第00稿00話~転生2~
__遊び人?|転生の間
「と言う訳でいらっしゃい。お前は死んだ。次の人生は遊び人だ」
「……死んだ?遊び人?」
目の前に居る黒い服に身を包んだ男は良く解らない事を告げる。え?なにこれ。
「おっと、その前に名乗っておこう。俺は神の1人、フールだ」
「道化?それとも愚か者の方か?」
取りあえず話を合わせておく事にする。
「ロール的にはどっちでも良い。どちらにしろお前の職業は遊び人だ。村人レベルで戦闘では雑魚だ」
つまり、よく言う異世界転生か?でも遊び人って……
「転生してするべき事とかあるんじゃないのか?世界を救うとか」
「別に異世界ライフ楽しんでくれて構わねーよ?遊び人だし勇者じゃねぇし強くねーしな」
「楽しむ?弱いのか遊び人は」
なんとなく想像した通りだ。遊び人と言えば、使えない職業のひとつのイメージだし。
「そうそう、遊び人の武器適正は攻撃力弱々の短剣と鞭。魔法は習得は出来るが攻撃系の属性魔法は覚えられないってジョブだ。そして何よりステータス補正は何と攻撃力-!序盤の小動物にですら勝てねーかも知んねーな!」
「援護職か?」
「まぁ、そんな感じだな。まぁ、選択するユニークスキルによっては一応、戦えるけども?愚かだからこそ人間陣営じゃなく魔物陣営についても良いんだぜ?」
「魔物陣営に?」
「あぁ、魔物陣営にも転生者が居るからな。俺的にはどっちでも良いけど?どっちがいい?」
「まぁ、人間陣営かね。所で転生って何歳からだ?」
「記憶を保持した状態で生まれ落ちる。つまり赤の頃から考えて行動する事が出来るぞ。まぁ、身体の方が追い付かないから移動は出来ないだろうが」
「成程、で固有スキルってのの説明を頼む」
「あぁ、遊び人の固有スキルは色々あるぞ。しかも選択出来る個数も多いとデバフを受け入れる事で更に追加で選択も出来るぞ」
「デバフ?」
「あぁ、デバフの効果はランダムで決める。どうするやるか?やらなくてもなんと20個の固有スキルは選択出来るぞ」
「デバフを受けたら?」
「なんと2倍の40個だ」
「受ける」
「即答だな。良いのか?解除不可能の呪いみたいなもんだぞ?」
「ひとつのデバフで20個使えるスキルが増えるなら構わないと思った」
「了解、じゃあ。デバフを決めるぞ。そのダイスを振ってくれ」
何時の間にか手に握られた10面のサイコロ。これを振ってデバフを決めるらしい。
「……あぁ、分かった」
手に汗が湧き出る。何故こんな緊張している?サイコロが手から離れない。
「どうした?止めるか?」
「いや、止めない」
サイコロが手から離れる。出た目は0。
「成程、デバフの内容はジョブの特性を反対にするデバフだな」
「ジョブの特性?」
「あぁ、遊び人の役割は道化。つまり目立つ事だ。それが反対つまり目立たなくなる」
「……つまり?」
「システム的には常時ヘイト上昇がヘイト-下限突破に変換される。魔物とか人に見つからなくなる」
「デバフなのか?」
「声をかければ見つけて貰えるが黙ってたら空気レベルにはなるな」
「ステルス?」
「おお、そうそう、それだ。ステルスな遊び人とか遊び人の存在意義がないな。目立ってナンボなのに」
「遊び人としてはバッドステータスって事か」
「そう言う事になるな。さて、固有スキルを獲って行こうか」
「一覧みたいなのはあるのか?」
「あぁ、ステータスカードを使う。ほれコレだ。俺が入力できるけど自分でやるか?」
フールはスマホの様な物を取り出す。
「自分で入力しても良いのか?ならやる」
「じゃぁ、ほい」
「わ、っとっと」
放り投げられたスマホをキャッチしようとして失敗する。四角い物ってキャッチしにくいよね。
「はっはっは、滑稽だ。壊れないから大丈夫だ」
「性格悪いな……鉄の板?」
拾って確認してみるとスマホではなく鉄でできたカードみたいな形をしていた。
「あぁ、転生先の世界にはスマホなんて言うモノは無いからな。ファンタジーな魔法のある世界だぞ」
「これどうやって使うんだ?」
「念じたらステータス画面が出てくる」
念じてみるとウィンドウが出てくる。しかし色々空白な部分が多い。
「画面は出てきたけど穴あきだぞ」
「そりゃ、まだ設定して無いしな。初期ステータスの設定その他諸々はダイスを使うが固有スキルは自分で選択出来るぞ。まぁ、まずは名前から入力したらいい」
「名前か」
そう言えば、自分が死んだ事に疑問を抱いて居ないな。
「それは、この転生の間とか言う場所の効果だな。詳しくは俺も把握していない。それで名前、どうする?」
「生前の名前でも良いのか?」
「あぁ、問題ない」
「時任 遊で」
「分かった。じゃ、自分で入力しろ。あと漢字無いからカタカナな。ユウか……ふむ面白い」
2023/04/30 書式などを調整。
フールは唆すけど嘘は言いません。状況に合った事を言うとは限りませんが……。
それでは皆様また次回。