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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
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服飾ギルドマスター、ユニク来店


 この世界の服装は基本的に機能性が重視されている。色も単調だし、重ね着とかバランスなんて考えてもいない。ハッキリ言ってダサいのだ。



「店長、そろそろ服のオシャレを教えていきませんか?」


「そうなんだよねー。確かに髪だけじゃ限界があるしね」



 ナナセさんも僕も服の事を考えていないわけではない。自分達の服は少し街では浮いているし、気にしてくれている人も増えた。きっと自分達の服にも、疑問を持ち始めている。もっとキレイになれる、カッコ良くなれると。



「思い切って服売ります?」


「それは無理だろうなぁ、異世界服屋があれば話は別だけど」


「いつか服屋さんに相談しますか?」


「う~ん…今はまだ考えられないけどね…面倒事は避けたいし」



 するとナナセさんが名案を思い付いた。



「店長!雑誌を出して見せましょう!」



 確かにそれは良いかも…。今までは店内にある雑誌や本は、あえて見せずに隠していた。トラブルに繋がりそうな気がしていたからだ。製紙、印刷のレベルに差がある事もそうだし、この世界には写真も当然ない。しかし最近自分達は、ある程度の技術大国出身と思われているから、以前よりは問題なさそう。



「思い切って出してみるか!」


「はい!」


「とりあえずファッション雑誌のみにしよう」


「そうですね!店長の漫画コレクションでも出したら、えらいことになりそうですもんね!」


「ははっ!それは確かに!」



 ということで、自分達でわかりやすいと思ういくつかの雑誌を出すことにした。



※※※



 思ったとおり最初は皆さん当然驚いた。製紙技術や写真等に。しかし今までの魔道具騒ぎ等もあったので、比較的早く理解はしてもらえた。順応性高過ぎな気もするけど…。その結果…。



「この服、欲しい!」


「私も着てみたい!」


「実はキクチさんやナナセさんみたいな服に憧れてた!」



 …と思ったよりいい反応で、売ってくれと言う人が続出した。エルフに至っては、モデルになぜ私達ががいない?という文句まで言う始末。いないんですよ僕達の国には!とにかくこれで多少服屋さんに影響が出るはず。きっと「こんな服作ってくれ」とか「こんな色にしてくれ」等の要望がいくだろう。多分作る事はある程度出来るだろうし、これから研鑽も重ねるだろう。きっと服でもファッションの発展が始まる。



※※※



 しばらくしたら、おもいっきり服飾ギルドから文句を言われた…。ギルドマスター直々に…。ギルドマスターは女性で、ロングヘアーの一本結び、名前はユニクさんという。前々からうちのお店には来ようと思っていたらしいのだが、最近服の注文がうるさくてかなり忙しく、やっと来れたそう。服飾ギルドは思ってたより、かなり大変らしい。こちらとしても申し訳ない…。



「すいません…そんなに大変になるとは思わず」


「私達も繁盛するのはありがたいんだけどねぇ、元々私達の服に対する思いというのは、頑丈で動きやすくする事が前提だから…」


「そうなんですか…申し訳ないので、何冊か雑誌を差し上げます…。一応参考にはなると思うんですけど」


「そう?一応、受けとらせてもらうわ」



 もしかしたらこれが失敗だったのかもしれない。この後服飾ギルド、服屋さんがさらに大変になるとはまだ誰も知らない。



「なんなの…これは…」



 雑誌を読みながらユニクさんが震えている。



「どうしました?」


「これじゃ今まで私達が作ってきた服は何なのよ!この形状、このバランスや色合い素晴らしい…とんでもない服じゃないの!」


「なんか、すみません」


「はぁ…皆が要望出してくるのもわかるわ…作ってみたい…」



 あっという間にこちら側の人間になってくれた。その結果、今後は色々と勉強をし、服にオシャレを取り込んでいく気になっている。



「あなた達の服を見てもわかるけど、あなた達の国は相当進んでいるようね」


「はい…あまり詳しくは言えませんが…」


「まぁいいわ。今後も何かあれば相談させてもらうわ」


「自分達で出来ることがあれば、ご協力させて頂きます」



 その後も色々と話はしたが、服飾ギルドの方でも内容を詰めるようだ。



※※※



「じゃまた来るわ」



 雑誌を数冊受け取り、満足気にユニクさんは帰っていった。ちなみにユニクさんはバッサリとショートカットにされた。大人の女性にピッタリの雰囲気だ。元々服飾を仕事にしていたのなら、オシャレの考え方を理解するのは早いだろう。



「うまくいって良かったですね!」


「でも大変そうで申し訳ないね」



 ナナセさんの提案で雑誌を出したが、正直ここまで反響があるとは思わなかった。思ったよりこの街での影響力が強くなっているのかもしれない。



「店長!次は何しますか?」


「止めてよ!少なくともちょっと落ち着くまでは!」



 ナナセさんはもうすでに何かやる気みたいだ。まぁいいけど。因みにユニクさんはシャンプーの虜になり、マメに来るようになった。この街のギルド関係者はもれなくシャンプー好きだ。そして服飾ギルドのスタッフや各服屋は、皆さん泣いているらしい。新しい技術やデザインを、雑誌を参考に勉強しているらしいのだが、ユニクさんが張り切り過ぎで、皆さん寝るまもなく働いているらしい…。ギルドはブラック企業なのか?でも新しい仕事に皆さんが満足しているという噂も聞くので良しとしよう。



※※※



「各ギルドは揃いましたか?では合同ギルド会議を始めます」



 場面は変わり、ある部屋で会議が始まる。この会議でまた一つ問題が起こる。そして大きな動きが始まろうとしていた。



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