表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/180

第02稿10話~王子と王女のダンジョン飯4~


__王子|兎系ダンジョン


「すまんすまん話に夢中になっちゃったな。早速狩りをしよう」


「早く早く」


 プンスコしてるカルラも可愛いな。


「ここはダンジョンっすよ。砂糖振りまくのは自重するっす」


「……そうだな。よし、兎狩りと行こうか」


「敵は基本兎系モンスターしか居ないですけど罠も結構あるから気を付けてください」


「分かった」


 身体は大きいが兎は兎。さっさと狩って調理しよう。

 そう思って前に出ると耳が薄緑の兎が大口を開けていた。


「ん?」


 口の中は、目に見える緑色の玉が。大人しいんじゃなかったのか。ノンアクティブだと思ったんだけど。


「ここの兎は殺意に敏感です。私たち狩人は殺気を消す事から覚えますから言い忘れてました」


 そう言うコトは先に言って欲しい。


「……スラッシュ!」


 つまり放たれる前にヤレという事だな。口から多分魔法が放たれる前にスラッシュで頭蓋をかち割る。

 大きい兎の頭をかち割る感覚はまるで人間の頭をかち割ったかのようだ。いや、かち割ったこと無いけど。

 そして暴風が吹き荒れた様な音がして兎の頭が四散する。服に血が……昨日とは違って汚れても良い服装で来ているが。


「よし、頭は無くなった。しかし身体は無事だから食えるぞ」


 足をロープで縛り首の方を下にする。ぼどぼどと血が流れていく。


「……血抜きが出来たら氷漬けにします」


「氷漬けにするのか?ダンジョン飯という話だが」


「はい。ですが芯まで凍らないように調節します。凍りそうで凍らない位を保つと言ってましたね。氷温熟成と言うらしいです。そして、その為のアイテムもあります。氷漬けにしたらこの鞄に入れる事で熟成を進めます」


 そう言ってマックが取り出したのは無地のエコバッグだった。


「……エコバッグ?」


「この鞄は被せるようにして包めば中に入れたものの時間を早送りする事が出来ます。生産スキルが無くても使えるマジックアイテムです」


 コレを鞄と呼ぶにはジわるが熟成を進めるマジックアイテムか。そんなモノがあったんだな。


「商会の研究部に頼んで似たものを作ってもらいました」


 似たもの。と言うコトは効果が違うという事かね?


「残念ながら効果は再現出来たがこの様な袋になってしまった」


 形の話かよ!まぁ、取っ手のついた袋だし。一応、バッグでも通じるとは思う。


「ジュルリ」


 おっと、我が妹様が食料をご所望だ。哀れな兎を求めてダンジョンを探索しよう。



__ライダー|兎系ダンジョン


 スラッシュで兎の頭をかち割ったあの剣。ただの装飾された剣だと思ったっすけど魔法装備の様っすね。

 どうやら説明範囲外の事っすかねぇ。まぁ王子達を殺して奪ってトンズラするよりも王子の下でたんまりお金貰ってた方が遥かに楽っすし気にしなくて良いっすな。


「ジュルリ」


 おっと、我が暴食姫が食料をご所望……?誰かダンジョンに入ってきたっすね。

 入り口に置いてあったタレットが反応したっす。さて仕事だけはしとくっすかね。


 護衛の仕事として一番、警戒をしないといけないのはやっぱりダンジョン内である。

 外との連絡は取れないし。何よりダンジョン内は外からだと密室みたいなものだ。

 入り口は一つ。待ち伏せをしやすい。でもダンジョン内からだと誰が入ってくるかも分からないのでもう一つの待ち伏せポイント。階層を移動する場所だ。王者の墓場では階段タイプだったが他のタイプもある。しかし、共通してるのは次の階層に移動するポータルも一つしかない事だ。最奥には時々入り口まで戻れる魔法陣がある事もあるが基本、帰りはポータルを通る。そこを待ち伏せされる事も多い。

 まぁうちの王子達は狙われる程、継承権も高くないし。刺客は少ない。筈なんすけどねぇ。



[依頼人が言ってたのはここか?]


[あぁ、ここにターゲットが居る筈だ]


[双子の子供を拉致れば金貨1000枚とかボロい仕事だな]


 もしかしなくても敵っすねー。見敵必殺。機銃掃射。


[な!?敵か?なんだあっ]


[[ぎゃああ]]


 そして、もう一つ。ダンジョン内で殺された死体はダンジョンがリサイクルするのだ。

 つまり、ダンジョンが証拠隠滅してくれる。という訳で人を殺すのにこれほどうってつけの場所は無いって事っすねー。この世界、外は平和だけれど。こういうダンジョンとか裏側は暗殺が蔓延ってるっすし。


 いやー、やっぱり俺のスキルはマジチートっすね。隠密、近接、遠隔。何でもござれっす。

「入り口の方から音が聞こえたような」


 狩人を馬鹿にしちゃいけないっすね。


「俺が見てくるっす」


 正直、護衛である俺が護衛対象から離れるのは駄目っすけどタレット置いとけば問題ないっすからねぇ。



自分のキャラビルドに自信しかない彼は知らない。

勇者は化け物だという事を。


という訳で今回はここまで、それでは皆様また次回。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