第02稿11話~海上ダンジョン4~
__勇者|海上
「出航!目的地はあっち!ゴートさんあっちだよ!」
「把握しております勇者様。船の速度は一定、無理に速度を出すと船体が壊れる可能性もありますので到着するまではゆっくりしていただいて結構です」
「任せた!さて、スノウ!」
「はいはい、何?」
「あの魔銃でドーンって奴出来る?」
「え?突然何よ。多分、再現は出来ると思うけど属性も違うし精度も悪いと思うわよ?」
「大丈夫!じゃぁ、ココはゴートさんに任せるから人間砲台で行こう」
「は?」
「はい、マナポ」
「いや、だからその量は吐くわよ。いや、それより人間砲台ってどういうこと?」
「氷の砲弾に乗ってユウ君の所に先に行く事にした」
「無茶するわね」
「これからするんだよ!スノウが」
「……そうね。私の負担がデカいモノね。分かったわ。やってやろうじゃない」
「お願い!」
スノウがマナポを一気飲みした後、詠唱を始めた。まぁるい大きな水の玉が宙に浮かぶ。
「ユウ、方角はどっち?」
「んーっと、あっち」
追加のマナポを飲みながらスノウが指をさした方角に向かって氷の砲台が伸ばされていく。うん、おっきくて太い。
「はい、出来たわよ。うっぷ。ちょっと吐き気が」
「海に吐いてね」
「やらせておいて酷いわね。取り敢えず人間砲台するんでしょう?入りなさいな」
「はーい」
砲台の中に入る。人、二人分の余裕はあるな。玉はもう氷でカッチコチになってるようだ。まるで水晶玉みたい。
「よーっしファーストギア!!」
取り敢えず身体を温めよう。氷で出来てるからさんむい。
「セカンドギアー!」
「カウント幾つで発射すればいいかしら」
「ファイナルって言ったら」
「行ってらっしゃい」
「えっちょぉ!?」
__遊び人|海上ダンジョン
さてと、ここまでの情報整理だ。壁も床も透明なダンジョンを探索し始めたが、現状マップ機能にはスイッチ等は記入されない。見えない壁床を可視化出来るのはカタナだけ。そして、起動し始めた魔法陣をロックオンが破壊した所か。
『選択肢だ。進むか逃げるかどっちにする?』
ここでか。
『割と早く選択した方が良いと思う。もう来てるし。物理法則とか一切合切無視だ。いや、魔法ってそういうもんだけど』
ん?来てる?何が?
『一つだけ、留まるのは止めろ』
「移動しよう。ここで起きてしまった事を考えても意味がないしな」
特に危険も罠も無さそうだが。取り敢えず移動しとくか。
『これだから――はダメだな』
何か言ったか?
『検閲だ検閲。気にするな』
「そうでござるね。ではあちらの扉から選ぶでござるよ」
「よし、ここは間をとって真ん中にしよう」
「まだ何も言ってないでござるよ……」
「分かった。真ん中にしよう」
「えぇ?良いんでござるか?ロックオンが適当に決めたのは当てにならないって……」
「置いてくよ」
「ま、待つでござる二人とも」
3つある扉の真ん中の扉に入る。後から入った忍者が部屋の輪郭を浮かばせる。
「……中はこんな感じでござるね」
広さは20畳ほど、本当にこのダンジョン何もないな。不自然な位アイテムが生成されてない。
「む?何でござるか?これは……」
「どうしたのカタナ?」
「吸われてるでござる」
そう言われ周りを見ると。壁や床から赤い線が5本程伸びている。血を吸われている?
「ちょっと不味いでござるね。拙者、吸血生物には強いと思ってたのでござるが。拙者よりもあちらの方がレベルが高いみたいでござる」
「成程……」
アナライズ……何……?文字化けしているんだが。どういう事だフール。
『これは魔物じゃないな。というかこの世界の――のモノじゃないって事だ。つまり……』
取り敢えず。良く分からん相手に先手を取られた事は確か。そうこうしてる間に吸血した血が敵の全容を浮かびあがらせる。なんだあれ。複雑に絡み合ったパイプの様な……あれ、どっかで見覚えあるぞ。あっ。
「あっトキトー。それ僕に頂戴」
確認の為、取り出した船の中でロックオンが持って来たパイプが組み合わされた楽器を取り出したらロックオンに奪われた。
「これは最強だ」
「ロックオン大丈夫なのか?」
「コレをこうして……」
「血の回収は諦めて切り捨てるでござる。これだからロックオンが適当に決めたのはあてにならないでござるよ……」
魔物ではない吸血生物……現る!!蚊かな?
忍者は魔力を血に親和させて操っていますが。今回の敵は血を完全に取り込まれて忍者でも動かせなくなっています。そして持ち出した楽器の様なモノ。おや?ロックオンの様子が……
それでは皆様また次回!