第03稿01話~霧深き世界2~
__遊び人|ミスティックシティ―南区域
「きゃん」
「こっちに行くと生存者が集まっていたホテルがあるらしいでござるよ」
「でもゾンビも結構居るね。ここら辺は動物のゾンビが多いみたいだ。森の方は人型だったのに」
森を抜けて人の手が入った所に着く。遠くは見えないが目の前に立ってるのは教会。長い間、人の手が入ってないようで壁も窓も薄汚れている。人の気配はない。
「教会と墓場のようでござるな」
「人は居なさそう」
「こっちなんかあるよ!!」
勇者が墓場に入って行く。こういうゾンビ物って墓場に入ったらゾンビが湧いて出てくるんじゃ……
「なにこれ。骨?ユウ君ユウ君!どう思う?」
勇者について行くと一つの墓石に縋りつく様に骨が落ちていた。鑑定してみる。……人の骨の様だ。最後の文字が人だというのは分かるが他が文字化けしている。
「人の骨だ。名前までは分からんが」
「待つでござる、この文字。日本語でござるな」
「墓石のか。えっと、読みにくいな来田美優?ここに眠るかな」
ロックオンが読むが来田美優……うーん、分からないな。
「來田でござるな。成程そう言う事でござるか。であれば、この骨は如月天人、と言う事になるのでござろうな」
「何か知ってるのか?」
「作中の主人公格の二人だよー!マジかー骨と墓の下じゃ会えないねぇ。生きてるの見たかった!」
「軽っ」
うん、まぁ確かに作中に行ったら多分主人公達と会ってみたいというのは分かるけど。死んでるというのはどういう事か。
「くぅん」
「結構時間が経ってるかもしれないと言っているでござるよ。あと世界線が違うとか言ってるでござるね」
「成程、成程?まぁ、ここ自体、別世界みたいだしな」
どう見ても日本語の様だ。つまりファンタシア王国とは違う日本のある世界がこのエリアのモチーフ何だろう。つまり、このダンジョンは生成したのは魔物の転生者が現状濃厚だ。
『いや、今回ちょっとイレギュラーがあってだな魔物側は関わってない』
関わってないんかーい!転生者以外に出来るのか?
『あぁ、まぁ詳しくは言えないんだが今、お前らは胃袋の中に居る』
かなり不味くないか?
『不味いぞ。だから胃酸、という霧の原因を潰したらどうにかなるはずだ』
霧の原因ね。取り敢えず街の中の探索するか。
「んー……価値あるものこれだけ?骨と墓だけだったんだけど」
成程、勇者はトレハン系のスキルで感知したのか。俺もトレハン使っておくか……反応はあるけど見当たらないな。土が反応してるのか?土に埋まっているのか。でも墓を暴く様で嫌だし言わないでおくか。
掘ったらゾンビ出て来そうだしな。アンデッド系は毒が効かないから倒す事は出来ないが動きが遅いので逃げる事は出来る。
「ん、上から敵来てるよ!」
「本当だ。これは鴉かな?」
勇者とロックオンが敵を感知した様だ。
「「「くぁああああ」」」
上を見ると鳴き声が聞こえるが霧で姿が見えにくい。声の数からすると群れか。
危険察知が発動した。マジか。一撃死する可能性があるのか!?しかも危険域広い。
危険察知は死ぬ可能性のある攻撃範囲を赤く視覚化する能力。基本的に呪いのお陰で空気になってたスキルだけど。範囲攻撃の範囲内と言う事か。各々、身は守れるだろう。俺は範囲外に逃げよう……
ヘイストを掛けてエリア外に出る。風切り音に合わせてガトリングでも打ち込まれてるかのような着弾音。そして砂煙。鴉とか言ってたけど鴉が墓場荒らし攻撃をしてくるとは。
羽ばたきが上空の霧の向こうに消える。砂埃が落ち着くと地面で態勢を整える鴉たちが居た。
眼がある筈の部分には空洞になっていてそこから何とも言えない液が垂れている。
前言撤回、鳥ゾンビは素早い様だ。
「うわ、本だと良いけど実物キモイ!!」
地面に居た鴉達は勇者の剣の一振りで消え去った。クレーターが出来ている。如月天人とやらの遺骸も墓も吹き飛ばされたな……と思ったがそれは残っていた。墓を中心に円形に残ってると言う事は結界か何かが防いだのだろうか。
「また来るよ!」
逃げてれば終わるな。先程よりも広範囲に危険察知が発動する。もしかしなくても霧に紛れて沢山居る?
「物量作戦で来たみたいだ。建物に避難した方が良さそう」
「ロックオンの言う通り、教会に避難するぞ」
「了解でござる」
「霧で見えにくいから撤退!」
全員で教会に……ティキも回収しなきゃ。ヘイストヘイスト。
「きゃーん」
「あーれーと言ってるでござるよ」
「その翻訳は要らない」
バードストライクガトリング砲。当たったら相手は貪られる。
街には動物ゾンビが主です。建物内は……
それでは皆様また次回。