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異世界美容室  作者: きゆたく
プロローグ
2/136

※雑貨屋の母、サリエラ来店※


「いやーすごいわホント。マリベルの言う通りだった」


「サリエラさん、ありがとうございます」


「ねっ言ったとうりでしょ!」



 私は今日、娘のマリベルに言われて美容室という所に、初めて来てみた。そして娘と同じ『ぼぶ』にしてもらったのだが、正直こんなに驚く事が多いとは思っていなかった。宿屋のポニョンちゃんやその母親のプリュンも絶賛していたけど、それでも実際にこの店に来るまではそこまで信じていなかった。見た事も聞いた事もない店構えや家具、魔道具と技術も。そして『おしゃれ』という考え方まで。うちの雑貨屋でも使いたい商品もたくさんあるし…かなり高そうだけど。



「お母さん!しゃんぷーと、とりーとめんと買ってもいい?」


「値段はいくらなんだい?高そうだけど…」


「両方合わせて3000リルだよ」


「えっそんなもんなのかい?もっとしてもいいのに」



 あきらかに安すぎる。この精密な容器に文字まで入ってるし…いったいどうやって作ってるんだろう?全く同じものを量産している様だけど、魔法じゃないらしいし。



「おたくらは…どこから来たんだい?」


「とても遠くの島国です。こっちの人は誰も知らないですけど…」


「ふーん」



 私達の知らないとんでもない技術大国があるのか…。戦争とか起こらなければいいけど…。思いきって商売話もしてみようかな…。



「ちなみにこの商品とかって、うちの雑貨屋で売る事はできないかい?」


「お母さん?図々しすぎるよ!」


「ははっ、申し訳ないのですが…今はまだその予定はないんですよね」



 キクチさんは困ったように言ってるが、『今はまだ』と言った。という事は、今後売る可能性があるという事だ。その時は是非お願いしたいものだね。



「その時が来たら是非!」


「お母さんたら、もうっ!」



 マリベルは怒っているが、商売やってるなら多少は図々しくないとね。儲けるチャンスは逃してはいけないよ。



「もっと街でオシャレが浸透して、うちのお店も忙しくなったら、自分達で商品説明や販売する暇がとれなくなるので、その時には是非サリエラさんや、他の方達にも協力をお願いしたいですね」


「なるほど」


「お母さん…」


「パラレル内で店員をしてもらうとか、他のお店で販売するとか、他にも色々考えてはいるんですけど…まあまだ先の話ですけどね」



 この人は相当先の事まで考えているみたいだね。『おしゃれ』をまず街に浸透させてからという事は、もっとお客さんをここに集めないといけないって事ね。



「わかったよ。ありがとう」


「いえいえ、すみません」


「とりあえず自分達が使う分は買わせておくれ。それと娘にやったサンプルも頂戴な!」


「やめてよ、お母さん!ホント恥ずかしい!」


「ははっ全然良いですよ!今はまだ開店セールですからね」


「ふふっこれからもよろしくね」



※※※



 店を出て改めてあの店の凄さを感じている。とにかくおしゃれの可能性が大きすぎる。これからあの店に注意し、自分達も常に気にしなければ、なにか大きな流れから取り残される気がする。



「マリベル、あのパラレルというお店から目を離しちゃダメだよ」


「わかってるよ、お母さん」


「家みたいな普通の雑貨屋が、大きな商店になるかもしれないチャンスがあるよ。『おしゃれ』というものは間違いなく」


「私もそう思う」


「それにしても私に20歳は若返ったんじゃないかい?」


「それは言い過ぎ!けど今後その可能性もあるね。」



 そんな商売の話で盛り上がりながらも、自分がキレイになったという幸せを実感した一日だった。



「早く帰らないとお父さんに怒られるね!」


「いや私がキレイになったから喜んでくれるはず!じゃなきゃ許さん!」 


「そうだね!」



 そして旦那に物凄くビックリされた。まさか赤の他人と思われるとはね、ぼぶってすごいねぇ。商売の方も少し興味を持った様だし、きっと近々お店に行くねこれは。



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