第02稿08話~垂らした餌に魚は食い付くか15~
__忍者|湖畔
辿り着いた場所にはゾンビと戦っているカーキ色のオーバーオールに黒シャツ。頭にはキャスケット帽を被っている青年が居た。
「助太刀は必要でござるか?」
「お願いします!」
「よーし、やるでござるよ!」
オーバーオールの青年の武器は……刀と槍を持っている。珍しい二刀流でござるな!!
しかし、このゾンビ達は知性があるようで青年の刀を手にした棘で防いだりしている。どうやら包囲網を敷いて逃がさないように立ち回ってるようだ。
一先ずこっちに来たゾンビは無視して向こうを囲もうとしてるゾンビを消し飛ばすでござる。
「はっ!はっ!」
刀を二振り。やはり刀が拙者のそうるうぇぽんでござるな。二筋の閃光がゾンビの頭を刎ねる。
「片凪流、閃刃!!」
さらに、複数の閃光を飛ばして戸惑っているゾンビの頭を刎ねていく。
刀凪流と言うのは拙者の転生前に習っていた流派でござる。一通りの武器の扱いを学び、しっくり来た武器を中心として学んでいく。父が師範だったのでござるが親より子が先に亡くなってしまうとは、……三途の川で石積むよりかは良いでござるな!
「さながら生前の無双系ゲームでござるな」
「片凪流……?片凪流!閃突!」
おや?どうして、あの者も片凪流を?槍の閃術でござるな。刀は扇状の閃光が走るのに対して閃突は一点突破の銃弾の様な閃光が走る。
ゾンビの頭を綺麗に風穴を空けている。むむ、相当な習得度でござるな。
『むぅ、僕も遊びたーい』
ぴょんぴょんと二本足でジャンプしているティキがクナイの様な先をした舌をぐるぐると回している。ちょっとカオス。
『地面割れる?』
「地面を割れば良いんですか?」
『うん、お願いできる?』
「じゃあ、俺がやります」
そう言って青年が両手を高く上げる。その手に持つのは大きな槌だ。
飛ぶでござる。あいきゃんふらーい!翼を作りティキを小脇に抱えて地上を離れる。
青白く光ってちょっとヌメってるでござる……なめこ?
「片凪流!破槌!打槌!」
振り下ろした大槌は、さながら地面に隕石が墜落したように地面にクレーターを作る。そして地震の様な振動がもう一度起きて。クレーターが崩れる。
「割るとはちょっと違いましたかね?」
『十分な角度だよ君』
ティキ殿が拙者の腕の中から消える。すると崩れた地面に現れゾンビの頭に舌を伸ばす。あの舌はどれだけ伸びるのだろうか。
順調に頭を破壊していくティキ殿。あれ?これただ暴れるのに参加したかっただけなんじゃないでござろうか?
「凄いですね。あのワンちゃん」
「そうでござるなぁ。連れてけと言われて連れて来たでござるが、拙者要らないようでござる」
「それよりも貴方は片凪流の関係者ですよね?」
「それはこちらも聞きたかったでござる。拙者は片凪……総真と言うでござる。元でござるが」
「元……?転生者って事ですか?それとも放浪者になって元人間的な意味合いですか?」
「前者の方でござる。それで……お主は?」
「俺は……自分が誰だか分からないんです。ただ色んな武器の作り方を知ってて、この荒れ果てた世界で武器を作って生きています。生存者からはスミスって呼ばれてます。ブラックスミス、鍛冶師から取って。俺はどうも転移者って言う方が正しいかもしれません。元の世界に戻る方法を探してるんですけど見つからなくて」
「ほう、スミスさんでござるか。すまぬ。拙者にもスミス殿が誰かは分からぬ。しかし一つ言えるのはウェポンマスターレベルで様々な武器が作れるという事は師範代に届く実力者と言う事でござるかね」
「師範代、俺が?」
「まぁ、見てる限りではの話になるでござる」
『2人とも話してる暇はなくなるみたいだよ。目的の奴が現れた』
湖から巨大な質量が陸に上がったような水飛沫と音が聞こえソレは現れた。
パッと見、形は亀の甲羅の様に見えるソレは背からは無数の色とりどりの金属質の棘が映えている。
甲羅の本来亀が顔を出す部分には厚ぼったい口があり。その少し上から3本の茎が伸び眼の様な黄色い玉がこちらを見て居るでござるな。そして口の下からは亀の甲羅の腹の部分。そこには白い三角形の物が結構な数並んでいる。
そして棘の幾つかが伸びこちらに向かってくる。
「片凪流閃刃!」
3本の閃光が棘を弾く。おぉ、斬れないとは中々堅そうでござるな。棘でこれなら本体は相当堅いと思っていいでござるかね?
『棘に刺されたらさっきのゾンビっぽいモノにされちゃうからね。気を付けて』
「それは嫌でござるね」
「ああなるのは嫌ですね」
「作戦タイムでござる」
グラーキ登場!忍者は謎の人物スミスとティンダロスのポメと共にグラーキを倒せるのか!!
スミスは転生者でも放浪者でもなく転移者となります。
次回、勇者、トキトー邸でのミッションを開始する!!お楽しみに。
それでは皆様また次回!