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異世界美容室  作者: きゆたく
二年目、異世界隣国騒乱篇
53/136

第一回世界武闘大会、開会式


 開会式直前、僕とナナセさんは貴賓席に向かう。僕達は主催者側なのだ。ナナセさんは報奨として二つ名付けるしね。それ以外の皆は、普通の観客席で見る事になる。僕達は、まずは挨拶回りをしておかなくちゃね。



「じゃ行くよ、ナナセさん」


「はい!」


「一応、私がいますから」


「ありがとうございます。ヤッカム様」



※※※



「お主が、キクチか。我輩は獣王のライオトーラだ。いつもシャンプー等、助かっている。今回のこの闘いの場を、用意して貰った事も含め、お礼を言わせてくれ、ありがとう」


「私は王妃のシャームネーです。私もお礼を言わせてね。ありがとう、キクチ」


「いえ、そんなこちらこそありがとうございます」



 デリタム王国の二人は、とても素敵だった。ライオンの様な鬣と容姿だが、気品や髪のツヤが凄い。王妃様も猫耳はあるし、髪や尻尾の毛並みが凄く美しい。ちょっと触ってみたい…。



「店長!尻尾とか、触りたそうな顔しないで下さい!スケベに見えますよ!」


「ちょっ、ナナセさん!そんな事、思って…ちょっとは思ったけど…」


「ガッハッハッ!普通、我等にそんな事言う奴おらぬよ!」


「ウフフッ、別に触っても良いですけどね…」


「ご冗談を…ライオトーラ様に殺されちゃいます…」



 他の宰相や家臣の方とも話したが、好感触。良い印象だ。さて次は…。



※※※



「僕がゲーイジューツ皇国の皇帝、オタークです。今日はよろしくお願いします」


「私は皇后のアイドーラです。…で挨拶なんかより、聞かなくてはいけない事があります!」


「そうだねアイドーラ!では早速…」



 なんだ?展開が早い…。挨拶もさせて貰えない…。周りの家臣も話したそうだし…。



「で、あの漫画という本なんだけど、キクチが考えたんだって?詳しく教えて欲しいんだけど…」


「オターク待って!まず服よ!服から!サハラ様が着ている、あの服ゴスロリって言うんですってね?あれはあなたの所のスタッフが考えたらしいじゃない…」


「お待ち下さい!それならまず、あの様々な魔道具からでしょう。それを聞いてから…」


「違う!オシャレという文化の話からだ!それに…」



 凄い勢いだ…。まだ一言も喋ってない…。確かにこの街には、僕達が今まで提供してきた文化が多く売られているし、見る事も出来るからね。ゲーイジューツ皇国は、そっちの方が楽しみだった様だ。



「…とまあそんな感じです」


「なるほどな!そういう考え方か!国に戻ったらやる事が多いな!」


「そうですね!オターク!もう楽しみですわ!一度ゲーイジューツ皇国にも来て下さいね!」



 詳しくは説明出来なかったが、まあ良いよね。ナナセさんも少し疲れた様だし。次に行こう…。



※※※



「お前らが、サハラを泣かしたそうだな…」


「すいません…どっどうしてそれを…何か?」


「クックック…嬉しくてしょうがない!アーッハッハ!」


「そうですか…」


「悪いな…俺がイキシチニ帝国の魔王、キニユだ」


「もうっ、キニユったら…私は王妃のシヒリです」



 やっぱりアカサタナ帝国とは仲が悪いのかな?でもそこまで悪い人では無さそうだけど。雰囲気も角があるくらいで、そんなに変わらない。きっと飛ぶ時には、同じように翼も出るのだろう。因みに少し離れた所から、サハラ様が睨んではいる。カナヤ様がなだめてはいるけどね。



