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異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
135/136

リトールの年末、アントレンの作戦


 ナナセさんまで同居する様になって、数日がたった。リトールでは、信仰祭も終わりもう年末だ。オースリー王国より暖かいせいか、そこまで寒くなる事も無く雪も降らなかった。



「もう年越しか…」


「街は騒がしいですけどね…」



 年越しといっても、まだまだ街の再建等で忙しく、皆もゆっくりする感覚は無いらしい。信仰祭も僕達でパーティーをして、皆にも差し入れとかしようかと思ったけど、ストムさんに止められた。いつまでも僕達に甘えず、今年は慎ましく今出来る精一杯で過ごす事にしたのだ。



「ジーク様にも色々と言われてたし、自分達でなんとかしたいんだろうね」


「祭り事だったら、いくらでも協力したいですけどね!」


「本当にね…オースリー王国じゃ、かなり盛り上がってるんだろうなぁ」



 ジーク様が帰ってから、オースリー王国の情報はまだ入ってこない。マリーちゃんもいるし、誰が送られてくると思ってたけど、誰も来ない。アントレンもいるし、僕達を信用しているのかな?



「キクチ!今年の年越しは、たらふく飲もうぜ!」


「ははっ!当然ですよ!アントレンとの毎年恒例だし!今年のじゃなく、今年もだしね!」



 アントレンは早くも年越しムードだ。二週間も先なのに…。



「今年は私もいるからね!年越し前にDVDレンタルに行こう!最近は、アニメ以外も見たいんだよね」


「私もいますからね!うっかりマリーちゃんに変な事をしないように、しっかりと見張ってます!」


「皆もここにいるなら…私もここで年越ししようかな」



 マリーちゃん、ナナセさん、マイさん…。この三人が、最初から年越しの飲み会にいると、ちょっと緊張するな…。男だけで飲むから良いんだよね…。去年は皆で盛り上がったけど、アントレンやジーク様、カズヤさんにサイトウさん…毎年面白かったよね。こればかりは、アントレンも同じ気持ちじゃないかな。



「キクチ…実は少し考えててな…」


「何ですか?まさか、悪巧み…?」


「ふっふっふ…男祭りを開催するぞ…」



 皆に聞こえない様に、こそっと話し掛けてくるアントレン。年越しの計画を立てているらしい。バレたら怒られそうだけど、楽しそうじゃないか。男祭り…いい響きだよ。



※※※



 そして、あっという間に大晦日がやってきた。流石にこの日ばかりは、街も人もゆっくりとしている。僕達もパラレルで、朝からのんびりとしていた。でもそこに…。



「アントレン!問題発生だ!」


「ワーンズ、どうしたっ!」


「魔物だ…ちょっとヤバイかもしれん…!すぐに来てくれっ!そうだっ!キクチも来てくれ!少し知恵を借りたいっ!」


「わっわかりましたっ!」



 そして僕達は、パラレルを出ていく。他の皆には、先に忘年会でもしててと伝える。外には主だったメンバーが集まりだし、すぐに出発する。



「よしっ!行くぞっ!」


「「「「「オーッ!」」」」」



※※※



 僕達は街から離れ、ある場所に来ていた…。



「上手く行きましたね!」


「俺の計画は完璧さ!」



 僕達がたどり着いたのは、密かに騎士団が作った小屋…。



「ミスレンも気付いてませんでしたよ」


「エレーカシ、ターチルドも逆に俺に気を使ってたよ…」


「俺もだ…モーンスンもすっかり騙されてる」



 そう、僕達は何かトラブルがあった様に見せかけて、密かに集まり男祭りを開催する事にしたのだ!エレーカシさん、ワーンズさん、タイーフンさん、そして他のメンバーも妻や家族を騙してここに来ている。若者から年寄まで、総勢五十名だ。



「本当に楽しみだったよ!」


「俺も!嫁が怖くて参加しない奴等は、勿体無いよな!」


「ああ、こんなチャンスは中々無いからな!騎士じゃない奴等なんかは、参加すら出来ない…あいつらは、泣いてたぞ…」


「クジランも、血の涙流してた…あいつは完全に文官だからな」


「タイーフンさんは強くて良かったですね!」



 残念ながら、参加しない人も勿論いる。嫉妬から情報が漏れる可能性もあったが、次の機会を考えると彼等にそれは出来ない。そして口封じもしてある。彼等の口封じは、あらかじめ渡したお酒だ。参加しても、しなくても、僕達の結束は硬いのさ!



「じゃあ、早速飲みますか!」


「そうだな!そうしよう!」



 そして僕達は準備していたお酒や料理を、マジックバッグから取り出す。騎士達も鎧を脱ぎ、私服に着替える。計画に抜かりは無いのだ!



「明日の昼頃に、少し疲れた顔して帰れば完璧さ!」


「少し怪我して帰りましょう!ちょっと訓練すれば、あっという間だし!」


「で…魔物には逃げられたってか!」


「「「「「あーっはっはっは!」」」」」



 僕達は絶好調だった。一気にフルスロットル全開で、お酒を飲んでいく。この後、とんでもない事になるとも知らず…。僕達はやっぱり甘かったんだ…。僕達は無事に年を越せるのか…。



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