※ナナセの姉、マイ降臨※
「今日からしばらくよろしくね」
「お姉ちゃん!よろしくね!」
「マイさん、よろしくお願いします」
私は今日からパラレルでしばらく働かせてもらう。まだ先だけど、学校の先生になるんだってさ!久々の美容師としての仕事は凄く楽しみだ。まぁ取りあえず、しばらくはパラレルで働いてブランクを取り戻してやる!
※※※
「マイさんって色々と上手ですね!それに師匠や姉御とはまた全然違う視点のアドバイスです!」
「オーパイちゃん、ありがとー!ブランクあるとはいえ、キクチの先輩だよ私は」
「今度、ギルドにも来てくれませんか?その服のセンス、凄く参考になります!」
「ユニクさんもありがとー!」
流石にオーパイちゃんよりは上手いに決まってるよ。確かにキクチくんやナナセは、カジュアルな服装だよね。私みたいな少しカラフルなモード系の服装は珍しいかも。
「確かにお姉ちゃんは、少しモード系だし目立つかもね」
「いいんじゃない?新しいオシャレの波、来るかもね」
「流行はそんな簡単に作れないよ!」
私はそう言ったが、キクチくんとナナセはそのうちわかるよ言った。その後も私はパラレルで働いたり、街を見学したりした。頼まれていた服飾ギルドに行ったら、質問攻めにあったりもした。
※※※
一週間もすると大分慣れた。エルフの耳の扱いや、獣人のシャンプーブローもお手のものだ。そしてキクチくん達が言っていたことも良くわかった。
「ねっ言ったとおりになったでしょ!」
「本当にねぇ、凄いやこの国…」
あっという間に、モード系ファッションが流行り出した。もう私は珍しくないのだ。そしてここから私は、この国の凄さを知っていく。
※※※
きっかけは些細だった。そもそも私はパラレルでカットをするつもりはなかった。それはキクチくんにも悪いし、これからナナセもする様になるからだ。学校の先生になるのに、片手間でカットするのは忍びない。でも…。
「マイさんに切ってもらいたい」
服飾ギルドのスタッフの何気ない一言から、始まった。私のヘアはファッションに合わせて、少しアバンギャルドなショートだ。なのでモード系のファッションを取り入れた人達は、私の真似をしたいそうだ。
「マイさん、良いですよ!」
「でも、キクチくん達に悪い気がするし…」
「お姉ちゃん!店長もああ言ってるんだから、やってみなよ」
そう言われて私は少し調子に乗ってしまった。カットウィッグ以外の久々のカットに、心が踊ってしまったのだ。安請け合いをしたせいでここから大変になる。
※※※
私は売れっこ美容師になってしまった…。モード系ファッションの伝道師だ。
「キクチくんごめんね…お客様を取るような形になってしまって」
「全然良いですよ!僕達も勉強になるし」
「お姉ちゃん平気だよ!それでも店長の方が忙しいんだから!」
「アタシもマイさんで、勉強させて頂いてます!」
皆はそう言ってくれるけど…まぁ仕方ないのかもしれない。これが異世界と思って頑張ろう。それにしてもキクチくんは大分凄い。早さや、正確さ、仕上がりを見てもレベルが違う。同じ時間で同じスタイルを作ったら多分間違いなく私が負ける。ナナセも同じ様なものだ。カットでは私の方が上だろうけど、他は私と遜色ないレベルだと思う。この世界で二人とも大分鍛えられたのだろう。オーパイは、まぁ頑張れ…。
※※※
その後も色々とあった。美容学校の打ち合わせに参加させてもらったら、王妃様や侍女に大分好かれた。変な趣味は止めてくれよ…。他にもお店に来たアントレンという騎士に「一目惚れだ、結婚してくれ」と言われた。どうなってんだこの世界…。
「お姉ちゃん、この国で人気凄いね!」
「ただ、珍しがってるだけだよ」
「アントレン様なんか、しょっちゅう来るしね」
「あの人あれでも偉い団長なんだろ?大丈夫この国?王妃様達も少し百合、入ってない?」
「服飾ギルドでもファン多いしね!」
まぁとにかく、離婚とかをすっかり忘れるくらい充実はしているな。それでも私が活躍出来たのは、先に来ていたキクチくん達がいたからだ。そのベースがあって今の私がある。で、あるならば是非とも美容学校を成功させて貢献しないとね!頑張るべし!




