第01稿04話~特待生寮1~
__遊び人|特待生寮
特待生寮。それは想像以上に大きな建物、と言うより屋敷と言った方が正しいか。
屋敷は3階建て、さらに装飾まで入っている。そして驚く事に男女共用の寮らしい。
『夜這いは止めとけ』
アホか。
どうやら特待生は勇者PT以外は学園長が目を付けた者や貴族、王族が参加しているようだ。
つまり田舎者が手を出したらそらもう酷いことになるだろう。
『分かってんなら良い。流石に転生者相手だとレベルが高くてもふるぼっこにされるドン。遊び人、転生者の中で最弱ポジだからな。まぁ、攻略するなら計画的に仲間に引き入れようぜ』
なんだお前。急に真面目な事言うなよ。
「取り敢えず中に入って寮長を探そう。確かエプロンを付けてる人がそうだって聞いた」
寮の中に入るとエプロンを付けた長い茶髪に茶色い瞳の女性がこちらに気付いた。
素朴な村娘にしか見えない子はエプロンの下にメイド服を着ている。
「ん?特待生寮にようこそ。えっと、ロックオンとカタナ君でしたよね」
「あと、こちらはユウ・トキトーです」
「え?あぁ、報告は来てるよ。ようこそトキトー、特待生寮へ」
「よろしく」
「あ、名前がまだだった。フィオ・ファーマー、村人だけど特待生で寮長をしてます」
「学園長に家名を貰ったんだってさ」
この世界では名前だけの所が多い。家名は貴族になる時や武勲を貰ったりすることがあるが自分で名乗る奴もいるらしい。ちなみに俺の家名はこの国の外れの港町の領主をしている親から貰ったものだ。
「フィオと呼んでください。夕ご飯は庭で取れたモノで作ってます。出来たら呼びますので自由にしてくださいね。部屋は適当に2階の空き室使って、3階は女子のスペースだから気を付けてください」
「分かりました」
「それじゃ僕たちも部屋に戻るよ」
「また夕飯の時に会うでござるよ!ニンニン」
最早、この忍者は似非忍者と呼ぶべきか。
「あぁ、また後で」
さて、適当にと言われたが。何処が開いてるんだろう。
「あ、ユウ君!」
勇者とエンカウントしました。
「あぁ、ユウお疲れさん」
「ダンジョン行って来たんでしょ?良いなぁ。私たちは歴史のお勉強だったよ。この国の王子様と王女様も一緒だった2人とも瓜二つだったよ。見分けつかないくらい!」
「そうなんだ。すまんがこれから部屋を探さないといけないんだ」
名前が一緒だからか良く絡んで来るな。
「そっか、振り分け試験の時に特待生クラスに振り分けられたもんね。じゃぁ、空き部屋教えてあげる」
「それは助かるな」
勇者に案内され2階に行く。そう言えばロックオンとカタナは家名が無いのか名しか名乗ってないな。
「えっと、そことそことそこの6部屋以外は空いてるよ」
「俺も含めて男は7人しかいないのか?」
「ううん、王子と王女が一階の部屋を使ってる。あと従者の人も一階。でも女の子は多いねー」
「成程、しかし広いな」
「王子と王女の入学に供えて作った寮みたいだしね」
「しっかりした建物だ」
廊下を見ると赤いカーペットに重厚感のある赤黒い漆塗りっぽい梁や柱、白い壁そして西洋風の窓。しかし、実家を想い出すな。
「部屋はここにしよう。案内してくれてサンキュー」
「ううん、気にしないで。あ、呼ばれてるから行かなきゃ。また後でね」
勇者はユウ何処ー?と言う声に気付いて去って行った。
『拠点が決まったのなら準備しないとな』
そうだな。と言うか思ったんだがエルフとかの種族って寿命長いよな?転生者の間で差が出来ると思うんだけど。
『そうだな。その代わり死にやすいぞ』
え?そうなのか?
魔法の鞄から道具を取り出し設置していく。部屋の広さはかなり広く12畳くらいはあるな。
『耐久力に難があるからな。寿命は長くともってやつだな。寧ろ15歳まで生きれるかどうかの問題になってくる。まぁ、リタイヤした奴は今の所居ないから26人全員生存してる』
そうか。信託で戦いを強制される奴とか居るのか?
『あぁ、ジャスティスとかタワー、サンとかは正義の為にとか誰かを守るために戦いに身を投じやすいな』
成程、目付けられたら面倒くさいな。
『まぁ大丈夫だろ。幸い感知系能力、所持出来ないからな』
結構、制限あるんだな。
『まぁ、お前の攻撃スキル覚えられないのと一緒だ』
あぁ、成程。道具のセッティングが終わる。これでいつでも生産作業が出来るな。
「よし、これでオッケィ」
『何か作るのか?』
「いや、食事待ちかな」
『良いか転生者とはなるべく戦わない様に。手練手管口八丁手八丁で味方に引き込め』
「ハイハイ」
「皆さーんご飯出来ましたよー!!」カンカン
2021/01/01 フィオの容姿について。改稿
2023/04/30 書式などを調整。
寮は重要な拠点です。遊び人は戦闘よりも対人での役割が求められていたりします。ソレをフールは伝えてないだけで。
それでは皆様また次回。