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異世界美容室  作者: きゆたく
三年目、異世界大陸革命編
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ゲーイジューツ皇国訪問、皇太后と歓談


「この部屋が母の部屋です。入りましょう」


「はい…」



 皇太后様の部屋に入る…。そうすると…。



「…?」



 誰もいない。



「オターク様、皇太后様はどちらに…」


「ここだよー」



 後ろから声がし、振り向くと…そこには…。



「あっあれっ?あなたは…」


「アタイが皇太后のアキハバーラだ!」


「まさかあなたが…皇太后様だとは…」



 僕とタハラシ様とマガジャさんは、驚いている…。ゲーイジューツ皇国の方やヤッカム様は笑っているけど。そりゃそうだ。だって…。



「ふふん。まさか今日ずっと一緒にいたとは、思ってなかったか!」


「はい…」



 ずっといた。侍女の格好をして、アイドーラ様に付いていたから…。漫画ギルドにもいたし、美容講習に至っては一緒に受けていたよ。今もその時のヘアメイクだし…。何よりかなり若く見える…。背も低いし、アイドーラ様と余り変わらなそうだ。



「大成功だな!」


「こんな母ですいませんね」


「いえ…大分愉快な方みたいで…」


「お義母様は、人を驚かせるのが好きなのよ。私も初めてお会いした時は、大変だったわ」


「ヤッカム様も教えてくれても…」


「そんな無粋な事はしません」



※※※



「そうか王立図書館に、キクチの漫画本があるのか…」


「アタイは行くぞ!ヤッカム頼む!」


「僕も行くよ!」


「私も!」


「わかりました…ご予定を教えて下さい…」



 皆が座り、歓談をしている。今日の話やオースリー王国の話だ。



「ジークの坊やにも、暫く会ってないしね。キクチの店も行ってみたいな。様々な文化を知るのは良い事だよ」


「今じゃオースリー王国が、全ての最先端ですからね」


「今日のヘアメイクや漫画もそうだけど、知識が素晴らしいですね。どうやったら身に付くのでしょうか」



 そんな中、アキハバーラ様が僕達を驚かせる。



「アタイはわかってるよ。キクチは違う世界から来たんだろ?」


「えっ」



 何故それを…。ヤッカム様やタハラシ様も身構える。皇帝夫妻も何それといった表情だ。



「そんなに驚く事かい?わかる奴は気付いているよ。アタイ以外にもね。そんな身構えなくても何もしないよ」


「母上!それは本当ですか?キクチ!そうなのですか?」



 ヤッカム様も仕方が無さそうにしているし、まあ良いか…。



「はい…そうです。違う世界から来てます。良くわかりましたね…」


「わからない方がおかしいのさ。これだけ今までの慣例を覆す奴等は、早々いない」


「お義母様…奴等という事は」


「噂のナナセっていう子もそうだろ?他にもいるんじゃない?」



 良くわかってらっしゃる。その通りだ。



「過去にもあるみたいだしね。昔の文献にも残ってるよ。でもそれはこっちに来ただけだ。もしくは生まれ変わりかな」


「キクチは違うと?」


「そうさ、あんたは行き来してるだろ?見た事無い商品なのに、流通の物量が桁外れだしね。最初から持ってたにしては、多すぎるからね。これはちょくちょく行き来してるか、届ける奴がいるとね。そして私の結論は両方さ!行き来してるし、商品を運んでる奴もいるはずだ!」


「そっそんな…」



 初めて会って、そこまで理解しているなんて…。サトウの事まで予想しているなんて…。この世界では一番の知識人かも…。



「正解です…びっくりしました。本当に驚かせるのが、好きなんですね…」


「はっはっは、そうだろ!オースリー王国の奴等は、皆知ってるのかい?」


「いえ、首脳陣や一部の方ぐらいですね…まぁたった今マガジャさんも、知る人になりましたけど…」


「はい…驚いてます…でも納得してます」



 どんどん深い話になっていく。



「この世界を、乗っとる気も無いみたいだし助かるよ」


「母上!そんな事する訳無いじゃないですか!」


「でも…やろうと思えば、出来るはずだ。技術や製品に差がありすぎる。軍事製品だったら、コテンパンにやられるぞ。まぁそんな考えだったら、色んな物を流通させないだろうし、今頃とっくに滅んでるだろうしね」


