第03稿02話~不思議な不思議な霧の街6~
__遊び人|霧学園
「ハイキャッチ!」
「うぉっ」
ちゃんとキャッチしてくれたようだ。周りを見渡すが階段には階数表記がない。正確には階数表記のプレートはあるけど書かれていないが正しいか。どうやら他の建物とは違ってここは修復されないのか?それとも、このダンジョンが出来た時の状態ではここは既に廃墟だったとか?
「ありがと、降ろしてくれ」
「もうちょっと持っとく」
「持たなくて良い。降ろせ」
「え?駄目?」
「そんな事してる暇ないから駄目だ」
「じゃぁ帰ったらしていいんだね!」
「そんな事してる暇ないから駄目だ」
「むぅ、ちょっと照れたりしても良いのに」
「今のやり取りで照れる要素あるか?」
「あると思います!」
「無い。取り敢えず二人と合流しないとな」
「そうだね。この下の階段も壊れてるみたいだよ。抱えて飛び降りようかと思ったんだけど」
「あぁ、そういう。この階見てみるか、大きさからして階段がここだけって訳じゃないと思うし」
「分かったよ!そうと決まったらGOGOだよ!」
廊下に出て先を見ると通れる道にはなってるな。廊下は独特のつるつるした床。所どころ傷がついているが崩れる心配は無さそうだな。扉は引き戸、学校で間違いなさそうか。
「手近な教室に入ろう」
「私達の学校とは違うんだね」
学校……勇者の言う学校は前世の学校だろうか。あれ、どんなところ通ってたんだっけ。
思い出せないな。思い浮かんでくるのは祭りの屋台で焼きそばやら牛串やらを作っているくらいしか浮かんでこない。牛肉が喰いたくなってきた。
近くの引き戸を開けようとするが、何かが引っ掛かっていて開かない様だ。
「ユウ君!こっちは開いてるよ!」
こっち側は開かなかったが向こうは開いている様だ。そちら側から中に入ると。机が倒れていて道が出来ている。道は窓に繋がっていて大きい箱の様なものが窓の傍に置かれている。
「あー、小学校の時あったよねこんなの。緊急脱出用シート?だっけトンネルみたいな奴!」
「あったか?」
「そうだ!これで下降りれるんじゃない?あ、でも使われた後っぽい」
「何?」
窓に近づいてみると確かに開いた窓にシートの様な物が降りていた。しかし、シートはボロボロの上に乾いた血の様な物がこべりついている。
地面も霧で見えないし何だか嫌な予感しかしない。
「せめて使われて無い奴を探そう」
「そだね。途中で千切れて落ちそう。あ、そうだ。私が抱えて降りるのは?」
「ノーだ。下も見えないのにフリー落下はごめんだ」
「むぅ、それなら他の教室も見よう」
__魔銃使い|霧学園
「ねぇ、カタナ」
「何でござるか?」
「さっきのファランクス一体だけじゃ?」
「知らないでござるよ。少なくとも一体だけじゃない事は今知ったでござる」
「取り敢えず建物の中入ったら追ってこなかったけど」
「RPGとかで良くあるターゲッティング範囲が決まってるのでござろうな。警備員でござるかね?」
「成程、取り敢えずトキトー君達が無事、建物内に居る事を願ってるよ」
「気配が上の方だったでござるから、きっと屋上に乗れたと思う事にするでござる」
「鴉に連れてかれたとかいうオチは」
「……方角は分かるでござるが高さは分からなくなってるでござるな。建物毎に違うエリアになってるかもしれないでござる」
「だからファランクスは追いかけてこなかったのか」
「多分でござる」
「カタナの多分は外れないからなぁ」
「MPはどうでござるか?」
「大丈夫、そろそろ行こうか」
「ここ、探索するか合流を優先するかどっちにするでござるか?」
「一緒に居るの勇者だし取り敢えず、ここの探索しよう」
「ふむ、軽く見て回った感じここはオフィスみたいでござるよ」
「何か特筆すべき点は?」
「書類とか見てみた感じ大学の様な印象を受けるでござる。就活の情報室的な物があったでござる。一階だけでも結構な広さがあるでござる」
「職員室は?というかこの大学の全体図的なの案内板とか無い?」
「それが看板とかの文字が読めないんでござるよ」
「どう言う事?」
「どこも入り口に札が下げられているでござるが、まっさらで何も書かれてないんでござる」
「ここのダンジョンの元になった場所が分からない様に配慮されてるって事かな」
「ダンジョンを作った者が細部まで覚えてない可能性もあるでござるな」
「邪神書で作ったとかは?」
「多分近いと思うでござる。しかし、ここ作って放置して双子を襲いに行ってる暇あるでござるかね?」
「じゃぁ、邪神がここで邪神書を渡したとか」
「ロックオンの悪い話は的中率高いから止めるでござるよ」
昔、小学校位の時の床がエナメルバッグみたいなツルツルした床でした。リノリウムと言うらしいですな。避難器具は下で設置する人居ないと垂直落下なんだけど正直縄代わりにした方が怖くなさそう。
あのファランクスは数あるファランクスの一つでしかない。学園内の外を闊歩してます。
それでは皆様また次回。