第03稿04話~霧の舞台で死の舞踏7~
__遊び人|ミスティックシティ―北の北
斬り結ぶ勇者と首無しゾンビ、斬り結ぶたびに勇者の勢いが落ちていく。
「あー!攻撃を防ぐなー!!」
攻撃が通らないと馬力が下がって行く感じか?
「ごり押しが通用しないなんて!!勇者は最強じゃないの?え?レベル差?成程!!」
独り言が……
『思った事が口に出るんだろ……』
人選ミスじゃないか?
『一つだけ教えておこう。多分、あの執着は俺様が原因だ。だが、お前の選択のせいでもある。よって俺様は悪くない』
そうなのか?具体的に言うと?
『俺様は悪くねぇ!』
えぇ……原因ならなんとかして欲しかったんだが?
『干渉は出来るけど出来ないから無理だな。お前が干渉しないとレベル差で負けるかもしれないが放置してても良いのか?お前の場合レベル差はそこまで無いがステータス差があるけどな』
あぁ、戦闘中なの忘れてた。レベル差とステータス差の違いって?
『意味的には一緒だな』
あっ、そう。
『そうだな、アイツの作る武器を鑑定か解析してみろ』
あれ、選択じゃないのか?珍しいな。
解析をする。えっと使い捨てマスターウェポン?片凪流ウェポンマスター製、製作速度を重視して耐久度を限りなくそぎ落とした使い捨て武器。 あらゆる武器の総称……片凪流って流派があるのか。片凪かどこかで聞いた様な気がしたがどこで聞いたのか思い出せない。見た所、耐久性は低くても勇者の剣を受け止める耐久力はあるって事か?それとも技量でなんとかしているのか。或いは両方か。
『それについてはシステムが違うからだな、多分、俺様達の管轄じゃないから詳しくは知らん』
システム?
『管轄違いだ。これは例えだが、俺様達はデータの調整をしていて世界というハードよりもソフトのデータ管理をしている。ソフトのフォーマットをする部署もあるんだがバグでフォーマット出来なくなる状態になる。参加者を募ってフォーマット作業をする俺様達とハードをソフトを使ってバグ取りする仕事が別であると言った所か、多分、そんな感じだ』
フォーマット出来なくなったのが転生者か?多分って。
『NGワードを例えで乗り切ってるだけだから気にしなくて良い。深く話すと話が長くなって勇者が死ぬけど大丈夫か?』
それは……大丈夫じゃないな!!って、信託中は時間が限りなくゆっくりになる設定では?
『設定言うな。一応思考速度を上げてゆっくりになっているが時間が経過していない訳では無いからな。あと最終的には死んじゃうけど死ぬ確率が上がって行くぞって言い方のほうが良いか?』
「勇者!二回攻撃は出来るか?それか武器でなく装甲かバリアだと思って攻撃しろ」
「それが勢いよく斬ってもすぐ傷が塞がるんだよね!!」
「そう言えば本体調べた時、ハイブリッドって書いてあったな」
「弱点なんかある!」
「緑のゾンビも入ってるって書いてあったような気がするから、あの幽霊のお爺さんが言ってた弱点なら日光か?」
「光じゃ駄目かな?」
「試してみれば良いんじゃないか?」
「筋肉プリーズ!」
「は?」
勇者は筋肉を所望している。
「筋肉のバフが欲しいよユウ君!!」
成程、攻撃力、つまり筋力のバフが欲しいと言う事か。
「筋肉痛になるが良いか?」
「この状況で筋肉痛を気にする!!?凄いと思うよユウ君!!!!」
「気にしないならかけるぞ。ストレングス」
「お?おぉ!凄い!これは凄い!」
勇者が剣を振り上げた。ミシミシと勇者の腕から音が鳴る。勇者の筋力ステータスを知らないが。やってしまったかもしれない。固定値でなく倍率のバフだ。基礎ステータスが高ければ高い程バフの量も増える。
「ぎゃー!!骨が軋む!!痛い!!」
つまりだ、ヒールを連打だ。ヒールヒールひーるひーる……。あ、マナポも出しておこう。
『こっちもゾンビ戦法し始めたなぁ』
__勇者|ミスティックシティ―北の北
筋肉バフを貰った!!これがユウ君の愛の強化バフ!意気揚々と剣を振り上げると腕が軋んだ。ミシミシに追加してビキビキと筋肉が悲鳴を上げている!!
「ぎゃー!!骨が軋む!!痛い!!」
思わず声が出てしまった!これが筋肉痛か!!そりゃこんなの最初に確認するよね!!でも筋肉痛じゃ。この痛みは伝わらないと思うよ!!!どちらかと言うと成長痛って奴だよこれは!!
そんな事を思ってると身体が軽くなる!!おぉ、これはユウ君が私が勝つように祈ってくれている!!これならヤレる!!ユウ君の愛に強化される戦士!!負けは無い!
空に飛びあがる!!!剣を高く振り上げ……痛い!!高く飛びすぎてユウ君の愛が届いていない!!
「ニュートラル、ライトエンチャ!」
取り敢えず落下での一刀両断を狙おう!!頭が下になる。霧が深いけどアイツの気配はバッチリ覚えた!!
「ファーストギア」
空を蹴る。
「セカンドサードフォースフィフス!!」
ギアを上げる毎に速度も上がる!ユウ君の愛で更に速度が上がる!+重力で行くぞー!
落下地点を修正しながら首無しゾンビを確認する。こちらに向けて両手の斧をクロスさせるように受けるつもりらしい。力比べに自信ニキ!そういうの嫌いじゃないよ!!
愛の狂化戦士、勇者。ヒールをかけられてるとは分からない筈だけど祈られていると直感で把握してたり……ストレングスでは体型は変わりません。でも恐らくたぶん、勇者の後ろにはグリズリーの幻影がきっと見えます。
結構、切羽詰まってるけど話を続行する遊び人。オブラートが無くなるフールでした。
次回が04話ラストだと思われます(願望
それでは皆様また次回!