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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
15/136

美容室の二人、軍事力増加とさらば王都


「「「おはようございます!」」」


「皆、今日はキクチとナナセちゃんが、俺達をより強くカッコ良くしてくれるからしっかり励めよ!」


「「「はい!」」」


「私達も更にインペリアルガードとしての向上をはかる!」


「「「はい!」」」



 翌日、かなりの早朝からアントレン様とタハラシ様が部屋にやって来た。そして早めの朝食を取らされ、そのまま訓練場に連れてこられて、この状態だ。



「正直僕達は軍人でもないし、強くもないのでそんなに役に立てるとは…」


「私も自信ないです…」



 そう言ってもあまり信じてない感じがする。そうは言っても何かあるんでしょ?みたいな顔だ。そしてそんな雰囲気のまま訓練は始まった。



※※※



 訓練はとてもハードだった。ほとんど実践で、剣や槍等での戦いは迫力があったし、始めてみる色々な攻撃魔法はかなり興奮した。ナナセさんも同様だ。



「どうだキクチとナナセ、我が軍は?」


「あっジーク様、ディーテ様、ヤッカム様。おはようございます」



 二時間程経った頃、王様達がやって来たのだが、何故か皆目が真っ赤だ…。そこで気付いてしまう。



「さては皆様、徹夜で漫画読んでましたね…」


「バレたか、皆に回っていくとなかなか読めないからな!」


「私もあのボクシングという武術やってみたいですわ」


「私も、もう少し若い頃にあの空手という武術に出会えていたら…」



 昨日、夕食後お貸しする漫画を持ってきていた事を思いだし、一応渡しといたのだった。その結果、格闘技漫画に夢中になったそう。まだ全巻は読めていないらしく、訓練場に来るのも迷っていたらしい。ファンタジー漫画もまだ読めていないそう。



「ディーテ様昨日も言いましたけど、夜更かしは美容の敵ですよ!」


「わかってるのよ。わかってはいるの…ナナセ…でも無理なのよ…」

 


 この国は大丈夫だろうか…。昨日から王族、国、神様と全部改名して大変になるはずなのに、その中心がこの状態で…。



※※※



「何か気付いたことは?」



 休憩時間になりアドバイスを求められる。やけに皆の注目を浴びる。僕もナナセさんも技術的な事はさっぱりなので、あえてこんな事ができたら、カッコいいんじゃないかと思う事を伝えた。



「僕は魔法剣かなぁ。剣や槍で戦う時にできたら、もっと強くてカッコ良さそうとは思ったけど。弓矢にも纏わせたら破壊力ありそうだし」


「キクチ!そっそれはどういうことだ!?俺達にわかるように教えてくれ!」


「あくまでも出来たらの話ですよ?皆さんが持っている魔力を手から武器に纏わせて、炎の剣や雷の槍、氷の矢なんてね。元々ある魔石をうまく使ったりして、なんちゃって」


「キクチ殿…それは素晴らしい発想ですよ!早速やってみましょう!全員準備しろ!」



 中二病みたいで、何かちょっと恥ずかしいな…。ナナセさん程じゃないけど僕もファンタジー漫画は読むし、嫌いじゃない。今まで魔法剣みたいな事をやってこなかったのは、きっと出来ないからだろうし、変な期待させるのも悪かったかな…。ガッカリされそうだ。まぁそれも仕方ないか…。



※※※



「出来たー!」


「少しコツ掴めば簡単に出来る!攻撃力も大分上がるぞ!」


「うおぉぉぉー!」


「魔石も持ってこい!」


「鍛冶ギルドに連絡を入れろ!」



 出来た。あっさり。何なんだよこの世界…。皆とても満足気だ。そして近いうちに学者も合わせて、更なる高みを目指すらしい。そして次はナナセさんの意見を聞く事に。



「うーん、私は詠唱ですかね!基本的に皆さん詠唱破棄で魔法唱えてますけど」


「詠唱とは?」


「皆さん魔法打つとき「くらえっ」「このやろう」「おりゃっ」「はっ」とかじゃないですか。そこを火魔法だったら「炎の神よ右手に宿れ!悪をを塵に還せフレイムバースト!」ってやったら何かカッコ良くありません?」


「…ナナセさん…あなたは言葉の魔法使いだ…」



 皆がナナセさんに心酔している。ある意味この国の女神はナナセさんじゃないか。女神様の名前付けた位だし。というか、せっかく詠唱破棄出来るのにわざわざ言う必要無いし。でもそんなノリも訓練位は良いのかなとも思う。



※※※



 …とそんな風に思っていた時期が、僕にもありました。



「おい!今までの倍以上は威力あるぞ!」


「魔力の減りも以前の半分以下だ!」


「多少時間が掛かるというデメリットはあるが、その数倍の効果だ!」


「治癒魔法も効果が段違いだ!」


「魔法剣でも出来るぞ!」



 ナナセさんが適当に考えた、様々な詠唱や魔法名でとてつもない魔法戦隊が出来上がってしまった。僕の魔法剣にもあっさり応用された。さすがに一人一人オリジナル魔法を考えるのは大変なので、学者さんや昨日貸したファンタジー漫画を参考にしてくれとお願いしていたが。きっと騎士達は、今日間違いなく徹夜になるだろう。



※※※



「キクチ殿、女神様。今日は本当にありがとうございました」


「また店にも行くから、よろしくな!」


「はい。こちらも楽しかったです」


「私も面白かったです!」



 ナナセさんは、いつのまにか女神に昇格していた。リリーシュ様を忘れないで欲しい。そして騎士の方々には大変感謝された。もちろん王様達にも。まだ王都に滞在して欲しそうだったが「サロンの街にも沢山のお客様を待たせているので」と断り帰路についた。



「色々と大変でしたね!面白かったけど」


「たった二日間なのにね…」


「結局観光できなかったのは残念でした」



 帰りの馬車に揺られながらそんな会話をする。これからもオシャレを広げる努力は、しなくてはならない。きっと大変な事はまだまだあるのだろうな。



※※※



 様々な改名についてはすぐ王国全土に伝えられ、あっという間に浸透した。内容はというとあのまんまだ。「カッコいいと思ったから」「女神様が喜んでくれたから」そんな内容を。但し僕達の名前は伏せられ、少し脚色された内容ではあるが、ほぼ事実を国民に伝えた。そして一週間もすれば話題にすらならなかった。あの日王城から凄い光が放たれたのが、見えていた事もあるが。かなりの人が気付いたらしく、離れた街でも確認されたらしい。それだとしても、どれだけ順応性高いんだよ…。信仰する神の名や国名も変わったのに…。なぜ納得出来る?それだけ今の王国を信じているのか、バカなのか…。



「素敵な国じゃないですか!」 


「まっそういう事にしておくよ」

 


 とにかく行動力、決断力、順応性の高さにこれからもきっと驚かされるんだろうと思う、そんな王都への訪問だった。



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