁ、ボスドロップなら良いもんが作れそうだし欲しいな」
「んじゃ剣と杖とローブ1枚はトキトーが貰っていいよ」
「ありがとう」
「あれ、何かこのローブそれぞれ種類が違うっぽい。リッチローブとワイトローブどっちが良い?」
「魔法耐性付いてるワイトの方のローブが欲しかったんじゃないのか?」
鑑定をするとワイトの物は魔法耐性、リッチの方は物理耐性だった。
「あぁ、そうだった。じゃあ、ワイトの奴を貰うよ」
「了解、さてと本番のボーナス部屋に行こうぜ。何が手に入るか楽しみだ」
「そうだね。ジャイアントキリングは楽しかったし報酬も期待!」
ジャイアントキリングは確か自分より強敵の相手を倒すのが意味だった気がする。
圧倒してたしジャイアントは間違いなくロックオンの方だ。
それはさておき宝部屋に入る。
ここにはダンジョンコアと幾つかの宝箱がある。ダンジョンコアは超火力で攻撃すれば壊れる。
壊れるとダンジョンが崩れて大惨事になる。だから触れないでおこう。
「触れちゃ駄目と聞くと触れたくなるでござるな」
「触手で触れても駄目だからね。前に一回やったんだよコイツ」
「マジか、どうなったんだ?」
「ダンジョンが崩壊したでござるがドリルの術で地上まで掘ったでござる」
「術って付ければ何でも許されると思うなよ。本当に死んだと思ったんだから……」
さてと宝箱は四つ。一つは金貨が溢れる宝箱、三つは普通に閉まってる。
「あ、ちょっと待つでござるよ。レアが居るでござる」
「マッテ、タンマ。ドウシテ分ッタノ」
「やはりミミックでござるか」
「まぁ、金貨が溢れてるのは違和感しかないな。上級とは言えこんなに金貨あるなら敵はもっと強い筈だ」
「一応、ココノボスハ、滅茶苦茶強イハズ。ナンダケド」
喋る宝箱の口が開き、金色の肌の女の子が現れる。
「これは金ぴかでござるな」
「んー、魔物なのが残念だね」
鑑定すると種族ミミック、ミクルと言う名前らしい。
「名前付きか、ダンジョン内だと珍しい」
「仲間になるかここで死ぬか選ぶでござる」
「仲間?テイムするの?」
「特待生クラスの1人にテイマーが居たはずでござる。その者にテイムしてもらう方向で考えたのでござるが」
「放置シテクレルトイウ選択肢ハ?」
「無いでござるな。名付きならば経験値が美味しいでござるから。仲間になるならテイマーに紹介する位で見逃すでござる」
「ドウシテ、コウナッタ」
「僕達が来たのが不幸だったんだよ」
ミミックは財宝に目が眩んだ者の魂を奪う魔物だ。魚のアンコウみたいだな。
『あんこう鍋は美味しいよな』
フールは食べた事あるのか?
『時々、下界に遊びに行った時にな』
下界……それはここじゃ無いよね?
『おっと、失言したようだ。気にするな。この世界にもあんこうは居るぞ』
そう言えば時々、漁で取れてたような。
「仲間ニナル。お前ラ転生組ダロ?」
「なんのことでござるかな」
「ふーん、君もかい?」
「下ッ端ノ方ダケド。一応レア魔族ダカラ。チナミニ転生シテカラ初メテ人ト会ッタヨ」
「取り敢えず持って帰るのな?」
「チョット待ッテ。ナンカヤナ予感シカ」
魔法の鞄にしまいました。
「……生きてても入れられるの?」
「ん?あぁ、入れられるぞ。人は無理みたいだが」
「それ、ポイントで買った?」
「まぁ、俺ら以外に人居ないし別に良いけど5Pで買った」
「5ポイントもするのか……そりゃ高性能なストレージだ」
「取り敢えず宝箱見ようぜ。金ぴかの女の子も良いけど魔法道具入ってっかな」
「魔族は守備範囲外かなぁ」
『魔族とのハイブリッドも作れるぜ』
黙れポンコツ。
『ポンコツとは酷いな。まぁ遊び人ボーナスとでも思っとけ』
どちらかと言うと悪人補正じゃね?
宝箱を開けると剣と杖と十字架二本が入ってた。
「……これは外れでござるな」
「ボス泥が宝箱からも出るとか。」
そう、出てきたのはリッチワンドとワイトソードだった。
しかし、1m弱の十字架も入っている。てかコレ刺さってるモノでは?
「しかし、これは十字架でござるか?」
「何か書いてあるね。トラーズ・ファンタシア、ここに眠る。ソルド・ファンタシア、ここに眠る。王者じゃなくて王族の墓場じゃないですかー」
この国の名前であるファンタシア。それが姓として書かれているという事は王族なのだろう。
「何で宝箱に入ってるんだろうな。そこ等辺に刺しとくか?あ、その前にチェックしとくか」
チェックと言った瞬間にギルドで貰った指輪が光る。2人も指輪を光らせた。