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異世界美容室  作者: きゆたく
二年目、異世界隣国騒乱篇
62/136

美容コンテスト、無事開催


「やっとね…」


「ええ、マイさん…やっとです」


「皆さん張り切ってますよ!コンテスト!」



 とうとう開催される、美容コンテスト。学生15人とオーパイさんのカットバトルだ。モデルは敢えて女性のみにした。今後は男性モデルでもするかもだけど、盛り上がるのはやっぱり女性だしね。そしてそんなこんなで、いつの間にか大事になり祭の様になっている。ハマナンさんが張り切ったせいで、武闘大会ほどでは無いけど大きな会場に露店もある。そして多くの観客もいる。ディーテ様のせいで、何故か貴賓席まで用意され各国の首脳陣まで来ている。そして僕達は審査員だ。



「もう始まるね、行こうか」


「そうね」



 そして席に向かうと、各国首脳陣に声を掛けられる。



「おっキクチ!元気にしていたか?それで来年の武闘大会なんだがな…」


「キクチ!僕の国でも漫画が描かれ始めたよ。で、この漫画を昨日買ったんだけど、この画風は…」


「ナナセ様、転移陣なんですが…完成間近です…それで詠唱の事なんですが…」


「マイ、美容学校の事なんだけど、ちょっと聞いても良い?それと…昨日言ってた化粧水の事…」



 皆さんは昨日、美容学校の視察をし、街を見て回った。武闘大会のラヤマの街より、サロンの街の方がより多くの情報や美容グッズもある。初めて来た方は、とても興奮したそうだ。そんな事も含めて、僕達とも色々と喋りたいらしい。そしてこの人達も…。 



「皆さん!先日はありがとうございました!」


「ポンデリーン様、クロワツ様、こちらこそ感動をありがとうございます…そちらがもしかして…」


「はい。お父様です」


「私がダウタウーン公国公主、ショークパ・ダウタウーンです。娘がお世話になりました。いつの間にか大人になっていたみたいで」



 大人といっても、ポンデリーン様は転生前と合わせて、実質年齢で五十を超えてくるけどね。ということで、ダウタウーン公国の皆さんも来られている。あの一件で、ディーテ様がせっかくだから招待したそう。海を渡った国とも、交流が増えてくるのは良い。



「私の国は小さいですからね。こういう場に来ると、萎縮しますよ。はっはっは」


「それと、なんか変な事…考えてませんか…私の何を…?」


「いやっ別に…」


「でも、新しい文化に触れるのは楽しいですね。来た甲斐があります。これを機会に、公国にも輸入しますよ」


「ありがとうございます!」



 そんな感じで各国と交流した。そしてダウタウーン公国に、他の国が「ラルベリマルサーヌピヨン教国」は大丈夫か、等と声を掛けていたのが気になった。ナナセさんが、「伏線ですね」と言っていた。良くある話らしい…。



※※※



 そして僕達の簡単な挨拶の後、すぐに競技が始まる。ステージに学生と、髪がカラフルで長いモデル達が登場する。メイクも仕上がっている。カットクロスを着けているので、服装はまだわからない。皆が緊張している…。モデルも観客も…。



「制限時間40分です!始めっ!」



 その瞬間、マイさんの用意したCDラジカセから軽快な音楽が流れ、拡声の魔道具で全体に広がる。良いリズムで、皆のテンションも上がる。珍しい音楽に観客が湧き、ディンドンさん達ドワーフがCDラジカセに目を見張り、ゲーイジューツ皇国の方々が音楽に耳を疑う。そんな状態だ。因みに司会はノリノリなハマナンさんだ。



「キクチくん、良い反応じゃない?」


「そうですね!盛り上がってます」


「お姉ちゃん、店長!生徒を見て上げて!」



 確かにそうだ…。学生を見ると、多少の動きの固さはあるけど良くやっている。一年足らずでここまで出来るのは、本当に凄いと思う。僕達とは状況や環境と色々違う事もあるけど、僕達三人より、遥かに早いスピードで上達している。三人共、同じ考えだろう。僕達は、この世界の凄さを改めて知る…。



※※※



「残り時間一分!」


「頑張れー!」


「急げー!」



 あっという間に、時間は過ぎている。皆、慌ててる。最終のチェックカットをする者、ドライヤーで毛を飛ばす者、スプレーやワックスを付ける者、様々だ。応援する人達にも熱が入る。多くの家族も見に来ている。この一年近くで培った技術を、一つの集大成として皆に、そして僕達に見せて欲しい。



「…5、4、3、2、1、終了!」


「「「「「ワアァァァー!」」」」」


「見事終わりました!それでは参加者の皆さんは、カットクロスを外して下さい!」



 ここで初めてトータルバランスが見れる。カットクロスを外すと、様々な衣装が晒される。服飾ギルドも協力した傑作だ。



「可愛い!」


「キレイー!」


「本当に学生かよ…」



 色々な意見が交わされる。そしてこれから僕達は、観客よりも遥かに厳しい目でチェックしていく。



「では審査員の三名は、審査をお願いします!」



 僕達はしっかりとチェックする…。カットラインの仕上がり、スタイルの精度、カラーやパーマでの彩られ方、衣装とのバランス、メイクとのバランス、そしてトータルバランス等を見ていく。自分の好みも踏まえて採点していく。参加者に、所々気になった事を聞いて、コンセプトや何故こうしたかを考えていく。そしていつの間にか会場では、僕達のその声しか聞こえなくなる…。



「……」


「……」


「……」



 参加者、観客、貴賓の方々…。僕達の真剣な審査に、皆が息を飲む。そして時間は過ぎていく…。



「はい。終わりました」



 そこで皆が安堵の息を吐く。そしてこれからは、また音楽を掛けて、モデルさん達に会場を回って貰う。ウォーキングみたいなものだね。近くで見れるから、皆も嬉しいだろう。その隙に、僕達はデモンストレーションの準備だ。



