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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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第二回世界武闘大会、教国と前哨戦


 あっという間に、第二回世界武闘大会の当日だ。バスも見事完成し、多くの人数でこれた。座席が思ってたより余っていたので、孤児院の子供達も連れて来ちゃったよ。ホテルの部屋はぎゅうぎゅうになったけど、学生達のお願いだからね。でも院長夫妻にも感謝されたし、僕達も嬉しかった。本当に成長したなと思ったよ。



「じゃまた後で!皆も楽しんでね!」



 去年と同じ様に皆と別れ、僕とナナセさんは貴賓席に行く。開会宣言や二つ名付けがあるからね。そして、教国の奴等に会う為にもね…。



「タハラシ様、今年も護衛まですいません…」


「いえ、教国が何をしてくるかわかりませんからね…お二人はしっかり私が守りますよ。それに影や他の国も、気を張ってますから大丈夫ですよ」


「店長は心配し過ぎなんですよ!」


「でも万が一、ナナセさんが傷付けられたら…僕は何するかわからない…」


「えっ…店長…そんな…」


「…なーんてねっ!まぁナナセさんは強いから大丈夫だろうね!」


「…店長~!」


「キクチ殿…」



 軽いジョークで、凄い怒られたよ…。でも傷付けられるのは本当に困るけどね。そして貴賓席に着くと、また各国首脳陣に迎えられる。



「おっ、待ってたぜ!元気そうだな!」


「私も楽しみにしてましたわ!」


「この間は、ありがとう!」


「新しいきのこ料理を、教えてくれないか?」


「ダウタウーン公国で披露した、水着って物を、詳しく聞かせて欲しいんだけど…」



 また皆は好き勝手に話す…。まぁ良いけどね。でも教国はまだ来ていない。おそらく最後に来るそうだ。偉ぶる、その為だけにね。



※※※



 皆と歓談していると、大きい声と下品な会話が聞こえてきた…。



「朕に相応しいな。この街を貰い受けても構わんぞ。聞いて参れ」


「はっ!教皇様の言う通りですな。すぐに聞いて参りましょう!」


「あの転移陣も朕に使われるべきだ。神の意思を感じる。教国内にも設置させてやろう」


「その通りです!設置させましょう!」



 何だ…。あの上から目線の馬鹿女は…。本気で言ってるみたいだし、周りも大丈夫か?そして久々の超ダサい奴等だ。無駄に飾られた服にアクセサリー、シワを隠す為なのか超厚化粧…。髪もモリモリだし、変だよ…。これが世界で孤立してしまった国の、一つの結果だろうな…。この間の使者も、決してオシャレでは無かったが、ここまででは無かった。あの人達は、もしかしたら少し影響を受けて、少しオシャレをしてたのかもな…。



「…これが下界の服か…ううむ…着てやっても良いな…これなら朕の服を用意させてやろう。誰か見繕えさせろ…」


「はっ!」



 おっ。自分達がダサく流行遅れという事に、気が付いたかな?相変わらずの上からではあるが…。



「…キクチはここにいるのか。いるなら会ってやろう」


「キクチはいるか!?いるなら来い!教皇様からお声を頂ける、光栄な機会だ!」



 僕を呼んだ…。かなりムカつくけど、遅かれ早かれ話す予定だし、行ってみるか。タハラシ様も付いてきてくれるし。



「はい…僕ですけど…」


「お前がキクチか、まず教皇様に跪け!そして感謝の意を述べよ」


「…嫌です」


「何をっ!」



 いきなり失礼な奴等だ。ムカついてきた。誰が跪くかよ。



「朕に逆らうと言うのか」


「さぁ、どうでしょう。本当に素晴らしい人なら、跪いて感謝しますけどね」


「貴様っ!教皇様に対してっ!無礼なっ!」


「まぁ良い。無知なる者に、礼儀を望んでもしょうがない。朕は寛大だからな」


「はいはい…そうですか…」


「折角だから特別に、朕の化粧をする栄誉を与えてやろう。嬉しいだろう?」



 こいつは本当に、さっきから何を言っているんだ…。喧嘩を売ってるなら買おう。



「あんたバカ女?そんなのする訳ないだろ」


「バカ女だと?朕を舐めてるのか…寛大な朕とはいえ…」


「はいはい、結構です。どうせ、ここに来るまで自分達のダサさに気付かず、他国の洗練された服装や、若く美しいメイクを見て驚いたんだろ?素直にさ、シワやシミを隠す為のメイクをして下さいって言えよ。だからこういうオバチャンは困る。大した事も出来ない癖に…」


