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お品書き(短編集)  作者: 桐生真琴
3/13

3.女子の空間

女は怖いって話。

常日頃私は思っているわけです。

「こういうのが今流行なんだってー」

「うわ、これかわいいじゃん」

「待って、なにこれー」

ぎゃあぎゃあわあわあ騒いでる女子という生物。

ただ少しブサイクな猿の人形見てゲラゲラ笑う。

箸が転がりゃ笑う年頃ですか。二十歳超えてますけど?

「あ!見つけた!」

「なにが?…あ、これ!やったね見つけたね!」

「おそろで買おうよ、これ!」

そしてよくわかんないのが、私から見てえげつない配色のクマはリスペクトされている。

ちょーかっこよくてちょーハイセンスなんですって。

よくわからない言語しゃべってるんだよな女子という生き物は。


ふう、と息を吐く。甘いピンクの空間に連れてこられた私は、何を思い、何を喋り、何を見つめればいいのでしょう。

ハイセンスなクマが巨大化して私の斜め前に座っている。

困った。非常に困った。

同僚に連れて来られたのが数分前。

もともとその同僚は、女子という生き物をハンコで押したような人間。

話題のお店があるから行こうよ!と言われて、付き合いで来たという気持ちが半分。

残りの半分は、女子という生態への興味。

自分でいうのもなんだが、私は嘘をつくのがうまい。

こと人間関係については、嘘という真実を身に纏って生きている。

きゃあきゃあわあわあ話す女子である同僚と息なんて合うわけがない。そこを合わせてあげている私。素晴らしい。

だからといって、この環境になれるつもりもなく、そもそもこの女子らしい女子を非常に語っている女子の空間に残された私はどうしろというのだろう。

そんな状況に陥れた当の本人、同僚は飲み物とってくる! オススメの持ってくるね☆と言って消えた。

この空間から出たかったのに、同僚がいつもはしない配慮を尽くしてきた。違う意味で怖い。

「おまたせー! スペシャルドリンク☆」

その語尾に☆がついてそうな話し方はなんとかならないのかと思いつつ、えーなに? なんて調子を合わせて言ってあげる。

横から出された緑色のドリンク。

飲み物くらいは私が私であるための飲み物であって欲しかった。

まさかの緑色……しかも青汁みたいな緑じゃない緑色…かといってメロンソーダのような緑色でもない……謎の緑色。

なに、これ? と言うと、同僚は、あははは! と高らかに笑う。なぜ笑うのか。

「飲んでみて! 美味しいから!」

えー、と言いつつ、飲まないといけない状況。

渋々飲もうとコップを持ち上げる。

ピンクの空間に変な緑色の飲み物。

この配色だけで吐きそう。

ごくり。一口飲んだ瞬間変な味が広がる。

待って、待って待って待って。

思いっきり吐き出すと、咳が止まらない。

色々な思考が巡る前にけたたましい笑い声。

「ここ、個室の部屋超かわいいのに、激マズドリンクのお店なんだ!」


「私の特選激マズドリンクどうだったー?」

はあ ?と言おうと同僚を見ると、いつもの顔じゃなくてゾッとした。

あれ、いつも笑ってるのに。

「いつも私のこと笑ってるでしょ? だから、笑わせてあげるよ!」

写真を撮られて笑われる。

女子って本当に頭がおかしい。


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