第03稿05話~霧から抜けたらそこは海2~
__遊び人|船上
意識が覚醒する。ここは……船室か。
「お、起きたでござるか」
「忍者、船に戻って来れたみたいだな」
船室のベッドに寝かされていた様だ。隣のベッドにはロックオンが寝ている。
「マナ切れか?」
「貧血でござるよちょっと吸い過ぎてしまったでござる」
「吸血忍者……アタッカーの二人がフレンドファイアしかしない」
「拙者はロックオンの同意を得て血を貰ってるでござるよ……」
「僕たち後衛だしね。撃たれ弱いんだよ。いや、トキトーは中衛か」
「ロックオン、起きたでござるね。外で寝るでござるか?」
「日光に当たりたいしお願い」
ロックオンが起きた様だ。吸血忍者と太陽魔銃使いが仲がいい世界である。
と気が付くとロックオンのベットはもぬけの殻に。速い。
「あら、トキトー君起きたのね」
「あぁ、まだ本調子ではないけどな。勇者は?」
「ココノに説教されてるわ」
「聖女の方が序列高いのか?」
「……そうよ。あの子は、頭に筋肉が詰まってるから」
「脳筋……」
「勇者は皆脳筋でござるかね?」
「俺TUEE系勇者ばっかりなんじゃ?」
「トラーズさんも元勇者だよね?」
「前回?の転生組でござろう?」
「そう言えば転生してない勇者って居るの?」
「王都のギルドマスターのマッシュさんも勇者でござるよ。たしかギルドマスターは勇者が勤める筈でござる」
扉の外から会話が聞こえる。
「嘘だろ、ニックが勇者……脳筋。ガチムチだけど言うほど脳筋か?」
「トキトー領のギルドマスターかしら?どんな人なの?」
「オネェ系ガチムチギルドマスター?」
「脳筋なのかしら?てかこの世界にオネェって居るのね」
「いや、普通に口が回ると思う。というか人それぞれな気がするけどな。それでこうしてのんびり話してて良いのか?」
「貴方の執事が来るまでは貴方は休憩時間よ。私が居るのはユウ対策ね」
「おぉ、王子殿下に王女殿下でござるか?トキトー殿?トキトー殿なら中に居るでござるよ」
「王族対策は出来てないわ」
「失礼するぞ。妹がもう魚は飽きたらしい。トキトーが大丈夫ならもう帰りたいんだが目的は達成したのか?なんなら、ノーライルに船を出してもらって先に帰るが」
「ノーライル、船運転できるのか?」
「俺様の職業はライダーっすよ。勿論、出来るっす。船も飛行機も呼び出せるっすよ」
「あ、そう言う。」
そもそも、乗り物を出せるようだ。
「この前の馬車って?」
「俺が呼び出した奴っすよ」
マジか、あんなの呼び出せるのか。飛行機もか。凄いな。
「他の乗り物も出せるのか?戦車とか」
「出せるっすよ。あと遠隔操作でも操縦出来る奴も出せるっすよ。凄いっしょ」
「それは……人型ロボとかも出せるのか?浪漫あるなぁ」
「あ!!成程、そう思うとデカいのも出せると思うっすね!」
「ただ、巨大ロボが出たら魔物だと思われて討伐隊組まれそうだな」
「あぁ……それはそうっすね。ステルス機能はつけられるっすけどそれじゃ浪漫も糞もないっすよね」
「お前等、実は仲いいんじゃない?」
王子は言うが俺は特にノーライルの事を嫌っているわけではない。
「職業取り替えれたら解決っすか?」
「出来るのか?最早隣の芝生は青い状態じゃないか?」
「ノーライルから見た遊び人というジョブはとても青いと言う事か?トキトー、遊び人の感想をノーライルに教えて見ろ」
「まず攻撃力が皆無、なんなら補正が小数点以下。防御力もほぼ無補正。素早さは高倍率の補正。魔力も高倍率に近いけど使える魔法は補助と回復魔法位、ただ生産系は結構なんでも出来る。正直、戦闘に関して言うならノーライルのライダーの方が遥かに高いと思う」
「そりゃ当たり前っすよ」
「聞いてた限り、ノーライルは一体、ライダーの何が気に入らないんだ?」
「俺は遊び人の称号が欲しいんすよ!」
「称号?ジョブじゃなくてか?ならば花屋にでも通えば良いだろう、俺達の給金で余裕で足りるんじゃないか?」
花屋……花屋に行くと遊び人になれるのか?あぁ、女性へのプレゼント的な意味か。あと口にくわえたりするのか?
「王子、俺達まだ未成年っすよ!!」
「それは違うぞ。この国は15から一応成人扱いだ。それに未成年であっても飲酒などは制限されていない。だから、別にお前が花屋に通っても問題は無い」
俺の知ってる花屋じゃない。多分、風俗的な奴だった。うちの領は花屋は普通に花売ってる。一応、港付近にそう言う所はあるが。
「港の近くに一応、そういう場所はあるぞ?」
「船乗り御用達って奴だな。戻ったら行ってきてはどうだノーライル」
「いや、俺達にはまだ早いというっすか」
ノーライルが意外と初心だという情報、誰得だ?
「私をお前と同じ枠組みで語るな。まぁ、諦めろ、お前が遊び人になったとしても勇者はお前の事は石ころにしか見えていない」
「じゃがいも」
「……そうだな。じゃがいもにしか見えてない」
「王女からしたら皆じゃがいもじゃないっすかねぇ……」
王女の呟いたじゃがいもに王子もノーライルも精神浸食を受けている気がする。
「じゃがいも食べたい」
なんだ、食べたかっただけらしい。
王子は遊び人だから勇者が突撃してる訳ではなくトキトーだから突撃していると言いたいそうです。
そう、ノーライルは……そして食べ物の事しか考えてない王女は路傍の石をじゃがいもに変換しました。
あとこの世界、未成年という言葉自体が無いので14歳以下は子供、学園に入学できる歳以上は大人という区切りです。そして、孤児とか大森林の種族だと働いたら大人と言う事になるのでもっと早いです。
という訳で次回はじゃがいも料理です。カンガルーもとい兎の次はじゃがいもです。
それでは皆様また次回。