第02稿09話~そうだ、カメラを作ろう5~
__遊び人|トキトー邸
さて、何度も拉致られたらまた拉致られると相場は決まっている。
決まっているのか?と言うか、朝からあっちこっち連れてかれて腹が減った。
魔法の鞄からパンを取り出し齧りながら庭を歩く、庭園に辿り着く。
この世界では貴族は社交のパーティを開く事があるので庭や共用スペースが広く取られている。
そして基本的に庭園や調度品はその家の貴族婦人のセンスが問われる部分だ。
色とりどりの花がさく庭園、花の甘い匂いに混じってがするって事は家の誰かがお茶でも飲んでいるんだろう。
「トキトー殿」
「今度は何処だ?」
「いや、別に連れ去りに来たわけでは無いでござるよ?」
家の人が紅茶を嗜むテーブルのある方から忍者が現れた。忍者も一緒に飲んでいたのか。
「甘い匂いに誘われ庭園に来たら奥方に誘われたのでござる。それでトキトー殿が来たのが分かった拙者が捕まえに来たでござる」
「連れ去りに来たんじゃないか。ロックオンは?」
「ロックオンは昼寝してるでござるよ」
「アイツ、寝るんだな」
「不眠不休だとでも思ってたでござるか?」
「いや、ヒットマンって眠らないって聞いたことがあったから」
「ロックオンはヒットマンでは無いでござるよ。どちらかと言うと浪漫砲でござるな。一撃で仕留めるでは無く標的の一定範囲内を丸ごと駆逐してやる!!って感じでござるな」
「取り敢えず母が待ってるなら行くか」
「そうでござるな」
腰辺りに忍者が手を伸ばす。やっぱり拉致じゃないか!と思った瞬間には凄い勢いで引っ張られ連れてかれる。朝も思ったけど。これやられたら素早さのステータス高くないと何されたか分からないな。
連れていかれた先はティーカップが並ぶテーブル。母と2人の妹¥もテーブルを囲んでいた。
「連れて来たでござるよ」
「あら、ありがと。久しぶりね!息子よ!」
「あ、それは夫婦共通言語でござるか」
「お兄ちゃん!婚約者って聞いたけど嘘なんでしょ?」
「認めないからね!!そんな何処の馬の骨とも知れない!お兄ちゃんに相応しくない!!」
「それだと俺が兄に相応しくないと言われている様な」
「「そんなことない」」
一言一句同じ言葉で同じ顔、同じ動作でそんな事を言ってもなぁ。不気味だ。
「しかし、トキトー殿にも妹が居ったのでござるな」
「カタナにも居るのか?」
「兄と慕ってくれていた者は居るが拙者は捨て子でござった。他にも兄弟が居るかも知れぬでござるし居ないかもしれないでござる」
「成程な」
会話中に使用人の淹れてくれた紅茶を飲む。ふと花壇に目線をやると花壇の柵にもたれかかって寝てる奴が居た。
「ロックオンなんでここで寝るんだ?」
「外で寝たかったらしいでござる。太陽の下で寝るとMPが回復しやすいらしいでござるよ」
何処かのヴァンパイアハンターか。
「「お兄ちゃん聞いてるの!」」
「聞いてなかった。何か言ったか?」
「まぁまぁ、貴方達。お兄ちゃんじゃなくお父さんが決めたみたいだからお父さんに言った方が良いわよ」
「「それもそうか」」
妹達は何か納得したらしい。
「それで、息子はあの子の事どう思ってるの?」
「正直言って怖い」
「怖い?どうして?」
「いや、結構グイグイ来られる事ってあまりないからな」
「確かに猪みたいな子だったわねー」
「ん、会ったのか?」
「うん、許可しといた」
「「えー!?なんで許可しちゃったの!!裏切り者!!」」
「まぁまぁ、2人の所にも来る筈だから、その時に言いたい放題言えばいいのよ」
「嫁姑よりも嫁小姑戦争でござるか」
「それは乗り越えるべき壁だな」
「見れば分かるけど見た目的には問題ないわよ」
「可愛い?」「綺麗?」
「んー、可愛い系かな。一緒に居た子達は綺麗系だったかな。あ、ピンクの子も可愛い系だったかも」
「「早く来ないかなー」」
「ふぁー、あれ。トキトー居たんだ?」
「ロックオン、おはよう」
「うん、おはよう」
「ティータイムか、僕も貰っていい?」
「どうぞ」
「ん、ありがとう」
うちの使用人は言われる前から準備していた。うちの使用人、優秀な人多すぎるな。
「おかわりは如何でしょうか?」
「貰おう」
「「私達もー」」
「そう言えば、この後。2人は何するんだ?」
「気力回復かな」
「マナポ飲むか?」
「出来る限りは自然回復が良いんだ」
「そうか」
「拙者もゆっくりと過ごす予定でござるよ」
「俺もゆっくりするかな。また拉致られないよな?」
甘い匂い(花木の香り)に誘われてやって来たロックオン&カタナ。
次回は誰のSceneでしょう!
それでは皆様また次回。