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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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デリタム王国訪問、訓練と試食


「どうだ我が軍は」


「うーん。武器が合ってない人が多い気が…」



 一通り、訓練は見させてもらった。やっぱり身体能力が高い獣人は、迫力もあるし見応えもある。でもナナセさんは、物足りないらしい。



「それはどういう事だ?」


「剣とかが凄く得意なら、別に良いですけど…クロー…鉤爪とかの方が似合うし、カッコ良いですね。それで斬ったり、凪ぎ払ったり、受けたりした方が…」


「そっそれはどういう武器なんだ!?」



 ナナセさんが、紙に絵を描いて説明をする。更に自分で動いて、使い方やポーズまで教えている。



「なんと…それは我等に相応しい…獣人の為の武器だな!」


「父上!すぐに鍛冶屋に連絡をしましょう!」


「魔力を込めて攻撃すれば、斬撃としても優秀ですよね。長さなんかも調節して、使いやすくしてください。爪が三つなら、三つの魔法斬撃が飛びそうですし、その辺も魔石等と合わせて、調節して下さい」


「天才だ…」


「女神だ…」



 皆が心酔している。何度も見たよ、この場面。



「後…見ていて、手より足の方が力強く見える人も多いので、鉤爪は難しいかもしれませんけど、棘のある脛当てでも着けましょうか。皆さん、蹴り技をもっと活用するべきですよ」


「それも鍛冶屋に伝えろ!」


「どんな技を…」


「おっ教えて下さい!」



 その後もナナセさんの、身振りや手振りを加えた説明で、戦士の技の幅が広がっていく。皆も新しい技に興味津々だ。いつの間にか、鉄具を壊して鉤爪みたいな物で練習する者も。



「後は軍団名ですよね…うーんと、どうしようかな…そうだなこれからは、皆さんは『滅牙の戦士』でどうですか?なので団名は『滅牙の戦士団』になります。牙が折れようが、戦士であり続けるという意味です」


「すっ凄ぇ!」


「我等は滅牙の戦士なのか…最高だ…」


「三つある隊も、嵐牙隊と炎牙隊と氷牙隊にしましょう」


「「「「「ウオォォォー!」」」」」



 そして狂喜乱舞。案の定だ。皆がはしゃいでいる。



「凄いですね…キクチさん…」


「ナナセはここまでするのか…」


「ルード様、ヤッカム様…何言ってるんですか…オースリー王国でも、全く同じでしたよ…」


「「確かに…」」



 で、この後はバーベキューだ。僕が準備だからね。頑張らなくちゃね。



※※※



 いつの間にか、料理人に囲まれている…。調味料や食材を見に、調理場へ行ったせいだ。噂を嗅ぎ付けやって来たのだ。



「きのこが食べれるとはね…」


「料理長!きのこで可能性が広がりますね!」


「せっかくだから手伝って下さい。いつもの料理に加えるだけでも、違うでしょうから」


「それは腕が鳴るな!」


「塩胡椒で焼いて、味見もしてみて下さい。発想も広がるでしょうからね」



 味見も大好評だった。涙を流す人も…。そこまでか…?そしてその後は僕の指示で、色々と作る。皆さんの創作料理もある。バーベキューは勿論だけど、ソテーや鍋等もあり多彩になった。でも忘れないで欲しい、僕は美容師なんだ…。そしていつの間にか…。



「キクチ大活躍だな!」


「ジーク様?何故ここに?」


「皆も来てるぞ。ナナセの新魔法のせいでな。鑑定か…素晴らしいなこれは…可能性が広がるよ…。それにきのこだろ?さっき聞いてビックリしたぞ」


「はぁ…それはご苦労様です…」



 よく見たら、オースリー王国だけでなく、各国首脳陣が揃ってるじゃないか。料理に集中してて気付かなかった…。アキハバーラ様までいる…。流石にサハラ様はいないけど。でも転移陣が有効利用され過ぎじゃない…?流石の行動力だけどさ…。溜め息が止まらないよこれは…はぁ…。



※※※



「美味い!これは…!」


「なんという事だ…きのこがこんなにも…」


「バターと良く合うわね!」


「鍋も最高ですよね!」



 この世界の人は、好き嫌いが無いのか?きのこ嫌いな人がいても良いのにね。皆大好評だよ。料理人の方々も、感動してるしね。



「このバーベキューという食べ方も、楽しくて新しいな!」


「外で食べるのも気持ち良いですね!」


「肉や野菜も最高じゃないか!きのこにも良く合う!」



 さっきまで鑑定の魔法で盛り上がり、今度はきのこで盛り上がる。簡単で優しい世界だよ本当に。



※※※



 そしてバーベキューが終われば、各国首脳陣はそそくさと帰っていった。何だかんだで忙しいしね。鑑定魔法の研究もするらしい。そして僕達はシャンプーやブローの講習だ。男女問わず多くの人が、聞いている。シャームネー様等にモデルになってもらい、実践している。



「で、こうやってブラシでとかします。ドライヤーも熱風で乾かした後に、冷風を当てたりすると、更にツヤも出るしサラサラになります」


「なるほどねぇ~人にされるのも気持ち良いし最高ね」


「シャンプーの仕方も、こだわった方がサラサラになるのね。今でも大分満足してるのに…凄いわ」


「そうですね。それと尻尾なんかもより丁寧に、毛並みに沿って洗えばかなり違うでしょうね」



 獣人は毛が生え変わるペースが、人間より遥かに早い為、余りカットには来ない。伸びる前に抜けちゃうからね。だから毛並みをキレイに保たせる事を教えた。大分好評の様だ。



「私の尻尾触ってみる?」


「シャームネー様…良いんですか?触っては見たいですけど…」


「何言ってるんですか!店長セクハラですよ!」


「えっ僕が?」


「顔がいやらしかったです!」


「シャームネーも、からかうのもそこまでにしておけよ…」



 シャームネー様の、良くやる遊びらしい。後でジャングラ様に教えて貰ったのだが、獣人で尻尾を触る行為は求婚だそう…。危うく僕はライオトーラ様の前で、奥さんに求婚するところだった。でも獣人界では稀にある行動らしく、旦那に対する決闘の申し込みでもあるそう。つまり僕は、ライオトーラ様と決闘するところだったのだ…。冗談だとしても…死ぬところだったよ…。



※※※



「キクチ、ナナセ感謝する。我が輩もこんなに楽しい一日は、久々だった。また来てくれ」


「私もありがとうございました。きのこもとっても美味しかったわ」


「ナナセ、また武術教えてくれ。兄上を越える日も来るかもしれん」


「ルードもまた来いよな。鉤爪が出来たら勝負もしたいし」



 皆と最後に握手もして、僕達はまた転移陣で帰っていった。今回の訪問は、この世界にとっても新しい発見や可能性が出来た、有意義な訪問だった。次の国では、何があるかな…。楽しい訪問でありますように…。



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