※※※



 僕達がステージに上がると、皆が息を飲む。明らかにモデルのレベルが違うからだ。でもモデルさんは、僕が定食屋のプルトンさん、ナナセさんが雑貨屋のマリベルさん、マイさんが宿屋のポニョンさんだ。モデルのレベルが違うといっても、素材のレベルはさっきと変わらない…。今現在の仕上がりレベルに雲泥の差がある…。クオリティーの高くモデルに合わせたコンテスト用のモード系メイク、色彩豊かなヘアカラーそれだけで、もう差が付いている。



「どうやったら…あんな…」


「まだまだ、だな…」



 学生達も驚いている。でも本当に驚くのはこれからだ。仕込みにも時間が掛かっているしね。皆にバレないように、ディンドンさんに変化の指輪を作って貰い、ヘアカラーやパーマ等の準備を隠した。ディンドンさんも面白がって作ってくれたし、モデルさん達も当日が楽しみでワクワクしながら指輪を着けてくれた。まぁ、モデルにプルトンさんを選んだ時、ナナセさんに「巨乳目当てですか…」と言われた時はビビッたけど。ナナセさんもマリベルさんを選んだら、マリベルさんを好きな学生に、少し睨まれてたけどね…。そして皆が驚いている中、カットは始まる。時間は20分だ。



「流石だな…」


「カッコ良い…」


「流れる様な動きだな…」



 皆から感嘆の声が出る。僕達も流石にプロだし、学生に比べれば遥かに華麗に見えるだろう。段々と仕上がっていくと、更に目が見開いていく…。



「どうなってるのあの髪の毛…」


「あんな仕上がり見た事ない…」



 当然だろう。いつも営業で行っているのは、日常のヘアスタイルだ。でも今行っているのは、コンテスト用のヘアスタイルだ。全てのレベルが違う。ちょっと極端なヘアスタイルではあるけど、妥協はしない。モデルさん達に感謝だね。そしてあっという間に完成する。



「終わりました!」


「「「「「ワアァァァー!」」」」」



 そしてカットクロスを外すと、学生達より遥かに洗練された衣装。トータルバランスも、申し分無い。他の二人も同様だ。アバンギャルドさ、多少の露出、左右対称にこだわらないバランス、メイクとヘアカラーと衣装の色彩、そしてヘアセットの仕上がりの高さ。この世界の最高峰であろう、ファッション技術のお披露目だ。



「とうなってるんだ?見た事ないぞ!」


「キクチ殿達はここまで出来るのか…」


「マイさん…相変わらず素敵だ…結婚してくれ…」



 皆が感動してくれる。そしてアントレン様はマイさんを、諦めてはいなかったみたいだ…。そしてモデルさん達には、会場を回って貰う。色んな所から声援を送られ、皆も満更では無さそう。斬新になっちゃったけど、喜んでくれているみたいで良かったよ。



※※※



 楽しかった時間は過ぎ、あっという間に閉会式だ。まずはコンテストの結果発表。



「第三位!オーパイ!」



 歓声と共に祝福される。オーパイさんは嬉しそうであり、悔しそうだ。そういうものだろう。これからも頑張れ!



「第二位!ミナラー!」



 ミナラーさんも同じく、歓声と祝福に包まれる。オーパイさんと同様な表情だ。仕方無い。



「そして第一位!…フリンカザー!優勝はフリンカザーだ!」



 ここで一番の大歓声。周りの学生も祝福している。メチャクチャ嬉しそうだ。因みにこの男は、マリベルさんに恋い焦がれている。皆には少しの賞金がプレゼントされる。二つ名は無いけどね。



「今回は運良く優勝出来ました。また今回の様な大会があれば、次も皆と切磋琢磨して頑張りたいと思います。ありがとうございました!」



 彼は良い事を言うな…。でも彼は頭一つ抜けていた。クオリティーが高かった。もっと誇っても良い。そして他の学生達はオーパイさんも含め、皆が泣いている。やり遂げた達成感もあるだろうが、一番は悔しさだろう。そして僕は最後の挨拶をする…。



※※※



「えー…皆さんお疲れ様でした。選手の皆さん、今日来て下さった皆さん。本当にありがとうございました。そしてフリンカザーさんおめでとうございます。今回の大会は学生とは思えない、とてもハイレベルな大会でした」



 皆がうんうんと頷く。



「負けた学生も、そんなに泣かないで下さい。今日で終わりではありません。むしろスタートしたのだと思って下さい。皆さんが悪かった訳では無く、フリンカザーさんが皆より良かっただけです」



 学生が顔を上げ、涙を堪える。



「そして、上には上がいます。自慢じゃないですけど、僕達のデモンストレーションで、差を実感したでしょう。余りのレベルの差に…。でも皆さんも自分を磨けば、届く可能性は充分にあります。これからの皆さんに期待します。そして同じ様に刺激を受けた方が、沢山いると思います。オシャレの頂は、遥か先ですよ。あなた達も登って下さい。また大会を行いましょう!以上!お疲れ様でした!」


「「「「「ワアァァァー!」」」」」



※※※



 こうして美容コンテストは、幕を閉じた。学生達はまた研鑽に励み、各ギルドも新たな動きがあるだろう。そして…。



「キクチッ!変化の指輪とはどういう事だ?噂になってるぞ!」


「それがあれば私達も、お忍びで…」


「すぐに鍛冶ギルドに連絡しろ!」


「我らの国もやるぞ!」



 各国首脳陣が、変化の指輪に食い付いた…。いつの間にか、変な所でも動き始めたよ…。



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