第02稿10話~王子と王女のダンジョン飯13~
__遊び人|船内
「おぉ、何アレ鯨が飛んでる。綺麗だなぁ」
「ダンジョン入ったら光合成出来ないでござるよ」
「いや、別に撃つつもりないよ。ん、凄いな。ノーライル君、何か雷で網みたいなので鯨捕獲しようとしてる」
「壁も無い空の上のダンジョンだから逆に光合成し放題じゃないかな」
「着くのにどれ位かかるでござるか?」
「さぁ?船長に聞かないと分からないな」
「おぉ、暴れてるなぁ津波は雷が焼いてるみたいだけど凄い出力だ」
「聞いてるだけだと天災VS天災か?」
「鯨VSノーライル君だよ。いやぁ、あの文字通り人型兵器みたいな装備はちょっと胸が熱くなるね」
「うむ、あれは鎧装備になるのでござろうか?」
「文字通り兵器なら乗り物なんじゃないかな?もしかしたら戦車扱いかもライダーだし」
「今は空飛んでるでござるからさながら戦闘機と言った所でござるな」
「規模と持続力みて魔力枯渇しないのが凄いね」
「発電の機構も入ってるとしたら相当重量がありそうでござるな」
「そもそもあの中は拡張空間になっていて操縦してるのかも」
「夢があるでござるなぁ」
「拡張空間……便利な魔法だな」
アーティファクトは大体拡張魔法が盛り込まれているアイテムが多い。転生の時のアイテムもそう言った方が多い様だ。
『まぁ空間と時間系は神の叡智みたいなところがあるからな』
なんだか久しぶりの登場な気がするのは気のせいか?
『結構、顔は出してる筈だからそう思うのはお前の感じる時間が濃密なんだろう。何度も言うが俺ほど雑談する担当は珍しいぞ』
フール以外を知らないから何とも言えんな。
『拡張空間は限定的な条件の下でしか使用できない。ダンジョンでのマジックアイテムも使い切りの物が殆どだ』
「うーん、でも操縦にしては動きもラグが無いし武装の一つ一つが拡張空間に入れられてるって方が正しいかも?」
「ここから見えるのか?」
船からかなり離れていて俺には米粒大位しか見えない。
「まぁ狙撃手だから」
「銃で近接戦してたのにか?」
「弱点を無くす為の修練でござるよ」
「プロは弱点も潰しておくもの。狙撃手が近接は出来ないと誰も決めてない!」
「確かにそうだが」
「目指せ仕事が出来る蛇さん」
「それはギリギリでござるよ……」
__ライダー|海上
「さてさて、ここからどうするっすかね」
現在、電磁網で捕獲を心みるも鯨は健在。
『電流ネット、有効打。与えられていません。有効な攻撃への切り替えを推奨します』
なるべく損害の少ない攻撃を検索。
『非有効打、原因、厚い体脂肪に阻まれ電撃が通っていません。損害を最小に抑えるのなら手段を変更。体内に直接電撃を与える事が望ましいと思われます』
あの口の中に飛び込む勇気はないっす。
『攻撃形態の種類を変更を提案。銛の様に打ち込むのはどうでしょう』
網漁で絡めた後は銛で弱める。良いかも知れないっすね。その方針で行くっす。
『生産電力と消費電力の割合から見て射出可能数は3発です。それ以上はネットの維持が出来ません』
3発、中々少ないっすね。まぁやるっすか。狙う所は眼か口の中に直接放り込むかっすかね。取り敢えず眼を狙うっす。
『第一射、準備完了』
「射出!」
伸ばした腕から直接、電撃の槍が放たれる。一直線に鯨の眼に飛んでいく。
『目標への着弾を確認、第二射、チャージ中。目標の状態は健在』
「眼は駄目っすか。お、あそこは……銛によるレールガンに変更っす。弾が銛だからセーフっすよね」
『目標変更、演算中。第二射、準備完了。入射角の効果的な一撃を求める為に上昇を推奨』
機体を上空へ移動し、腕を構える。腕の側面から砲台のようなパーツがせり出してくる。
「どたまかち割ってやるっす!」
『目的のズレを確認、修正しますか?』
「比喩だからしないで良いっす。とりまレールガン射出!」
ガリバリと削るような音を立て射出された銛は、雷を纏って空気を割く様に鯨の頭、潮を噴き出す穿孔に吸い込まれて行った。
あそこって頭?背?背の方っすかね?
轟音を響かせて肉の焼ける匂いがする。本来なら潮を噴き出して排水する所からは煙があがり何とも香ばしい状態になっていた。
『目標沈黙、目標の状態は麻痺、火傷による瀕死状態』
「いっちょあがりっすね。船に戻るっすよ」
『電磁網の縮小を開始、牽引します』
あくまでも鯨の様な大きな魔物です。
それでは皆様また次回。お楽しみに