第02稿11話~海上ダンジョン~
__忍者|甲板
「ふむ、海風がじっとりしてるでござるな」
海の向こうに見える扉を見る。アレが海上ダンジョンの入り口……しかしダンジョンの入り口にしては良くない気が漏れているでござるな。
今回は他者の介入は無さそうでござるが、何となく良くない事が起こりそうな気配がするでござるな。
「忍者の……カタナか、何をしているんだ」
「カルク王子でござるか。海を眺めてたでござるよ」
「王子は要らない。海、荒れそうか?」
「どうでござろうな。大丈夫とは思うでござるが良くない気配もするでござるな」
「そうか。まぁ今日、もう昨日か。魚を捌いてくれてありがとう」
「メインはトキトー殿でござるよ」
「あぁ、トキトーは感謝しかないな。あの時ロックオンを見てないがどうしたんだ?」
「倉庫に置いてきたのでござるよ」
「倉庫には何があるんだ」
「色々なマジックアイテムが置いてあったでござる」
「流石、冒険者ギルドの船だな」
「トキトー殿の口振りから察するに商会の開発したものらしいでござるよ」
「成程な。ふむ、スポンサー提携的なのを結ぶのも良いか」
「金の話でござるか?」
「金の話だな。俺達はちょっと王宮に居るには権力弱いからな。他で生きていく方法を探さないとならん」
「ふむ、拙者らと冒険者でもやるでござるか?」
「それも良いかもな。ただ、カルラと一緒に居たいからな」
「ふむ、成程でござる」
「2人で静かに暮らしたいな」
「大森林の村でのんびり過ごすのも良いでござるな」
「大森林か」
「自然が多くて良い所でござるよ」
「カタナは大森林出身なのか?」
「うーむ、そうなのでござるかね?多分そうでござる。拙者の種族が人間だから疑問が残るでござる」
「大森林は獣人が多いんだったか?」
「そうでござる。身体能力が高いのが特徴でござるな」
「忍者はそう言えばレアな職業なんだよな」
「要求ステータスが高いらしいでござるよ」
「と言う事は忍者は高ステータスしかなれないのか?」
「強いて言うなら特技を伸ばす職業という感じでござるな」
「ほう、王子と王女は職業と言うより称号みたいなものだからな。スキルが固定化されるとか魔法も特定のものしか扱えないとか制限は特に無いんだよな」
「ふむ、そう言う事なら忍者も同じように制限は特に無いでござるね」
「そうなのか?」
「自分の特技やステータスによって使える技が決まるでござるよ」
「自由度が高いのか。王子と王女はステータスとかは生まれた時に持ってるスキルに関係したステータスが上がって行くみたいだ」
「ふむ、忍者の場合は自分で修行をしてステータスを上げる感じでござるな」
「別ゲーだな」
「システムがちょっと違うでござるな」
「トキトーやロックオンはどういったステータスの上がり方なんだろうな」
「僕は自分で振るMMORPG方式だね」
静観を決めていたロックオンが話かけて来たでござる。
「居たのか」
「ん、カタナが居なかったから探しに来た」
「夜風に当たりに来たでござるよ」
「だろうとおもった。それで?ステータスの上昇の方法についてかな?」
「そうだ。ロックオンは自由に割り振れるのか?」
「うん、そうだよ。と言っても1ポイントで上がる量がステータス毎に違うからMPに殆どって感じで特化に振ってるよ。MP大喰らいだからさ。僕の銃」
「特化は強いよなぁ。と言うか商会が木端微塵になってたんだが、ノーライルより火力があるんじゃないか?」
「機構的には向こうも魔力で動いてるみたいだし一緒かもね」
「かもしれないな。マジックアイテムの評価は人それぞれだから向き不向きがあるという奴だな。使える者が使ったら強い」
「違いないでござる」
__勇者|トキトー邸
「どーしよー!ユウ君が遠くにいるよ!」
「お坊ちゃまは海上ダンジョンへ向かわれました」
「ゴートさん!海上ダンジョン?」
「はい、壁も床も透明な空中にあるダンジョンとの事です」
「んむむ」
「どういたしましたか?」
「行く!皆招集!」
「どうしたユウ」
「寝てたのに何ぃ」
「聞いていたけどどうやって海に行くつもり?」
「スノウに道作ってもらう!」
「どのくらいの距離かも分からないのに……MP持つか分からないわよ?」
「そっか!うーん、じゃぁはい」
「これは……マナポーション?どうしたのこれ」
「ミクルちゃんに貰った!」
「ミクル?」
「ミミックの子ー」
「それでどうしてコレを?」
「飲めば解決!」
「吐くわよ。距離も分からないのに飲みながら行くのはキツイわよ」
「そっか」
「ふ……旦那様の許可があれば船を出す事も可能ですが」
「もう今日は遅いから明日にしたらどうかしら?」
「むぅ、それもそっかー!そうしよう!」
次回、海上ダンジョン突入。
勇者の勘はレーダー探知機。
それでは皆様また次回。