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異世界美容室  作者: きゆたく
二年目、異世界隣国騒乱篇
47/136

※アカサタナ帝国王妃サハラ、疑問と答え※


「はぁ…」



 溜め息も出るのじゃ…。それは何故か…。



「妾はどうしたら良いのじゃ…」 



 今日は仕事も終わったので、妾も美容学校の寮で一息付く。罰として始まった二ヶ月の生活も、もうすぐ終わるのじゃ…。でも妾への罰は罰として機能していなかったのじゃ。キクチは恐らく罰を与えるというよりは、本気で美容師を目指す人達を知って欲しかったのじゃろう。妾の軽はずみな発言から起こった騒動は、許されるものでは無いのじゃ…。でも、ここで過ごしてしまったら…。



「本気で美容師になりたくなってしまったのじゃ…」



 皆の取り組む姿勢、身分も立場も関係無く過ごせる環境、そしてオシャレ。やりたいのじゃ…。何で今までの妾はあんなに無駄な生活を…。ただ、我が儘に過ごしていた自分が恥ずかしいのじゃ…。キクチにあれだけ怒られる理由が、ここにあるのじゃ。



「なんてバカな生き方を、妾はしてきたのじゃろう…」



 カナヤは魔王としてしっかりやっているのに、妾は助けもせず誰かにお願いし、気に入らなければ文句を言うだけのクズじゃ。



「取り合えず、明日マイに相談するのじゃ!」



 妾はバカだから、人にまず聞くべきじゃろう。



※※※



「ここで過ごすうちに、本気で美容師になりたくなってしまったのじゃ…」


「…うん。気付いていたよ…サハラ様が一生懸命働いているうちに、皆に本気で惹かれてるなって…」


「そっそうなのじゃ!」



 流石マイなのじゃ。簡単に気付かれるとは、妾も甘いのじゃ。



「私としては別に不満はないよ…」


「ならここに入学出来るのじゃな?」


「サハラ様、良く考えて…今は刑罰としてここにいるの。それが終われば、あなたは王妃に戻るの…」



 それはわかっているのじゃ…。でもやりたいのじゃ…。



「キクチくんも、似た様な事を言ったと思うけど、サハラ様は自分にどれだけ責任があるか…わかっていない」


「そんな事…わかって…」


「いいえ…わかってません。反省しても、まだ我が儘娘の延長で生きているのよ…」



 マイ!そんな事、言わないで欲しいのじゃ…!



「王妃様としてあなたが、入学すると皆が困ります。教員、生徒、各関係者、そしてオースリー王国が…」


「今みたいに身分を偽れば…」


「だから…今は刑罰なんです。精一杯の優しい刑罰…」



 どういう事じゃ。何があるのじゃ…。



「アカサタナ帝国は、比較的に自由行動が認められているのでしょう…でもここはオースリー王国なんです。今までと同じ様に行動し、何かあったら責任を取るのは?」


「妾じゃ無いのか?」


「オースリー王国とアカサタナ帝国の両方ですよ。パラレルでの行動は、サハラ様が勝手に来て勝手にやった事として処理された。…にも関わらず、アカサタナ帝国としてもしっかりと謝罪していますよね…」



 確かに…カナヤが謝っていた…。



「美容学校の生徒になる為には、アカサタナ帝国とオースリー王国に認めさせて、ここに移住してくるはず。その為に、どれだけの人が準備や手間を掛けるんだろうね。もう何かあったらでは済みませんよね…」


「……」


「ディーテ様も本当は入学したかったそうです…でも今の王妃としての立場に、間違い無く自分が必要だと…責任を放棄する訳にはいかないと…そう聞かされてます」


「……」


「サハラ様の責任て何ですかね…王の横で威張っているだけなんですか…簡単に国からいなくなっても良いのかな…必要されてないのかな?」


「……」


「美容師にはなれないけど、美容師になる課程だけでも見せて上げようという。せめてもの優しさが、この刑罰でもあるのよ…わかってるのでしょ?」



 わからないのじゃ…。マイは何を言っているのじゃ…。頭がこんがらがるのじゃ。



「それをちゃんと理解した後、国を捨て…カナヤ様と別れて…それでも来る覚悟があるなら、そこで始めて私達は話を聞きましょう。…まぁ、それでも入れるかどうかは別だけどね…」


「そっそこまで…!」


「でも私達は決して、サハラ様が成長してないなんて思ってないですよ。前の自分を恥じてると思うし、気も使えるようになった。でもまだ足りない。まだ考えられる。…話は以上です。どうぞ仕事に戻って下さい。」



 そして妾は仕事に戻る…。そして言われた通り考える…。どうすれば良いのじゃ…。妾は…まず国へ帰るべきなのじゃろうか…。良く国を見てから考える…。うーん…そうするのじゃ!カナヤも、家臣も良く見てやるのじゃ!美容師の道のり、簡単には諦めてやらないのじゃ!まずは残りの罰をしっかりやるのじゃ!



※※※



「こんな感じでどうですか?カナヤ様」


「いいねぇ。キクチの先輩だけあって流石だよ!」


「言い過ぎでしたかね?」


「いや、そんな事はない。サハラにはしっかりと考えて欲しいしね。これで取り合えずここに残るとは言わないだろう…一旦国に帰って、良く考えるだろう。そういう時期だ」


「そうですね。どういう決断を出しますかね?」


「僕としては、美容師になって欲しいかも。どっちにしても別れはしないけどね」


「ふふっ私達も美容師になって欲しいと思ってますよ。断固たる覚悟をもって…」



 ここは優しい世界なのである。



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