「…貴様っ!教皇様になんて口をっ!」


「そもそも自分を朕て呼ぶんだから、天上の人のつもりなんだろ?天子様なら特別な力や、神の力で予め知っておけよ。天啓があるんだろ?それともただの嘘つきオバサンか?素直に認めろよ糞バカオバサンてね。それなら化粧をする事を考えてやっても良い。あくまで考えるだけね」


「…ここまで愚弄するなんて…死にたいのか?」


「あんた達の実力じゃ無理だよ。礼儀も知らない、足元も見えてない、無能なサルにはね」


「殺せっ!この無礼者を討ち取れっ!」



 その瞬間皆が一斉に動く…。タハラシ様が、影が、他国の護衛が、王族自身が、教国を迎え撃つ。僕を守る為にね。そして…。



「朕の部隊が…」


「弱すぎるな…この程度で良くキクチを…殺せると思ったな…」


「タハラシ様…皆さんありがとうございます!」


「良いよ別に、雑魚だったし」


「ああ、そうだな。これなら予選の奴等や、子供の方が強かったよ」



 教皇も抑えられた奴等も、驚いている…。圧倒的な力の差に。



「この間の使者にも、言ったんですけどね。あんたの国は詰んでるって」


「…朕の国が終わるわけなかろう…今はたまたまだ…」


「はぁ…この大会で勝てば僕を好きにして良いと伝えてあります。約束も守れないんですか?天上にいるつもりのクズは…」


「なっ何を言う」


「まさか大会もこの程度の人達が、参加をする訳じゃ無いですよね。じゃないと恥掻いて終わりですよ。この間の使者のレベルだと、子供にも負けますよ」


「そっそんな訳無かろう。今大会には我が国最強の者達が、参加をしておる。それにこの間の役立たずな奴等は、とっく処刑しておるわ!」



 まさか、僕を連れて帰れなかっただけで…処刑されるとは…。良い人達では無かったが可哀想に…。本当に最低な国だ…。



「あいつらは、朕より先に新しい服装をしていたしな。献上が先であろうに」


「バカな事を…」


「ふん、それが朕であろう。神に愛されておるしな!」


「大会が終わったら、あんたの無能さも良くわかるだろうよ。気が付いてるのか?今あんたは一人だぞ?僕を殺そうとして、全員取り押さえられて、今一人だぞ?お前が殺されてもおかしくないぞ?」


「…そっそんな訳無かろう。皆の者すぐに立ち上がり、朕の元に来い!」



 誰も動けない…。しっかり抑えられてるしね。今のうちにしっかり脅しておこう。



「謝れば、今の事は許してやっても良いよ、オバチャン。だが、謝らなければ、殺す。今すぐに。ちょうどダウタウーン公国の人もいるしね。苦しめてやろう。恨みもあるからね…」


「そうですな。妻と母の仇を取りましょう」


「ショークパ様、右手からにしますか?それとも足から?」


「いや、指の一本一本からですね」


「僕を襲った奴等も見せしめに…」



 ショークパ様もノリノリだ。周りの国の人はもう笑い出している。それが逆に不気味だ。教国の皆さんはもう顔が真っ青だ。



「で、どうする?謝るの?謝らないの?」


「…ちょちょっと、今回は朕がやり過ぎてしまった様だ…すっすまなかった…」


「しっかり頭を下げろよ」


「もっ申し訳無いっ…」


「このオバチャンを許してくれて、ありがとうございますだろ?死にたいか?」


「ぐっ…こっこの…おっオバチャンを…許してくれて…ありがとう…ごっございます…」


「じゃあ取り合えず今は許してやるよ。オバサン。皆さんもその弱者達を、解放して上げて下さい。教国は天上の人々らしいので、その内に空を飛んで逃げ帰るでしょう。ハエみたいに」


「「「「「アーッハッハッハッ!」」」」」


「「「「「……」」」」」


「いっ行くぞっ!部屋に戻るっ!」



 かなり趣味の悪い、弱い者虐めをした。今までの事があるからね。そして教国陣は、貴賓室に逃げ帰った。試合が始まれば、またここに連れてくるけどね。徹底的にやってやるから。



※※※



「いやー、スカッとしましたよ。キクチさん」


「ショークパ様、少しでも無念が張らせればと思いまして」


「父上も、ノリノリだったじゃないですか!」


「俺も面白かったぞ!良くあんなに嫌な事が言えるな」


「僕もムカつきましたからね」


「僕もワクワクしたよ!嫌がらせの天才だよ!」



 皆も楽しんでたみたいで…。色々あった不安は、何だったんだろうね。そしてこれからは、試合も始まる。あいつらを席に呼びつけて、しっかりと実力差を見せ付けてやる。楽しいショーの始まりだ!ただし、僕は闘わないけどね。



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