「そんな…」



 オースリー王国でも言われたけど、そんな事する訳無い!それに出来ないだろうしね。



「安心して下さい。もし戦争になっても僕達の世界には、まず魔法がありませんから。戦力としては、そんなに簡単ではありませんよ。それに戦争をする事が出来ません」


「もしかして、加護が働いているか?」


「ご明察です。そもそも異世界への入口は小さいドアですし、大量の兵器や人員が出入り出来ません。それに悪意のある者は、そもそも通れません」


「そうか、良かった。母上も、それなら安心ですね!」



 いや…アキハバーラ様はそう思っていない…。表情が曇っている。何故…?



「抜け道もある…例えば、悪意のある者は来れないとしても、悪意のある物は届けられる…キクチ達に持たせてな…」



 ドキッとした…。ヤッカム様達も気付く…。その可能性に…。



「キクチは良い人だが、気付かぬうちにこちらの毒になる様な物を、持たされたり、付けられたりする可能性もある」


「結局こっちに来られないのに、そんな事になんの意味が…」


「意味の無い犯罪等、腐る程ある。意味の無い戦争もな。過去が教えてくれてるじゃないか」



 その通りだ。極端な話だけど、気付かないうちに僕に核爆弾が付けられて、こっちの世界に来てからドカンなんて事は、可能かもしれない…。全く意味はないが、テロだってそんなもんだしな…。



「まぁ驚かす事を言ってしまったが、気にするな。可能性は限り無く低い。多分、悪意に反応するなら、その様な異物すらも弾かれるだろう。加護とはそういう事だ。気を付けるとしたら、こちらの世界ではなく、向こうの世界だろう。大事になった時、キクチ達は向こうでどうなるかだ。アタイはそっちの世界は知らないからね」



 確かにこっちの世界より、日本の方で気を付けなきゃかもな…。いつかバレたら…。



「まぁ今そんな話をしても始まらん。それにヤッカム達は向こうの世界へ行ったのだろう?どうだった?教えてくれ!」


「…なっ何故、それをアキハバーラ様がっ」


「ジークの坊やが、行きたがらない理由が無い!行ったに決まってる!アタイも連れてけ!」


「流石だ…母上…」


「お義母様…凄過ぎます…」



 確かに凄い洞察力…。これはいつの日か、異世界旅行ツアーなんてさせられる日が来るのかもしれない…。



※※※



 そして歓談後は皆で夕食を頂いた。楽しかった時間は終わり、そしてやっと帰る時間に。ただ観光はしたかった…。



「折角なら一泊くらいしても良いのに…」


「すいません…明日も営業がありますから…」


「また色々教えて下さいね!」


「はい。アイドーラ様も、練習して楽しんで下さいね」


「アタイも、また話を聞かせて貰うよ。遊びにも行くしな」


「お手柔らかにお願いします。それと今日の話は、内密にお願いします」


「わかってるよ!」



 そして僕達は転移陣で帰っていった。そしてふと気になった事を、ヤッカム様に聞いてみる。



「ところでヤッカム様、アキハバーラ様っておいくつですか?かなり若そうに見えますが…」


「私もそう思いました」


「僕もです…不思議でした」


「お前ら…世の中には、知らない方が良い事が一杯あるぞ…それに女性の年齢を、詮索するのは良くないのだろう?マイを思い出せ…」



 僕達はマイさんを思い出し黙る事に…。確かに知らない方が良いかもしれない…。この世界の、七不思議みたいな物としておこう…。こうしてゲーイジューツ皇国の訪問が終わった。でもまだ一国目。次の国が待っている…。さて次はどの国だったっけな…。



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