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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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漫画界の発展、二国の訪問


 今日は営業終了後に、ジーク様とヤッカム様と相談をしていた。



「そうですか…タハラシ様は、まだ落ち込んでますか…」


「ああ、サロンの街では噂になっているからな、恥ずかしいらしい」


「確かに、あの時聞いていたお客様が…いたからなぁ…」


「まぁ気にするな。その内来るだろう」



 ナヤマンさんの一件以来、タハラシ様には、会っていない。相当落ち込んでたらしい。



「でも、漫画は笑ったぞ。伯母上も、罪作りだな」


「見たんですか?」


「ああ、途中までの原稿をな。自慢気に見せに来たよ。もう大爆笑したよ。ディーテや子供達も腹抱えて笑ってた」


「張り切ってたもんなぁ…」



 そりゃあ笑うだろう。全てのエピソードが、最高だったからね。



「たまに出てくる、伯母上の絵が良いアクセントになってるし、最高だよ。しかもタハラシだけには秘密って言うからさ、笑ったよ。驚かせてやりたいらしくてな」


「それは可哀想に…」


「あれで、悪気が無いのが凄いよな。タハラシの為にやってるんだぜ?これからタハラシが、人気者になれると思ってたよ。なあ、ヤッカム」


「ふふっ昔からナヤマン様は、あんな感じですよ。庶民的な事が好きだし、お転婆だし、突拍子もない事もする。いつも私も含めて皆が、振り回されてましたから」


「超ド天然ですもんね…僕も二年もただの庶民だと思ってたし…」



 ナヤマンさんが、一旋風巻き起こしてるね。タハラシ様には悪いが、漫画は出来上がりが楽しみでしょうがないよね。



「それにしても漫画も、かなり広まってきたな。王立図書館も、漫画だけは完全予約制にしたしな」


「転移陣で来やすくなったから、申し込みが殺到している。そのせいか、各国にも漫画ギルドや漫画家が増えつつある」


「また傷付けられてませんか?」


「安心しろ。修復も出来るようになったし、細心の注意をしている。各国にもキクチが怒るぞ、と伝えたしな」



 世界に広がるのは嬉しいし、漫画を大事にする心も大切に育てて欲しい。でも余計な事まで言わないでよ…。でもキレイに読んでくれるのは良い事だ。



「そういえば、ダウタウーン公国の公女とサイトウの話も、漫画化されたみたいだな。あっちでは大人気らしいぞ。俺も見たが面白かった。ディーテは感動して泣いてたな」


「僕も見ましたよ。クロワツ様が、持ってきましたからね。この世界用にアレンジはされてましたけど、凄く面白かったです。一応、作り話にしてますから、ポンデリーン様に配慮があるんでしょうね。しかもクロワツ様は、あっという間に描き上げましたから、多分凄い才能ですよ」


「元は護衛騎士だろ?何で俺の周りには、俺の漫画を描く奴がいないんだ。他ばっかり漫画化されて…」



 ジーク様はともかくとして、無事に『転生王女は、元旦那様を忘れられない!』は発売された。ポンデリーン様には内緒で、クロワツ様は勝手に描いて、勝手に売った。ポンデリーン様も最初は怒ったらしいが、売れたら喜んでくれたそうだ。サイトウさんは、最初から喜んでくれた。少し照れてはいたけど、この世界に貢献出来て嬉しいそうだ。それもあって、とうとう娘のユウリさんも先日遊びに来た。まぁ僕が連れてきたんだけど…。ポンデリーン様と三人で会い、楽しんでいたよ。その時に漫画を見せ、大爆笑したそうだ。結果三冊も買っていき、家宝にすると言っていた。



「最初は『銀の翼』の様な戦争の漫画ばかりだったが、段々と種類も増えてきた。絵もそれぞれが確立した絵を描き始めてる。国民も真似ばかりでは、売れないと気付いた様だ」


「そうですな。これからは恋物語や他の漫画も、もっと増えるでしょう…でも」


「でも?」


「…一部の女性に人気の高い、女性同士の恋物語はどうかと…エルメスが必ず主人公なのだが、本人の希望では無いらしく…エルメスから、漫画ギルドに何度も抗議がくるそうだ…でも売れるからな…漫画ギルドも困っていた。で…結果そのままで、徐々に勢力を広げているのだ」



 そうだった。いつの間にか、エルメスさんの百合漫画が何種類も発売されていた…。エルメスさんのファン、エルメラーがかなり動いているようだ。僕もエルメスさんに、何度も相談をされた。でもどうにもならない…。ナナセさんが言うには、エルメスさんの変わりが出てくれば、問題解決するらしい。でも僕はその話を聞いて、その人とエルメスさんの話が描かれるだけだと思っている。



※※※



 そして次の訪問国の話に…。



「次はアカサタナ帝国とイキシチニ帝国で、急遽一緒になりました。

でも…いまいち何をするか、わからないんです。当日まで秘密らしくて」


「何だと?まぁ国は隣同士だから…でも一緒に何かするとは思えないな…もしかして…ヤッカムどう思う」


「今は大分仲良くなってきてますが、一緒に何かするとは思えない…とすると、大魔王の可能性が…いや大魔王としか…考えられない…ジーク…これは面倒事かもしれないぞ…」


「…大魔王って…?」



 次の訪問国は、急に二国同時になった。確かに変だなとは思ったけど、思ったより大変そう…。



「魔族国家は、昔は一つしか無かった。だが大昔、その時の魔王が二つに分けたそうだ。理由としては、まず王を継ぐ者達が、骨肉の争いをし始めたのがきっかけだ。それで王は嘆き、争いをしていた者達を全員粛清した。つまり殺した。自分の子供や親族もな」


「そんな事を…酷い…」


「それだけ酷い状態だったんだよ。魔族の運命を左右する争いだったそうだ。そうするしか無かったらしい。それでも心の優しい双子が残ってたそうだ。結果、その二人に国を分けさせた。権力も余り集中しない様に、キレイに分けたそうだ」


「魔族は、人数もそんなに多くはありません。獣人と同様です。そして自由思想なので、余り大人数になると、いざこざが起きやすいそうです。でも二国になってからは、魔族から戦争を行った事は一度もありません」


「魔王は帝国最強の武人がなるんだ。ありがたい事に、好戦的な種族は、その時の魔王に滅ぼされたから、誰が勝っても基本は平和なんだ。バカは一杯いるけどな。何代か前の魔王同士が喧嘩して、仲も悪くなったりしてるしな」


「なら、そんなに問題無いんじゃ…でも大魔王…」


「要するに、その時の魔王なんだよ。大量の粛清をした魔王が大魔王だ」



 えっ…。大昔の人でしょ?いったい、いくつなんだよ…。千は越えてるだろ…。ていうかまずくない?僕に何の用が…。



「正直会った事も無いし、いくつかも知らん。伝説の話だったから、もしかしたら死んでるかも、なんて思った事もある。でも以前その話をカナヤにしたら、まだ生きていると言っていた…」


「ジークどうする。最低でも、アントレンは連れていった方が良さそうだぞ…」


「…そうだな…行って貰おう…それに一応、俺も行こう…ヤッカムはどうする…」


「…私も行きましょう…話の内容がわかりませんが、交渉があるなら…役に立つはず…」



 何か大変そうな話になってきた…。争い事は無いよね…。粛清されないよね…。でも僕が必要って事は…何かあるのか…。でもまだ大魔王が出てくると、決まった訳では無い…いや出てくるな間違い無く…。そんな気がする…。



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