第03稿04話~霧の舞台で死の舞踏4~
__遊び人|ミスティックシティ―北の北
「出来たでござる」
その一言で、意識が戻った。どうやら意識を失っていた様だ。カタナの言っていた増血剤、優先度高くしておこう。
「トキトー殿、大丈夫でござるか?」
「ちょっと意識が飛んでただけだ」
「それはヤバいでござるね。早速、輸血をするで……」
「居たー!!もー、突然離れてくからびっくりしたよ!」
「勇者だ!!勇者が来た!オワタ」
騒がしい勇者が現れるとロックオンも騒がしくなった。少し静かにしてくれないか。
『ギリギリだなぁ。出血で体力0以下になったけど溶接が応急手当判定で助かったな。まぁ当たり前なんだが』
溶接は治療なのか?
『治癒弾を使ってたからな』
治癒弾と溶接になんの因果関係が?
『忍者と魔銃使いの言葉遊びじゃないか?あと、暫くは不調が続くと思え。そのぐらいの状態だ。というか瀕死状態って奴だな』
気絶無効取ってたら気絶しなかったか?
『体力0以下の気絶は強制だから無効を貫通して気絶する。というか死ぬまでカウントダウン状態だからな?』
そう言えば、フールの言った通り致命傷ナイフだったなぁ。小刀だったけど。あ、あのナイフ欲しかった。ナイフ一刺しで死ねるって自分の紙耐久に笑うしかない。
『比べる相手が間違ってるぞ』
それは相手のナイフか?比較対象か?
『どっちもだ。さて、そろそろ現実を見ろ。血をあやした後は勇者をあやせ。頑張れ』
あやす?血を?勇者は……取り敢えず、ロックオンのせいにしておこう。
『おぉ、ロックオンよ。死んでしまうとは情けない。いや、先手打てば忍者&魔銃使いの2人掛かりなら5分か?』
いや、冗談だ。流石にこんな所で仲間割れしてる場合じゃない。
「ちょっと油断して出血状態になってな。今、ロックオンに輸血をして貰おうとしていた」
「じゃぁ、私の血あげるよ!!血液型一緒だし!あっ、大丈夫だと思うし!!」
血液型一緒は一体、何処情報なのだろうか……こっちの世界で血液検査とかした事無いぞ。あれ、石板に乗っていたか?
「なぁ、ロックオン石板に血液型とか表示されてたか?」
「ある訳ないじゃない」
「だよな」
「勇者殿が提供してくれるというのなら有り難く輸血しておくでござるよ。しかし、ちょっと太すぎるかもしれないでござる」
太い?あぁ、注射針がな……確かにウォーターカッターでスリムになったとは言え。
「待って、その前に向こうからおっきいのがこっち向かってきてる!」
「……街からも追って来てるでござるね」
忍者と勇者がそれぞれ反対方向を指して敵が来ていると言う。追ってと言う事は先程のオーバーオールの首無しゾンビだろうか。そう言えば、あの首無しゾンビ。一直線で俺に攻撃してきたけど。何故、俺を攻撃してきたのだろうか。
あの場に居たのは、蜘蛛と寝落ちの魔銃使いと俺、戦闘力で見れば一番下でヘイトマイナス、空気の呪いも掛かっている。なのに真っ先に狙われたのは、消去法か?蜘蛛は背景、寝落ちは無力、なので動く俺を狙ったとか?背景を敵と認識させたのが正解だったか。
「輸血は後でござるな。これ以上血を流したらヤバイでござるから大人しく隠れておくでござるよ」
「あぁ、分かった」
よし、何処に隠れよう。塹壕でも掘るか?いや、それよりも何時でも動けるようにしておこう。掘る気力も湧かない。何で一番最初に案が出た。あぁ、何か眩暈もしてきた。
「地響き凄い。どんな巨体って蟹?いや、カブトガニ?にしてはアレなんだけど」
「やっぱり緑の親玉はアレでござるな!!」
「眩暈と思ったら地鳴りか……」
「後ろからも首無い奴来た!!」
「挟み撃ちでござるね」
「勇者、プリズムクラブから生えてる棘みたいなのは毒あるから触れない様にね」
プリズムクラブ、言われて見ると、確かに色とりどりの先端が鋭い棘の様な触手はプリズムと言っても良いかもしれない。
「プリズム……そう言われると確かにそうでござるな」
見た目は蟹の鋏と脚を全部もいだ見た目をしている。あ、形状的には亀の甲羅か、甲羅に生えているトゲトゲの触手。あとデカい口。いや、デカいな。ん……棘の先に丸い、あれが眼か。1、2、あれ?潰れた形跡のある眼の触手があるな。これが来た方向はウォーターカッターの向けた先……あっ、察したわ。貫通力、あり過ぎだろ。
「あの潰れてる眼っぽいの。来た方向、状況的に考えて……」
「来るでござるよ。勇者、どっちがやりたいでござるか?ちなみにトキトー殿を攻撃したのはあの首無しでござる」
「それなら、もちろん首無しゾンビだよ!!ユウ君の仇!!!」
いや、俺まだ死んでないからな!
戦闘前の説明回。いや、説明してない気がするけど!!思考が散逸していても偉大なる存在は眼にとまってしまう様です。地鳴りを眩暈と勘違いする位には遊び人はポンコツ化してます。次回はまた戦闘。今回は戦力バッチリです。
それでは皆様また次回。