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異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
133/136

オースリー王国マリー、恋愛と移住


 ジーク様の懇親会後、僕達は遅くまで飲んでいた。マリー様も買ってきたDVDアニメに夢中で、夜更かしの真っ最中だ。ナナセさんとマイさんはもう帰ったけど、僕とアントレンはジーク様とまだ会話を楽しむ。



「それでどうするんだ、これから」


「そうですね…来年には、一回オースリー王国に行きたいです」


「コンテストは良いのか?」


「どっちにしろ、まだ一年経ってませんから…戻るには早過ぎですよ。もう少し成長してから行きます。皆には申し訳無いですけど…」


「そうか…でも安心しろ。サロンの街の連中には、まだ何も言ってないからな」


「えっ?そうなんですか?」


「ああ、いきなり登場させて、驚かそうと思ってな」



 ジーク様達らしい…。でもその方が良いかも。変に期待されても困るし。そして話の方向が変わる。



「アントレンもマイの関係も、全然進んで無さそうだが…」


「うるせぇよ…こっちだって、色々あるんだよ…」


「ははっ、いきなりここに来ましたしね。確かに色々あったかも…でもマイさんも、わかりにくいからなぁ」


「そっそうだよな!俺もそう思ってた!」


「お前も子供じゃないんだから、もっと動けよ…」



 マイさんは、多分アントレンの事を好きだとは思う。ただ友達としてなのか、男としてなのかはわからない…。たまに二人でご飯食べたり、出掛けたりしてるのにな…。



「キクチもナナセと、くっつかないのか?のんびりしてると、また結婚候補が現れるぞ…ストムあたりを、そのうち周りが薦めてくると思うしな」


「僕の話は良いんですよ!まぁ確かに面倒なのは困りますけど…」


「俺も…ナナセちゃんとキクチが結婚してくれれば、付き合いやすいのかもな…」



 あまり適当な事を、言わないで欲しい…。ましてやマリー様もいるし、変な事は言わないでよ…。



「そうすれば、焦って行き遅れない様に動くかもな。はっはっは」


「ふふっ、ジーク様…それは失礼ですよ。それにナナセさんだって、それなりに良い歳になりましたよ。今のナナセさん位の歳に、マイさんは結婚してましたしね」


「そんな言い方したら、ナナセちゃんはもう行き遅れみたいじゃないか」


「「「あっはっは!」」」



 ここにいない人の話で、笑い話をするのも悪いよね。



「誰が…三十過ぎた行き遅れのバツイチですって…?」


「私をいつの間に…アラサーの行き遅れに認定したんですか…?」



 いきなり後ろから声が聞こえた…。一瞬にして凍り付く部屋…。誰も振り向けないし、声も出せない…。ただ怯えて震えるだけ…他の二人も顔が真っ青で身動きが取れない…。ヤバイ…。ただマリー様だけどこ吹く風だ。



「ちょっと気になって、戻ってきたら何なの?これは…」


「嫌な予感がしたんですよね…」


「いっ、いや、違うんだ…キクチが…」


「僕も…ジーク様が…変な事言って…」


「おっ俺じゃない…あっアントレンが勝手に…」



 女の勘て怖いよ…。前も同じ様な事が、あったのに僕達は学習出来ていなかった…。言い訳も通じない…。



「じゃあサヨナラ…」


「来世でお会いしましょう…」


「やっやめて…」


「許して…」


「ごっごめんなさい…」


「「許しません!」」


「「「ギャー!」」」



 その日の絶叫は、リトール中に響いたらしい…。



※※※



 しこたま躾られた僕達は、三人でコンビニに買い出しさせられたよ。また二人を交えて飲みなおすらしい…。いつもなら喜んで着いてくる二人も、かなり沈んでたよ…。



「私の事を変に言ったら、こうなるってわかってるのに…成長しないものね…」


「私まで…そういう扱いにされるなんて、驚きです!店長だって三十歳過ぎてるじゃないですか!」


「申し訳無い…」



 説教が終わらない…。勘弁してくれよ…。



「そうは、言っても…俺もお前達の心配をしてるんだぞ?」


「ジーク様のはお節介です!私達は自分で決めるんです!」


「ナナセの言う通りよ…変に詮索されたくないわ」



 ジーク様も勇気あるなあ。反論してるよ…。アントレンなんて、さっきからお酌しかしてなのに…。



「わかったー!」


「おっ、急にどうした?マリー」


「マリー様?」



 いきなりマリー様がテレビを離れ、こっちに来る。



「お父様!私もここに住みます!」


「「「「「えっ?」」」」」


「マリー、いきなりどうした…」


「私が恋のキューピッドになるよ!」


「マリー様、何を言って…」



 マリー様が、変な事を言い出す。



「私が皆の恋のアドバイスをする!」


「マリーにそんな事…」


「出来るよ!アニメで恋愛マスターになったの!」


「馬鹿な事を…」


「どうせ向こうにいても…そこまでやる事無いし、こっちで出来る事も多いしね!」



 マリー様が、話をどんどん進めていく。



「キクチさん!私がここに住んでも良い!?」


「どっどうしたの、いきなり…」


「何?私の事、嫌いなの?」


「いっいえ、全然…」


「なら、好きって事ね!じゃあ問題無し!」


「マリー様、いくら店長でも男性ですし…一つ屋根の下ってのは…」


「ナナセさんの信頼する店長は、そこまで変態なの?」


「そんな事は無いですけど…」


「何かあったら、アントレンも守ってくれるよね?」


「それは当たり前だけどな…」


「なら問題無し!部屋も余ってるみたいだしね。家賃もお小遣いから出すから!」


「そんなのは要らないけど…」



 あれ?いつの間にか、リトールに滞在する事は決定してない?どこに住むかが、問題になってるけど…。



「ジーク様…良いんですか…?」


「…ちょっと困るが…社会勉強という事で暫く…お願いしても良いか…?」


「ディーテ様達には…」


「かなり怒られるだろうな…土下座は確定だ…」


「お父様!お母様には、私がお手紙書くから大丈夫!」


「キクチくん…良いの…?」


「さあ…?わからないよ…仕方無いとしか言えない…」


「こういう時のマリーは、テコでも動かないからな…」



 僕達の恋愛成就の為に居座るの?そんな事ってある?でもマリー様は頭が良いからな…。他にも何かあるかもね…。



「この国では、平民だから様付けは止めてね!」


「じゃあマリーちゃんて私は呼ぼうかな…」


「僕もそうするよ…よろしくねマリーちゃん」



 そんな話をしていると、マリー様はマジックバッグを取り出し、更に中から荷物を出し始める…。それを見た僕達は驚愕する…。まさかベッドや本棚が出てくるとは、全く予想してない…。



「マリーまさか…」


「嘘でしょ…?」


「最初からそのつもりだったの…?」



 沢山の服や家財道具を並べ、部屋作りを始めるマリー様。最初から、ここに移住する気だったのか…。



「たまたま準備してただけ!たまたまね!たまたまだよ!」


「「「「「嘘付け!」」」」」



 という事で、新しい住人が一人増えた。また騒がしい日々が始まるよ…。



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