第03稿01話~霧深き世界3~
__遊び人|ミスティックシティ―教会
教会内は荒れ果てている。ガラスは割れてないが中の物は経年劣化が見て取れるな。
「うわ、椅子腐ってるね。これは使えないや」
「取り敢えず休憩!」
そう言って、何かの女の人の像の足場に腰掛ける勇者。女神像と言う奴じゃ?
「勇者の力ならあれくらい楽勝だと思ったんだけど」
「えー、更地にしちゃったら帰れなくなっちゃうよ」
「本気出したらここら一帯が更地になると言ってるでござるよ」
翻訳機と化してるな忍者。一家に一台、忍者。
『女神像だぞ。アレは0だな』
ゼロ?
『おう、上司の1人だ』
言っても大丈夫なのか?
『今回の担当には入ってないし問題ないな。この状況だし』
それよりも教会にこの女神像が立ってるって事はその0が担当した転生者が原因でここが作られた?魔物側の担当者か?
『何度も言うが今回のファンタシア大陸での――は。うん、仕事は0は関わってないぞ』
本当に転生者関わってないのか?
『疑り深いな。ファンタシア大陸の転生者と神は関わってないぞ』
よし、信じよう。ではこれは別世界からって言うのは本当か?
『あぁ、こういう他の世界での書物は元となった世界が構築される事もある。そこ等辺は世界を構築した担当の趣味だな』
俺達の居る世界はふぁんたしあ大陸だったか。それ作ったのは?
『……分からん』
分からないのか?
『そもそも、この世界の元データがあるわけではないからな。そこからも辿れないしなぁ。所で俺が言える事はもうそろそろ回数無くなるんだが』
回数制なのか?
『否定はしない』
じゃ、残りの回数は取っとくか。
『了解』
「きゃんきゃん」
「ティキ殿は先にホテルに向かって手がかりを得ようと言ってるでござるよ」
「僕が森で塔って言った奴がホテルみたいだね」
おっと、どうやらティキとカタナとロックオンで相談してたのか。勇者は?
「ユウ君が戻って来たよ!」
「おぉ、そうでござるか。して、トキトー殿、先程森の中でロックオンが見た塔と言うのが生存者が集まっていたホテルらしいでござる。取り敢えずそこに行くと言う事で良いでござるか?」
「あぁ、構わないけど。長時間、外に居ると鴉が厄介だな」
「傘でも作るでござるか?」
「いや、消耗は出来るだけ避けたい。忍者のはマナポとかで回復出来るのか?」
「出来ないでござる。強いて言うならば輸血パックが欲しいでござるな。あとはヘルポがあれば血の生産量は多少上げられるでござるが時間がかかるでござる」
「成程、取り敢えずコレを渡しておく」
翠色に光るポーションをカタナに投げると肩から糸が伸び受け止めた。
「ヘルポでござるか助かるでござるよ。先程、血を吸われたので結構持ってかれたでござるから」
「そう言えば、この状態。今が昼か夜かも分からないね」
「ダンジョンなんだから、そういうモノじゃない?」
「あっ、そうか。そうかもね」
「しかし、原作再現でござるなぁ。こう霧が深いと陽の光を通さないでござるから何時でもゾンビが活動出来るとか言う話だった気がするでござる」
原作再現……?
「霧の原因は何だったんだ?」
作中でも霧の描写があったというならそこから霧の原因が分かるかも知れない。
「水辺に発生装置がセットされてたんじゃなかったっけ」
「湖に居るゾンビが発生させてた様な気がするでござる」
「海のタコが熱くなって水蒸気で霧を出してた!」
いや、皆ばらばら。絶対、勇者のは違うわ。取り敢えず水関係の場所に発生源があるのか。
よし、フール。二択くれ。
『あ、そういう使い方するか?うーん、ちょっと待て……こうかな。ヘイストを使うかロックオンにマナポを使うか……かな?』
なんでそんなあやふやなんだよ。
『いや、二択って言われたからな。数多ある選択肢のなかから二つ選んだ』
ん、あぁそうか。ホテルに行けって事だな。
『否定はしない』
「よし、じゃぁホテル行くか。ロックオンにはマナポを渡しとく」
「僕あんまりこれ好きじゃないんだけど太陽出てないならしょうがないね」
「魚、嫌いか?」
「いや、材料の話じゃなくて」
「味付きが良いか?」
「出来るの?じゃぁ苦くしてほしいかな?コーヒーみたいに」
「帰ったら試すか」
「期待してるよ」
「よし、ヘイストを掛けるから忍者は最低限の速度でティキを抱えてホテルに向かえ俺達は後を着いて行く」
「了解したでござるよ」
ティキの事を忘れててもティキはきちんと教会の中に居ました。
忍者の能力はヘルスポーションとマナポーション両方使えば回復しますが微々たる物です。どちらかと言うとマナの回復量の方が大きいのでヘルポ、血の生産を増強できるヘルスポーションの方が欲しいと言いました。
ティキ一行は生存者が居たというミスティックホテルへと向かいます。
それでは皆様また次回。