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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
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近衛隊長タハラシ、騎士団長アントレン来店



 僕が王妃様と侍女二人に時間を掛けていた為、大分待たされていた騎士の方々と宰相様。その待ち時間に、ナナセさんが厄介な事をしてくれた。多分軽い気持ちだったのだろう。そんなに警護する必要も無かったし、暇そうだと思って手渡したのだ。あの本を…。



「続きが気になってしまって…このままでは私達は夜も眠れぬ日々を過ごし…職務怠慢になってしまう…」


「私もこのままでは、死ぬに死にきれない!」


「頼む!あの素晴らしい本を全て貸してほしいのだ…!」



 ナナセさんが渡したのは、漫画だ。しかも三国志ものだ。勝手に僕のコレクションを持ち出すとは…まぁ良いけど。皆さん初めは読み慣れない物だったらしいが、少ししたら止まらなくなったそうだ。途中から視線を全く感じなかったのはそのせいか。



「店長…すいません。まさかこんなにのめり込むとは思わなくて…」


「まぁ仕方ないか…良いですよ!良かったらお貸しします!」


「「「ありがとうございます!」」」


「キクチ殿、宰相としても感謝する」


「そんなに面白いのかい?私も読ませてもらおうかしら」



 多分、宰相様は騎士の方々が言うの待っていたな。王妃様まで読むなら当分返ってこなそうな気がする。でもハマるのは良くわかる!僕も大好きだし。



「ナナセさん、王妃様に用に漫画選んでくれない?恋愛ものとか」


「そうですね!その方が良さそうですね!」



 そして王妃様ご一行は大量の商品と、数十冊の漫画を持ち王都に帰られた。王妃様と侍女達は一泊してもう一日勉強したかったらしいが、さすがに公務もあるので無理だった。こちらとしても勘弁してほしい…。後は王都にいる他の王族や貴族がどうなるかだな。最近は展開が早いので、少し通常営業で楽しく過ごしたいものだ。



※※※



 …そして自分の考えが甘い事をまた知る。王妃様達が帰って次の日に、近衛隊長と騎士団長が二人で来た。漫画を貸してくれと…。



「私は近衛隊長のタハラシ・ヌーンポットと申します」


「俺は騎士団長のアントレン・ハカサナイだ」



 王妃様ご一行は夜王都に着いたのだが、そこからまた大変だったらしい。到着後、王城の一室を貸し切り漫画を読んだらしい。あの王妃様や宰相様らしく、騎士も侍女も無礼講という事で、漫画を回し読みしていたそう。あの親子は…すごいな。というか、騎士は警護しろよ…。それで何やらおかしいということで、他の侍女や騎士と近衛兵、そして団長と隊長と様子を見に行ったら、全員ハマってしまったということだ。男女そしてジャンルも関係なく大ウケらしい。



「あれは間違いなく聖書です。兵法書としても国宝です」


「俺もそう思う。それに恋愛の話であんなに泣かされるとはな」


「まだ読み終わってはいないのですが、なんせ多くの人がいますので全然行き渡らないのです。それに宰相様と王妃様が優先されてしまうので…」


「二人とも昨日一睡もしてないぜ。王妃様なんかそのまま、おしゃれトレーニングとか言ってたよ」


「ちなみに昨日王妃様の姿見た人達は、皆驚いてましたよ。若返りの秘薬を使ったとか、魔法を掛けられたとか。王や王子、王女も大変驚きそして喜んでいました。きっとそのうち来られるでしょう」


 二人ともウンウンと頷いてる…。そしてさりげなく王含め王族の来店予告。



「それに俺達もおしゃれってやつをしに来たのさ」


「私も身だしなみには気を付けているつもりでしたが、あの漫画で出てくる騎士達のような美しさが足りないと思う」


「という事でカッコ良くしてくれや」


「はぁ…わかりました。よろしくお願い致します」



 でもやっぱり漫画が本命なんだろうなと思いつつ二人のカットをさせてもらった。ていうか部隊のトップがそんな簡単に来ちゃダメだろ…。



※※※



 二人とも一つ結びのロングヘアから大分変身した。タハラシ様は動きのあるショートレイヤー、アントレン様は少しツンツン気味の2ブロックショートに。



「カッコイイじゃねぇか!」


「素晴らしい…これで真の騎士に近付いた」


「いやー気持ちいいし男前になったし最高だな!後は鎧を三国志風にすれば完璧だ!」


「そうですね。この後鍛冶ギルドに相談しに行きましょう」



 二人はシャンプーなども買って頂いた。貸した漫画は幕末の漫画、とある剣豪の漫画、中世ヨーロッパ風の恋愛漫画の3タイトルにした。



「漫画、大人気ですね!」


「足りなくなったら買わなきゃかもね…」



 この異世界にオシャレや美容文化を広めようと思っているのに、いつの間にかオタク文化でも出来てそうだなと思わずにはいられない…。



「店長!なるようになりますよ!」


「だと良いね…はぁ。ナナセさんのせいなのに…」


「それは、すいません!」


「まぁ仕方ないさ…喜んでもらえたから良しとしよう」



 とは言いつつも、最近は溜め息をつくことが多いなぁ。幸せが逃げそうだよ。



「さぁ次はどうなるかな?」


「ナナセさん…」



 ナナセさん勘弁して下さい。と思いつつも、きっとせわしない日々はまだまだ続きそうだ。余談だかこの後、騎士団では二刀流が流行り、近衛兵でも「~ぜよ」という言葉使いが流行ったらしい…。はぁ…勢いが凄いね騎士って…。



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