第03稿02話~不思議な不思議な霧の街2~
__遊び人|ミスティックシティ―川沿いの住宅
「さて、そろそろ出るか」
軽い食事を取って仮眠した後、片付けをしていざ出発。風呂は所々焦げてた。どうやって沸かしたのかは聞かないでおいた。
「鴉の気配も近くには無さそうでござるかね?」
「んー、居なさそう」
玄関から顔を出しロックオンが外を見回す。
「勇者は大丈夫か?」
ずっと見られてる勇者に聞く、というより監視してんのかって位見られてる。
「え?あ、うん大丈夫だよ」
「そうか」
不自然に静かだから何かあるのかと思ったが、そうか。勇者PT居ないから寂しいのかな。
『そんなタマか?』
何だ、どうした。
『いや、突っ込み待ちかと思って』
突っ込まれる事を想定していなかったな。
『学校で地図を手に入れろ。川の幅も書いてある詳細な地図がある筈だ』
それを先に言え、もう一本見たら行くか。で、場所は?
『そこで一番、大きな建物だ』
探索し甲斐がありそうだな。
『中はゾンビが居るから気を付けろよ』
ゾンビならロックオン達が瞬殺してくれるだろう。
『あー、まぁ、無理な事は無いな』
「よし、今のタイミングなら川沿いで鉢合わせる事も無さそうだよ。先導するから着いてきて」
ロックオンはゲームみたいに脳内にマップが浮かんでたりするのか?何にせよ。こういうって事は今直ぐ行った方が良さそうか。
「分かった」
カタナから赤い糸が伸びてくる。しっかり装備だ。これは装備か?装備でいいか。腕に巻きつける。
ロックオンが全員の腕に巻きつけられたのを確認すると霧の中に消えて行った。
堤防に上がり川沿いに進む。敵は未だ見えず。
「そう言えばロックオン」
「ん?呼んだ?」
「あぁ、地図で一番大きな建造物、ここからなら見えるか?」
「あぁ、うーん。見えるけどこれは……建物沢山……何棟も建物がある。会社では無さそうだし。これは大学かな。いや、でも一部しか見えない位広いな。こんな広い大学あるか?」
「大学って広いもんじゃないのか?」
「普通の大学の5倍くらいはありそう」
「山が消えるな」
「山……?」
「大学は山に作られてるイメージだ」
「あっそう。山じゃないな。川から離れた平たい土地に作られてる。いや、奥が見えないから見える範囲。10㎞位かな。あとは霧で見えない。霧が無ければ千里も見通せるけどね」
比喩じゃなく千里眼もってるのか。こんな霧の中でもその距離を確認出来るって凄いな。
『ポンコツかよ』
千里眼ってあるのか?
『似たような物なら幾らでも』
そうか。
『それと学園に居るゾンビがロックオン見つけたみたいだから。サービスだ』
何そのサービス、要らないんだが。
『じゃぁ、心構えも無く襲われると良い』
……問答してる暇無いんじゃないか?
「そろそろ、次の橋に着くよ。あと何かさっきの敷地で蠢いてたのがこっち来てる。敷地内からは出られないみたいだ」
じゃぁ、安心。じゃないな。何か蠢いてる所を新たな目的地に設定するのはちょっと。
橋に辿り着いた。根元から崩れては居なさそうだ。
「橋、途中で落ちてる。川沿い通ってきて気付いたんだけど向こう岸見えないんだよね。なんか、そう別エリアみたいな」
「渡れ無さそうか?」
「拙者、橋を作った方が良いでござるか?」
「鴉を何とかしないとリスク高くないか?」
「そうでござるな」
「それじゃ、取り敢えず蠢いてる奴サクッとやっちゃう?」
「手近な施設だし探索してみるか」
「行ってみるでござるよ」
何とか学園に向かえそうだ。というか彼らの担当も伝えてるのでは?
『それは無理だな。システムに聞く事はあっても上司に相談は恐れ多くてまだできない奴らだ』
年功序列的な?
『そんな感じだな。まぁ伝えてる可能性もあるから一概には言えん』
次回は、学園蠢くゾンビの様な何かと戦います。多分、何かです。
年功序列というよりもルールに縛られてる前提で伝えにくいだけです。フールが一番自由に話せます。
それでは皆様また次回。