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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
23/136

国王ジークフリート、裏口挑戦


「ここがパラレルか…凄いものだ。王城の美容室とはレベルが違う」


「王様、ありがとうございます」


「ジークで良いと言っているだろうが」



 今日はパラレルの定休日。そんな中、初めて王様がパラレルにやって来た。いつか来るつもりではいたが、中々暇がなくやっと来れたのだ。そして今日は少数精鋭だ。王様、王妃様、ヤッカム様、アントレン様、タハラシ様の五人しかいない。



「とうとう裏口を調べる時が来たか」


「ジークが無理を言ったからでしょ!」


「俺のせいにするな!ディーテも賛成したじゃないか」


「「「はぁ…」」」



 そもそもきっかけは、先日の信仰祭だ。あまりにも楽しそうで羨ましかったらしく、もう王様は我慢の限界になり来る事に。他の三人は少し呆れているよ…。異世界への道を知っている限られたメンバーとはいえ、大変なものだ。



「今日はこのメンバーだから、身体強化で飛ばしてこれたからな、かなり早く着いたし」


「いつもこれで来たいですわ。体も鈍ってしまいますし」


「「「はぁ…」」」



 王族にそんな勝手に色々行かれても困るだろうに。他の三人が少し可哀想だ。



「とにかくまず通ってみるか…」



 裏口を開けると、こちらの人には見慣れない壁や、ボイラー等が見える。僕達は安心しているが、他の人達は違う。女神の力で異世界に繋がっているはずなので、もし自分が認められなければ弾かれたり、最悪死ぬ事も想像している。だからこの国で一番魔力の強い王様が、試しの門をくぐるという訳だ。まぁ実際は試しの門ではなく、ただのドアで裏口なのだが…。そしてまず僕が向こうに行く、それから王様が額から汗を流しながら、ゆっくりと足を進めていく。



※※※



 通れた。あっさりと。全く問題なし。特に魔力とかも反応なかったそうだ。



「緊張したぜ~」


「何も異常は無さそうだな」


「ジーク良かったわね」


「俺も緊張したな」


「私もだ」



 多分僕が思うに悪意さえ無ければ、誰でも通れるんじゃないだろうか。まず悪意がある人は、女神の加護でそもそも店に入れないのだから。きっと裏口もそんな気がする。さらに裏口を出てから、王様と少し会話したが言葉は、通じたままだった。多分王様の言葉が翻訳されるようになったんだと思う。僕達が異世界に行く時の逆パターンだ。おそらく字も読めるようになっているんだろう。



「で、どうしますか?行きますか?僕達の世界」



 これで揉める事になる。まぁいつもの事だ。



※※※



 日本の僕が住んでいる街では、基本的に車移動だ。僕の車は普通の国産乗用車で、五人乗りだ。今日は僕の他にナナセさんもいる。なのでこちらに来れる異世界のお客様は三名様だ。



「俺は王なのだし確定だな!」


「私も王妃ですから当然です!」


「何を言っている?まず宰相の私が調べてきてからの王族に決まっているだろう!」


「インペリアルガードの私が護衛せずに誰が行けるのですか!」


「マイの住んでいる国に行くのは俺だ!」



 皆さん主張が強くまとまらない…。ていうかアントレン様…最近大丈夫か?そのまま全然決まらないので、結局僕が決めた。



「ジーク様と、ディーテ様と、タハラシ様でお願いします」



 アミダくじで決めた。王様だけは決定だったけど。



「やったー!」


「良しっ!」


「何故、私の神は死んだのか…」


「俺はいったいどうしたら…くそっ!」


「ディーテとタハラシか、悪くないな」



 王様夫妻とインペリアルガードだったら、いつもと同じで過ごしやすいかもな。待ちの二人には漫画でも読んでてもらおう。そして向こうで自然に過ごす為に、いくつか決め事をした。まず様は付けない事、大変なのは僕達とタハラシ様だけど。そして僕達から離れない事、車に跳ねられたりしても困る。更にお金の管理は僕達に一任させる事、変な物を買われても困る。当然魔法を使わない事、当然向こうの世界では有り得ない事なので。最後に今日中に帰ってくる事、当たり前だが明日は仕事なので。僕達の言う事に絶対に従う事、我が儘は認めない絶対守ってもらう。



「俺だって国王だぜ?子供じゃないんだからさ」


「私もそんなバカではないわよ」


「私もいきなり呼び捨ては…」


「じゃあ他の人を連れていきます」


「「「ごめんなさい」」」



 ということで、三人には僕とナナセさんの服に着替えてもらって行く事に。居残り組が睨んでいる。血の涙を流す勢いだ。とにかくこれから、異世界人が日本を観光するのである。どうなる事やら…。



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