「俺達も、今後はもう少しオースリー王国と交流しないとな。少しはオシャレというものが流れてきてはいるが、アカサタナ帝国に比べると弱いしな」


「そうですね。この街で楽しそうな物も多いですし、一杯服とか買いましたからね。今日も早速着ましたし、シャンプーもしましたよ」



 だからか、ゲーイジューツ皇国も綺麗だったしね。やっぱり行動力がある。良いと思ったらすぐ行動だ。



「何でアカサタナ帝国と仲が悪いんですか?」


「ナナセさん!そんな事聞いちゃダメだよっ!」



 ヤッカム様も少し慌てている。周りの国の人達も驚いている。



「ああそれか…大分昔の話だが…何百年も前だ…」


「それはこの世界のタブーでは、魔族しか知らない…」



 ヤッカム様の言葉にビビる。そんな事言わせようとしているのかよ…。周りの人も聞き耳立ててるよ…。



「アカサタナ帝国は、昔から王族の髪が凄いモジャモジャでな…それを何代か前の魔王がバカにした。それだけだ」


「「「「「えっ?」」」」」


「キニユの言う通り、それだけね。他は知らない」



 そこにいる全員が驚き、呆然としている。各国首脳陣もだ。これが何百年ものタブー?…もう仲直りしろよ!むしろ仲が良いんじゃないか?向こうではカナヤ様とサハラ様が、顔を赤くしているし…。もういいや次行こう…。



※※※



「エルフィは誰も来ないんですね」


「そうですな。あそこの民は基本森を愛してますから。来ているのも、参加選手と仲の良い者位でしょう。美しい者も多いですし、人目に晒されるのもあまり好みませんから。でも結果等楽しみにしている様ですよ」


「そうなんですか。それなら良い報告が出来ると良いですね」



 その後はアカサタナ帝国やヌーヌーラ共和国の代表とも話をして、オースリー王国の席に戻る。



※※※



「大人気じゃないか。笑えたぞ。特にイキシチニ帝国の話はな」


「世界の禁忌があんな話なんて…私も笑ったわ」


「ジーク様、ディーテ様…見てたなら助けてくれても…」


「ナナセが起こす騒動は、面白いからな。見入ってたよ」


「私はそんなに騒動は起こしませんよ!」



 起こしてるよ…。ナナセさん…。そしてしばらくすると開会式になった。僕が簡単に紹介され、そこで話す、それだけだ。その後はすぐに武闘大会が始まる。さぁ頑張りますか!



※※※



「ではこの世界にオシャレという文化と、この武闘大会の開催を提案してくれた、美容師キクチから開会宣言をしてもらいます!」



 拡声の魔道具を使い、司会進行の方から紹介される。その瞬間大きな歓声が上がり、僕も壇上に立つ。見渡すと、僕の見知った人達もいる。恥ずかしいなぁ。そして拡声の魔道具を渡され、話し始める…。



「改めてまして、紹介されたキクチです。早く闘いを見たいでしょうから、簡単に挨拶を」



 少し笑いが起きる。



「今日開催に至ったきっかけは、戦争です。戦争が起こりそうになったからです」



 知っている者は、少し険しい顔になる。



「でも起きませんでした。何故か、それは武を競い合ったからです。これから戦争が起こるかもという場所で、僕の提案を理解し受け入れ、その場で簡単な武闘大会をしたんです」



 皆は少しポカンとしている。その場にいた者は頷いている。



「結果、戦争は起こらず、こんな大会をしたのです。その時の簡単な武闘大会は、大変盛り上がりました。敵味方関係無く、勝った方も敗けた方も…そしてその夜は、両軍合わせて大宴会。信じられますか?さっきまで殺す殺さないで、揉めてたのに。正直、バカなのかな?とも思いました」



 会場に笑い声が起こる。恥ずかしそうにしている人もいるけどね。当人達だろうけど。



「でも、凄いと思いました。相手を傷付ける為の技術や武器が、平和を作ったんです。一人も殺さず、何も侵略せず、お互いが納得して」



 皆、真剣に聞いている。



「だからこそ、この祭典を平和の象徴として行いたい!いや行いましょう!お互いを理解し、交流し、互いに高めあえる、そんな関係に!簡単では無いかもしれません…でもそれが出来ると僕は信じてます!」



 会場が沸く。



「でも!それとは関係無く、一度は夢見る、最強の座を掛けて闘う武人達!至高にして最強の武人を決める大会!身分や性別、国や種族、全部関係無い!ただ、この日の為に培ってきた、己の武力を試す最高の舞台!ただバカになって楽しもうぜ!このバカ野郎ども!」


「「「「「ウオォォォー!」」」」」



 会場に叫び声が響き渡る!最高の盛り上り!完璧じゃないか?それを確認した僕は、舞台を降りる。



※※※



 席に戻ると、各国の方々が凄く誉めてくれる。これは恥ずかしいなぁ。ちょっとやり過ぎたかな?



「店長!やりますね!カッコ良かったですよ!ただ間違い無く後で、お姉ちゃんに冷やかされます!」


「そうだね…でも盛り上がって良かったよ」



 そしてこれから大会は始まる。平和の祭典として。



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