パラレルスタッフ、カラーモデル実行
ある日、いつものようにジーク様とタハラシ様が、僕の部屋で仕事をしていたので、あるお願いをした…。
「仕上がりが楽しみだ」
「期待して下さい」
ジーク様に、カラーモデルをお願いしたのだ。カナヤ様やサハラ様に張り合っていたしね。ヘアスタイルも変えようと思っていたけど、気に入っている事もあり、長さを整えるだけにした。そしてカラーはウィービングをしている。髪の毛に対して、ハイライトやローライトを入れる技法だ。昔風に言うならばメッシュかな。因みにタハラシ様も、隣でナナセさんのウィービングモデルになっている。マイさんとオーパイさんも勉強の為にヘルプで付いている。
「凄いもんだな…そんなに細かい作業を…」
「ジーク様、本当ですね…」
ウィービングは、ダックカール(髪止め)で髪を分け、コーム(櫛)の柄で細かく毛束をすくい上げる。それをカラー用ホイルに乗せ、刷毛でカラー剤を塗布する。毛束の太さやカラー剤の色味で、様々な変化を与える事が出来る。
「ナナセさんペース上げて。最初のパネルがすぐ染まっちゃうよ」
「はいっ!」
日本と全く違うスピードで、やらなくてはいけないので檄を飛ばす。薬剤の反応がかなり早い。
「流石あの厳しいキクチだ。俺も震えるよ」
「冗談は止めて下さい…少しやり過ぎたかなとも思ってるんですから…」
「ふっ、サハラは頑張ってるらしいぞ。毎日ヘトヘトになるまで働いているらしい」
「みたいですね。マイさんから聞いてます。それにマイさんも厳しいですからね」
「ディーテも反省しているのか、自ら城内を色々と掃除や片付けしてるよ。事情を知らない奴は、止めようとするけどな」
「ふふっでもそれくらいして欲しいですね。事の発端の一人ですから」
あの事件以来、二人の王妃様は頑張っている様だ。しばらくは大人しくなるだろう。僕達も助かる。
※※※
「おおっ!これがカラーか!俺の髪もこんな色になるんだな!」
「凄いですね…ヘアスタイルのインパクトが、かなり上がりましたよ」
ジーク様は、アシンメトリーの長い方にアッシュを入れた。明るいアッシュと暗めのアッシュを入れ、金髪に良いアクセントが付いた。タハラシ様は前髪と顔周りからネープにブラウンのローライトを入れた。陰影を付けて、元の金髪ショートを引き立てる。小顔効果や、首元も細く見える効果もある。二人共、男前度がアップだ。
「しっ師匠!素晴らしいです!アタシも練習します!」
「最初はウイッグで練習だし、まだ普通の塗布も遅いから…。まぁせっかくだからオーパイさんも、モデルしてみよっか。まずは経験という事で、染めてあげるよ」
「あっありがとうございます!」
「店長!私も!私も!」
「じゃあ私もしてもらおうかな」
皆、別に良いけどさ、僕もやって貰えるんだよね?忘れられてないよね?三人分のカラーの用意しかされてないけど気のせいだよね?
「ジーク様…平和ですね…」
「ああタハラシ…平和だな…」
でも二人は知らなかった。これから平和が脅かされる事を…。
※※※
また別の日の営業終了後に、マガジャさんがやって来た。
「キクチ殿、一区切りしたので見てくれないか?」
「是非是非!楽しみにしてましたよ!」
「店長!私も見せて下さい!」
とうとう出来上がった漫画が騒動の始まりになる。行動力が高いから騒動のスピードもかなり早いんだよなぁ…。




