第02稿10話~王子と王女のダンジョン飯6~
__王子|兎系ダンジョン
「よし、次の兎を狩るぞ」
「戻るのを待たなくて良いのですか?」
「そこの兎を狩る位なら大丈夫だろ」
「もぐもぐ、これ美味しい」
「姫様、なんか食べてるんですけど良いんですか?」
「大丈夫だ問題ない」
「でも、あの。なんか生肉だと腹壊すのでは?」
「大丈夫だ。それよりも兎を狩らないとならない」
「はぁ、良いなら良いんですけど」
「もっと美味しい兎は居るのか?」
「美味しい兎。まぁもう少し奥の階層なら種類も居ますし好みのモノが見つかると思いますよ」
「……店員みたいだな」
「ノーライルさんが戻っていらっしゃったら奥へ行ってみますか?」
「あぁ、頼む」
「お待たせしたっす。何も問題は無かったっすよ」
「そうでしたか。それはお手数かけました」
「それで兎を狩るんすか?」
「いえ、ノーライルさんが良ければもう少し奥の階層の兎を狩りに行こうと思いまして大丈夫ですか?」
「分かったっす。んじゃ行くっすよ」
どうやらノーライルは行く事にしたようだ。一応、こちらが雇い主と言う形だが護衛なのでこういう場所での行動権は基本的にノーライルの指示に従う事になる。こっちは王宮暮らしでゆとり教育だったからな。末席じゃ最低限のマナーと教育だけ、そんなモノだ。
次の階層のポータルはすぐに見つかった。
「そう言えば次の層に進む前に聞きたいんすけど」
「どうしましたか?」
「このダンジョンは何層っすか?」
「5層までですよ」
「んじゃボスまで狩りに行くっす経験値も欲しいっすからね」
「ボスに挑むのか分かった。ただ、食用には適さないと思います」
「あぁ、経験値だけ貰いに行くだけっすから大丈夫っすよ。ちなみにボスはなんすか?」
「バリツラビットだ」
「え?武術使うんすか?」
「武術?まぁ凄い速い突進をしてくるぞ。予備動作無しで突撃してくるから気を付けろ」
「バリツと言うよりブリッツっすね」
「筋量が多いから調理が大変ですよ。それこそブレイク様位の調理スキルが無ければ駄目でしょうね」
トキトーのジョブは遊び人の筈だが話を聞いてると生産職に思えてくるな。
「アイツ、完全に生産職っすね。まぁ、遊び人は生産職っすよね」
良く分からない納得をしている……
__王子|兎系ダンジョン2層
という訳で兎肉を求めて2層にやって来た。
そう言えば兎肉以外にダンジョンで獲れる食材は無いのだろうか。
「兎肉以外に獲れる食材ってあるんですか?」
「ここ兎の魔物しか居ませんからね」
「カルク兄様」
「どうした」
カルラに呼ばれ指差す方を見る。うむ、角のある大型の兎が集団で跳ねている。
「兎肉以外を聞いているんだ」
「違う食べてる」
兎が、生えてる野草を食べている。確かに食べている。なるほど、兎が食べられているのなら毒は無いか。あってもカルラは喰える。
「あれは生食は可ですけど本当になんの効果も無い雑草ですよ。薬草でも無いですね」
「もむもむ、青臭い」
「ちょ、カルラ王女。道端のモノは食べちゃ駄目って言ってるじゃないっすか」
「大丈夫」
「いや、俺と王子だけなら良いっすけどね。案内人も居るんだから自重するっす」
「そこに食べ物があるから」
「ノーライル、無駄だ。諦めろ」
ボス戦の区切りが良かったので短いですがここで投稿。
次回は"兎系"ダンジョンのボスです。
それでは皆様また次回。