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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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ある人の来店、ある人の告白


 少し大人びた雰囲気の、白いワンピースを来た少女が初来店した。ウェーブの掛かった長いブロンドヘア、大きく透き通った青い目が印象的だ。名前はシューリさんという。



「シューリさん、今日はどうなさいますか?」


「バッサリと短くして下さい。折角なのでカラーもお任せで」



 そんな注文だった。短くするのも、こちらのさじ加減で良いそうだ。そしてカットしていく。



※※※



「良いですね!動きやすそうです」


「シューリさんの元の癖を活かして、ゆるふわのショートヘアです。ムースタイプのワックスを使って、セットすると可愛いですよ」


「へぇー、そうなんですか」


「最後にちゃんとセットの仕方も、お教えしますから安心して下さい。それじゃカラーの準備に入ります」



 この街には初めて来たそうだ。折角なので、美容の盛んな街を満喫するそうで、色々買ったりもしていくそうだ。パラレルの来店もその一貫だそう。バッサリと切りたくて、しょうがなかったらしい。そしてバッサリと切ったヘアは、とても似合っている。我ながら上出来だ。



※※※



「私でも…こんな色になるんですね…」


「シューリさんの髪は元がブロンドなので、薄く淡いベージュを乗せました。柔らかい雰囲気になるんですよ。そして内側に、少しだけ暗めのアッシュを入れました。これで首が細く、顔が小さく見えやすくなります」


「それは凄いですね。でも優しくて綺麗な色ですね。とても気に入りました!」


「ありがとうございます。それじゃ最後にスタイリングしていきますね」



 カラー中は、僕がこの世界に来てからの話を聞かれた。文化を広めて良かった事や、楽しかった事等を聞かれた。悲しかった事や、辛かった事も聞かれたが、それははぐらかした。カラー自体はお任せだったので、優しく見える色を選ばせて貰った。



「ムースを毛先からこうやって…揉み込むように付けて、馴染ませます…少し残ったのを根元に付けても良いですね。少し濡れてても良いですよ。その方がウェーブが出ますから」


「なるほど…」


「その後にもう一回…ドライヤーを掛けます。毛先を優しく揉みながら…てっぺんは、強く握っても良いです…こうやると…ボリュームも出ますから」


「凄い!魔法みたいですね!」


「ははっ、ありがとうございます。でも慣れれば誰でも出来る、簡単なセットですよ」


「ふふっ、そうですね。でも奥が深い…知らなければ、何でも魔法に見えるもんですからね」


「確かにそうですね」



 仕上がりには、とても満足してくれた。僕も上手く出来た自信がある。



※※※



「今日はありがとうございました。商品も調子に乗って、沢山買っちゃいました」


「良いヘアスタイルや髪質を維持する為には、必要な物が多いですからね…沢山買って頂き、ありがとうございます」


「またいつか…」


「ええ…」



 もう帰られる…。しかし、僕はずっとシューリさんが来てから、気になっていた事を聞かせて貰う。



「あの…シューリさんて…リリーシュ様ですよね…」


「……」


「多分ですけど…声も同じだし…何となくなんですけど、雰囲気に違和感が…」


「…キクチ…正解です!」



 やっぱり。何か人ではない、神々しさがあるというか…。



「バレちゃうか~!でも気付いてくれて嬉しいよ!」


「思ってた通りの、お茶目さんで安心しました。鬼の様な人だったら、困ってましたよ」


「ふふっ、何言ってるの。まぁとにかく、この世界の為に頑張ってくれてありがとう。勝手な我が儘に付き合わせて、ごめんなさいね」


「いえ、僕達も楽しく過ごしてますから。オシャレを広めるという、勝手な使命感はありますけど。リリーシュ様は、それを求めてたんですよね?」


「そうよ。この世界がいつまで経っても、ダサかったからね。それで…繋げちゃったの、あなたの店とこの世界をね」



 僕達は間違って無かったんだな。それなら良かった。



「やってきた事が無駄じゃなくて、本当に良かったです」


「うん、ありがとう。それで…言い辛いんだけど…今繋がっている道を、塞がなきゃいけなくてね…」


「えっ、パラレルのですか?」


「そうなの…ちょっと時空が歪んできてしまって…」



 という事は、パラレルは普通に日本で営業するって事だ。この街からは無くなる…。



「でね…もし、ここに残りたいなら…残ってもいいし…帰りたいなら…」


「いつまで待てますか…」


「そうね…この世界にパラレルが来た日に、合わせましょうか。1月10日に…折角なので…そこまでなら問題にはならないでしょう」


「わかりました…じゃあその日の…夜中十二時きっかりに戻して下さい。1月10日になる瞬間ですね。そこで店内にいた者は、日本に帰ります…」


「わかったわ。そうする。それじゃ他の日本人には聞いておいてね。後腐れの無いように…ごめんね急になってしまって…」



※※※



 その後、もう少し詳しく話を聞き、リリーシュ様は立ち去っていった。そうかぁ…とうとうこの世界を去る日が来るのか…。



「店長…ずっと気になってたんですけど、さっきの人って…もしかして…」


「そうだよ。リリーシュ様だった」


「ああ~!やっぱり!話し掛ければ良かった…」



 後で皆に報告しなきゃな…。どうやって報告しよう…。スタッフ達、サイトウさんやカズヤさん、この世界の人々にね。皆はどんな反応をするのかな…。




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