第03稿05話~霧から抜けたらそこは海3~
__忍者|船上
「まとめとしては、あのダンジョンは禁書が落ちた所だと思うでござるよ」
「あの商会長がここで禁書を手に入れたって事かぁ。触れて……ダンジョン繋げちゃった?」
「かもしれないでござるな」
「てかあの世界、前世の世界じゃない?ミスティックホテルとかもあった気がする」
『前世の世界が舞台なのは変わらないわね。貴方達が住んでいたところとは違うわよ」
「あれ、それは検閲されないの?」
『貴方達が知らない事は検閲されるのよ。知ってる事ならば補足は出来るわ。前世についてロックが解除された様ね』
「もしかして、スミス殿は……」
『貴方の縁者かも知れないわね』
「僕の親戚も居るのかな?」
『居るわよ』
「え?居るの?」
『多分ね』
「適当だ」
「もしかするとスミス殿は祖先かも知れないでござるからね」
「あぁ、それもそうだね。時系列が後とは限らないか」
「あの禁書が記されたのは拙者達の前世の世界。こちらに持ち込まれる事はあるのでござるか?その場合時間の流れは一緒でござるかね?」
『前世の世界で記されたのは是、持ち込まれる事は否、時間の流れも否だよ』
「そうなるとなんであるのかって話になるけど」
『基本的にその世界には持って入れないけどデータのモズクとして流れ着いた可能性はある』
「もずく……」
「藻屑じゃなくて?」
『……何を言っているのか分からない』
『この事は気にしなくて良いわよ。平行線を辿るから』
「まぁ、良いや。そのデータの水雲はどうやって混入するの?」
『――――でデータを読み込んだ時に---するらしい』
「検閲だぁ」
『ダメみたいね』
「うーむ、ダンジョンは流れ着いたデータでござるか?」
『似たような物かな。ダンジョンマスターは転生者に適正あるから』
「……ダンジョンの数だけダンジョンマスターが居るでござるか?」
『いや、そんなには居ないよ?基本的にはダンジョンコアかダンジョンマスターが居てダンジョンがあるからね大半はダンジョンコアで稼働してるよ』
「ダンジョンマスターは転生者……でござるか」
「あぁ、王者の墓場のトラーズさんとソルドさんみたいにか」
「え?拙者らも没後はダンジョンマスターになるでござるかね?」
『いや、アレは延命してるだけであそこはダンジョンコアで稼働してるよ」
「あ、そうなの?じゃぁ、引き籠りすぎて骸骨になっちゃっただけか」
『いや、引き籠りすぎてなるモノじゃないんだけどね』
__遊び人|船上
「セバスチャン」
「お呼びですか」
「ダンジョンは崩落、地図は途中まで描いた奴がコレ。船長に帰還指示を頼む」
「かしこまりました」
「うーむ、教育レベルが高い執事だな。王城には居ないレベルだ」
王宮仕えが一番教育レベルが高くなくてどうするよ?
「いや、侍従は圧倒的に上位貴族の子息子女が力持ってるからな。派閥だなんだで教育が下にいきわたらん」
王子が俺の顔を見て疑問に答えてくれたようだ。
「俺達、双子の派閥は居ないからな。この世界では双子は忌み子だったらしい。殺せなかったから生きているがあと時代と学園長と親父だ。」
何処ぞの村の言い伝えレベルか。王子の親父さんは王様だよな?
「親父で良いのか?」
「流石に公式では言わないが親父を父上とか呼べるか」
王子様は反抗期。
「取り敢えずジャガバタ作って来たっす」
「火使ったのか?」
「キッチンカーも乗り物っすからね。ステルス機能とホバリングも付けたから大丈夫っすよ」
汎用性高すぎるだろ。
「カスタムし放題じゃないか!!」
あ、心の声が漏れてしまった。
「羨ましいっすか?今ならジョブチェンジ出来るっすよ」
『出来ないぞ』『出来んと何度言えば……お?』
なんだ。もう一人、知らない男の声が聞こえたぞ。
『ここでは初めましてだなチャリオット』
『フール先輩、お疲れ様です。む、今フール先輩が話しているのだ。貴様は黙っていろ』
『なんだ。俺様の声は届いてない感じだな』
『そちらの子には届いている様ですが』
えっと、チャリオットさん?ライダーの担当であってるか?
『あぁ、合っているぞ』
あ、体育会系の方だ。取り敢えずフール、どうなってるんだ?
『一方通行でリンクが繋がった。いや、良く分からん。俺様の―――がお前にしかない?』
『私の担当が拒否しただけでしょう。お気になさらず』
『おぅ、取り敢えず、ライダーだけ個チャでチャリオットに話しかけているグループ通話だと思えば良い』
成程?で、これはどんな意味があるんだ?
『フール先輩だけで足りるから何の意味も無いかも知れない』
『あー、一般的には各担当の神は異なるその世界に関する情報を伝える事が出来るんだ。それをグループ通話だとグループの皆で共有出来る』
『フール先輩は言い換えれば何でも伝えられるからグループ無しでも何とかなるって感じです』
『一応、制限はあるんだけどな。許可と選択肢って言う。結果もセットで言えるが途中でどんなことが起きるか経過も伝えられないし。取り敢えずチャリオットと通話できるようになったと思っておけ』
成程?他の転生者の託宣も受けられるって事か。
『そう言う事になるな』
『何かあればお答えしますよ』
チャリオットの託宣の傾向は?
『私は戦闘に関してです』
分かった、何かあったらライダーに聞く。
『私の担当が五月蠅いのでここまでにしておきます』
『良かったな。一応上と見られたぞ』
あ、だから丁寧な感じだったのか……フールの担当だからじゃないかなと思う。
失礼しました。多忙に無謀でやっとひと段落着いたので戻ってまいりました。お爺ちゃんもこちらも進めていく予定です。まぁ亀更新はかわりませんが。
初のグループはなんとライダーでした。チャリオットがフールと話したかったからつながった可能性はあります。
次回は帰り道。帰るまでが遠足です。いや、帰るところはまだ学園じゃないけど。
それでは皆様また次回!