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異世界美容室  作者: きゆたく
二年目、異世界隣国騒乱篇
54/136

第一回世界武闘大会、大会一日目


 まず弓術戦から始まった。弓術戦は闘う事はせず、指定の位置からランダムに出てくる的を射落とす競技だ。大小様々な的をいかに早く、速く、正確に撃ち落とす事が出来るかだ。そして結果は、明らかだった。



「エルフィのエルメスの放つ矢は正確だ!早い!出てきた瞬間に反応!圧倒的だー!」


「他の選手を寄せ付けないっ!圧勝!ナナセに付けられた二つ名、疾風の矢に偽り無し!文句無しの優勝だ!」


「「「「「ワアァァァ!」」」」」



 本当に圧倒的だった。そして美しかった。エルフの美貌と技術に、偽り無しだ。そこら中から黄色い声援が聞こえる。エルメスさんも少し恥ずかしそうだけど、満足している様だ。手を振って声援に応えているしね。後でわかる事だが、ここでファンクラブも出来た。男性は勿論だが、女性もお姉様と言い始め、百合の文化が誕生する。後にエルメスさんの漫画も勝手に作られるが、百合要素が多く本人が困る事になるんだけどね…。



※※※



 次は馬術戦だ。馬術戦は、馬に乗りながら指定のルートを通り障害物を越えながら進む。単純にゴールまでの早さを競う。馬の能力と、操者の実力、そして付加させる魔法のレベルが大事らしい。そして勝ったのは…。



「僅差の勝利!オースリー、ヌーヌーラほぼ互角!しかし勝ったのはオースリー王国のインペリアルガード、ホースウマー!」


「よしっ!良くやったぞ、ホースウマー!」



 タハラシ様が自分の事の様に、喜んでいる。涙目じゃないか。僕達も見ていて興奮したよ。ホースウマーさんは、僕達の護衛にも付いてくれた事あるしね。



※※※



 若干の休憩を挟み、今日のメインイベントだ。闘神戦、少年の部、ルード様が参加する。各国も次世代の最強が出ているはずだし、楽しみではある。戦闘もやっと見れるしね。怪我には気を付けて貰いたいけど、迫力にも期待はする。



「勝者!オースリー王国、ルードヴィッヒ・ヴァン・オースリー!強い!才能では王を超えるか!?」


「何を?俺には遠く及ばんさ」


「勝者!デリタム王国、ジャングラ・デリタム!こちらも王の第一王子!既に王の器!」


「ふん!我輩には遠く及ばぬ」



 自分の息子に張り合うなよ…。そして見ていた、カナヤ様とサハラ様は自分達にまだ子供がいないことを、少し後悔しているみたい。あなた達90過ぎでしょうが…。長生きだから、良いのかもしれないけど…。そしてそのまま二人は順当に勝ち上がり、決勝戦でぶつかった。結果は…。



「激戦を制したのは…ルードヴィッヒ・ヴァン・オースリー!ジャングラの最後の一振りは届かず!決勝に相応しい素晴らしい試合だ!」


「ルードッ!良くやった!ライオトーラ見たかっ!」


「あの子、いつの間に…あんなに強く…」


「くそっ!この悔しさは我輩が晴らそう!」


「あなたっ!仇は頼みましたよ!」



 両者とも怪我だらけで、何とかルード様が勝った感じだ。次はわからないな。二人はもう握手して、健闘を称えあっているのに、親達は見苦しく言い合いを始めている。まぁしょうがないか。そしてこの後は、今日の表彰式だ。



※※※



 ルード様達の治療も終え、表彰式が始まった。今日の優勝者三名には、賞金と二つ名が与えられる。上位入賞者にも賞金は出る。二つ名を与える事もあり、プレゼンターはナナセさんだ。三日ともね。



「表彰!弓術戦、優勝者エルメス!あなたは研鑽してきた技術を遺憾なく発揮し、素晴らしい結果を出した!今日より、二つ名は疾風の矢を改め、『真弓神』と名乗るが良い!」


「はっ!有り難き幸せ!」


「「「「「ワアァァァ!」」」」」



 会場に大歓声が上がる。ナナセさんノリノリだなぁ。エルメスさん泣いているじゃないか。ていうか、皆泣いてるっ!?そんなに感動しているのか!?



「表彰!馬術戦、優勝者ホースウマー!あなたは類い稀なる技術で、人馬一体を体現した!その功績より今日から、二つ名『サジタリウス』を与える。そして馬にも新名『麒麟』を授ける」


「馬にまで…有り難き幸せっ!」


「ヒヒーン!ヒヒーン!」



 サジタリウスの意味わかってるのか…?まぁ合ってるとは思うけど。ていうか馬も滅茶苦茶喜んでない?そして周りも案の定、号泣…。タハラシ様もグチャグチャだ。ただ、少し馬を睨んでいた気が…。自分の馬にも付けて貰いたいのかな…?



「表彰!闘神戦少年の部、優勝者ルードヴィッヒ・ヴァン・オースリー!あなたはまだ、小さい力なれども無限の可能性を示し、それを感じさせた!今日より二つ名として『小覇王』を授ける!しかしまだ未熟!いつの日か、その小の字が取れ『覇王』となる日を期待している!」


「あっありがとうございます!」


「そしてジャングラ・デリタム!あなたも敗けはしたが、勝者と変わらぬ実力を持つ!なので特別に二つ名を与える!今日より『小怒髪天』と名乗れ!いつか、その素晴らしい鬣が誇れる『怒髪天』と名乗れる日が来る事を祈る!」


「おっ俺にまで、ありがとうございます!」


「「「「「ワアァァァ!」」」」」



 会場に中二病が爆発した。感動の渦だ。オースリー王国とデリタム王国の夫妻はもう膝から崩れ落ちている。よっぽど嬉しかったんだね。そして感動のまま表彰式は終わり、感動そのままに皆は帰っていく。



※※※



 だが僕達は、帰れない。貴賓席の皆さんと、食事会だ。そしてナナセさんが捕まる。予想通り、二つ名を希望してくるからね。面倒臭いからって断ってたけどね…。その胆力羨ましいよ…。



「闘神戦で優勝するから、我輩は問題無い!」


「僕に勝てるつもりかい?ライオトーラ」


「カナヤ、俺は敗けるつもり無いけどな!」



 三国王が、張り合ってる…。イキシチニ帝国のキニユ様は、何故俺は出場しなかったんだと嘆いているし…。ヌーヌーラ共和国はタオシマ様がギラ付いている。ゲーイジューツ皇国の方々は、何故もっと戦闘に力を入れてこなかったんだと悔やんでいる。そんな風景を見て、ナナセさんが「いつかその国々に行って、皆さんに相応しい名を付けますよ」と言ったら、皆目の色が変わったよ。こりゃ招待状が山ほど来るな…。ていうか自分達で勝手に名乗れば良いのに…。その事を言って見ると…。



「キクチ!バカを言うな!あのセンスは神の言葉に等しい!」


「そうだぞ、我が国の哲学者に聞かせてやりたいわ!」


「絶対に私達の国に来て貰う!」


「いや、俺達が先だ!」


「いや、私達の国を!」



 ダメだ。終わらないな。これが後二日続くのか…。取り合えず平和の祭典一日目は、大成功って事で良いでしょうか…。明日も頑張ろう…。



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