第01稿07話~問題は?2~
__ライダー|??
「おい、ノーライル」
「はいはい、なんすか王子様」
「お前、勇者に完全に無視されてるな。憐れに感じるぞ」
「声かけても反応無しっスからね。あの影の薄い男よりも俺の方がイケメンなのに」
「お前、身の程知らずだよな」
「それはあの空気みたいな男よりも劣っていると?」
「そうだな」
「あっはぁ、辛辣ぅww」
勇者と同じ名前の男。どう見ても釣り合わない男。転生者である俺が同じく転生者である彼女と釣り合っている筈だ。
親父のコネ……上手く取り入ってカルク王子とカルラ王女の御者になったが、流石に王女に手を出すには行かないしな。つか親父が死ぬ。
「ノーライル、カルラへの邪念が見えたぞ。死にたいか?」
「死にたくないっす……」
「カルク、この男はどうしようも無い女ったらしだけど、ちゃんと自分の立場は把握してるわ」
「本当か?だったら勇者に迫るなんて事はしないと思うが」
「大丈夫よ。カルクが手を下す前に勇者様が手を下してくださるはずよ」
「お二人とも酷すぎっス」
問題はある。基本二人の傍に居なきゃいけない事だ。この状態でも勇者ちゃんは王子王女と同じ授業に出るが、それ以外だと勇者ちゃんには会えない。ふむ、勇者の周りから攻略していこうかな。
『止めておけ。勇者達に取り入るには力が足りないぞ』
そんな事無いだろ。幾ら勇者とはいえ、俺も転生者だしな!
『あぁ、どうして担当がこの者になったのだろうか……』
「しかし、冒険者登録か。私もしてみたいが」
「御冗談をww登録位なら良いと思うっすけど、ダンジョン潜って怪我されたらお二人の従者の首が飛ぶっすよw」
「うーむ、それは本意では無いな」
「まぁ、俺が一緒に居たら万が一にも怪我はさせないっすけどね。ただ、それは王子が後ろで何もしないのが条件っすけど」
「それでは意味が無いな」
「じゃ、諦めてくださいっす。それか王様がそれを認められる位強くなるか……っすかねぇ」
「ふむ学園長に鍛えてもらおうか」
「止めてカルク、私カルクがあんなにムキムキになったら近寄りたくないわ」
「男の子としてはああいうのは憧れるのだが」
「うぇ、あんなガチムチに憧れちゃうんですか?」
「うちの父上は控えめに言ってふくよかであるからな」
こっちも控えめに言うと2人は美しい。中性的な顔に華奢な体。
王子と王女の容姿の違いは髪の長さとオッドアイの色位だ。
冒険者等やったら魔物にボッコボコにされるのは間違いないだろう。この世界ではレベルが上がると能力も上がるが、転生者では無い奴らの経験値は全く上がらない。
転生者ならば多少の訓練で戦えるレベルまで上がるのだが、転生者じゃないと厳しいだろう。そうなるとPT装飾品を付けて貰って俺が魔物を狩り尽くすのが一番良さそうか。
「でもレベル上げでガチムチになる訳ではないのよね?」
「……そう言えばそうだな」
レベルが上がって筋力ステータスが上ってもガチムチになる訳ではない。
自然と身に付く筋肉はあるが学園長みたいにムキムキになるには恐らく特殊な訓練が必要だろう。と言う事はレベル上げで強くなるくらいなら問題ないのか。
後はレベル上げるなら生産か。でも立場上生産が出来ない。従者に止められるしなぁ。
「ならレベル上げをしたい。と言うか継承順位、私たちは下の方だからな。力がないとカルラを守る事すら出来ん」
「あぁ、そう言う事っすか。方法は4つ位っすね。1は魔物を狩る。2は訓練をする。3は何かを作る。4は寄生をする。まぁ面倒臭いけどオススメは4っすね」
「寄生?何か単語がよろしくないのだが……」
「PTの装飾品使って俺が魔物狩る感じっす。まぁ、レベルが上がってから少し戦闘訓練をして本番って感じがいいかも知れないっすね。あ、でも国王陛下の許可はちゃんと貰うっすよ?次の夜会辺りに聞いてみたらどうっすか?」
「ふむ、カルラのレベルも上げれるか?」
「それは面倒……均等配分だからさらに時間かかるけどそれでも良いっすよ」
「折角、一緒に行くのだから上げない理由は無いな」
「カルラ王女もそれで良いんすか?」
「構わないわ。カルクと離れるなんて死ぬようなモノだし」
2021/01/01 王子達の違い眼の色。改稿
2023/04/30 書式などを調整。
遊び人とのキャストが入れ替わってるのではないかというツッコミ待ち。あるかもしれません。
それでは皆様また次回。