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異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
131/136

オースリー王国ジークとマリー、成長と再会


 青空教室をスタートしてから、三週間が経った。皆の壁も無くなり、スムーズに進行している。勉強の他にも、絵を描いたり、工作をしたり、料理をしたり、遊んだりと、中々充実している。そして何をやらせても、皆の飲み込みが早い。国語に関しては、字も覚えちゃったし、ほぼする事が無い。美容学校でもそうだったが、この世界の人の学習能力は高過ぎる。意識や気合いで、どうにかなるレベルでは無いと思う。



「じゃあ、お昼休憩ね。皆で準備してね~」


「「「「「はーい!」」」」」



 ナナセさんの声で、皆が一斉に昼食の準備に入る。てきぱきと片付け、配膳をしていく。



「もうすぐ教えれなくなりそうです…絵なんかは、もう私より上手な子も多いですよ…」


「覚えが良すぎるからね…僕も不安だよ」


「この調子なら、あっという間に中学生レベルになりそうね…料理もすぐに出来る様になりそうだし」


「美容の事以外は中々難しいね…取り合えず、理科も教えてみようか…そうすれば実験もあるしね…」



 今後の予定なんかを考えていると、そこに見覚えのある人達がやって来た。オースリー王国から…。



「ジーク様…それにマリー様も!」


「久し振りだな!皆!」


「こんにちは!キクチさん!ナナセさん!マイさん!」


「久し振りですね!ジーク様、マリー様!何かマリー様は大きくなったみたい!」


「お久し振りです…でもナナセの言う通り、マリー様も大きくなって…大人の女性みたい…」


「私ももう、十三歳ですよ!大人です!」



 久々の再会に感動する僕達。でもマリー様ばかりに注目が集まり、ジーク様は不満そうだけど。



「今日は、どうしたんですか?ディーテ様や他の方は?」


「皆には内緒で来た。ザドー王国に用事があったから、そのついでに髪でも切って貰おうと思ってな。護衛を撒くのに一苦労だ」


「後でディーテ様に怒られますよ…でもマリー様は何で…」


「マリーは国を出る時に、何かを察したらしくてな…勝手に着いてきてな…ここに来るのもバレてたよ…ディーテはお土産でも買ってごまかすさ…」


「お父様は顔に出てました。ウキウキしてたから、絶対何かあると思ったの!」



 マリー様もやるね。雰囲気だけじゃなく、色々と成長したんだな…。



「お店に行ったら、お前達がいなくてな…で、人に聞いたらここだと言われて、それで来てみたのさ」


「そうなんですか…」


「折角だから、一緒にご飯食べてって下さい!」


「何ならマリー様も、午後の授業受けてみる?結構楽しいわよ」


「えーっ!受けたい!ねぇ、お父様良いでしょ!?」


「そうだな…折角だからそうしてくか!」


「終わったら、髪もカットしますよ。良かったら、ゆっくりしていって下さい」



 そうして僕達は皆で昼食を食べる。久々の話に盛り上がる。タハラシ様の時と同じ様に、近況も伝えたりしながら再会を楽しんだ。



※※※



 そして今日の午後は、算数で分数の計算だ。説明をあっという間に終わらせ、またチームに分けて勝負をする。かけっこ等も一緒に行い、体力作りも兼ねるスタイルでね。サバシオ君の時に盛り上がったので、そのまま授業に活かしているのだ。



「ゾウさんチーム正解です!得点は10点です!」


「やったー!」


「マリーちゃん、凄いね!初めてなのに!」


「皆が助けてくれるからだよ!さっ次行こー!」



 マリー様は持ち前のコミュニケーション能力で、すぐに皆と仲良くなった。ていうか、頭も良いし、運動神経も凄く良い…こりゃ凄いや。それに加えて美少女なんだから、こりゃ参ったよ。



「どうだ、マリーは凄いだろ」


「ええ、ジーク様…スーパーウーマンじゃ無いですか」


「将来が楽しみだよ。自分の娘だから言うわけじゃないが、多分歴代の王族で一番の天才じゃないかと思ってる。頭脳も武芸もな…今はまだどちらもルードが上だが、そのうち超えるだろうな。俺も追い抜かれるだろう」


「それは凄い…ルード様も災難で…」


「ふふっ、まぁルードも努力してるからな。真面目さだけなら、遥かにルードが上だ。王という意味でも、ルードの方が圧倒的に相応しいしな」



 それは何となくわかる気がする。ルード様は人の為に尽くせる素晴らしい人だし、常に客観視も出来るタイプだと思う。上に立つにはピッタリだろう。



※※※



「マリーちゃんバイバイ!また来てね!」


「うん!またねー!」



 無事に授業も終わり、解散する。マリー様はあっという間に人気者になり、皆から別れを惜しまれた。美貌と性格が良いから、皆の虜になったよ。冷静なサバシオ君も、いきなりプロポーズしたくらいだよ…。まぁ、適当に断られてたけど…。



「じゃあカットしますか!」


「ああ、頼む」


「私は今日ナナセさんに切って貰おーっと!」


「ありがとー!」



 そして僕達は久々に、二人のカットをする。二人を最近カットしてたのは、オーパイさんかミナラ-さん、もしくは美容学校を卒業した侍女に切って貰ってたらしい。



※※※



「ちゃんと切って貰ってたんですね…」


「わかるのか?」


「触れば、丁寧に切られてるのがわかります…カットラインをチェックしてみても、上手に切られてます…僕達の教えた通りに…」



 カットする前に二人の髪をチェックすると、皆の努力が良く伝わってくる。皆頑張ってるんだなぁ…。凄く嬉しいよ。そして僕達は、二人のお気に入りのヘアスタイルにする。ジーク様はアシンメトリーなカットに、ウィービングでカラーを入れていく。マリー様は前髪パッツンの、ボブスタイルに切られていた。



「やっぱり、キクチ達はレベルが違うな…」


「いやいや、皆も上手くなってますから…」


「キクチさん、私もお父様と同じ気持ちです!皆も上手だけど、やっぱりパラレルの人達の方が、シャンプーやカット…とにかく一つ上の実力です!」


「マリー様!ありがとー!私も嬉しいよー!」



 そう言われると、嬉しいのは確かだよね。それに負けるつもりも無いしね。ただ、ナナセさんはマリー様になれなれし過ぎない?抱き締めちゃってるし…。



「どうだ、武闘大会は終わってしまったが、美容コンテストだけでも見に来ないか?」


「行きたい気持ちもあるんですけど…まだここを離れて良いかどうか…」


「そうか…」



 昼食の時も言われていた…。行きたいけど、リトールが国交を断ったのもあるし、少し行きづらいんだよね…。そんな話をしていると…。



「おっ!ジークじゃないか!マリーもか!」


「アントレン!久し振りだな!」


「アントレン!元気だった!?ていうか絶対元気だ!」



 仕事から帰ってきたアントレンと、久々の再会を喜ぶ二人。ていうか知らなかったんだ…アントレンの優先順位低くない?そして更に人が入ってくる…。



「アントレンさんの知り合い?リトールの人じゃないよね」


「身なりが良いけど、アントレンの知り合いにしては整い過ぎてるな…」


「ははっ、こいつらは俺の元主君さ。オースリー王国の王様と王女様だ」


「「えっ!?」」


「ジーク、この二人は俺と一緒に騎士団を作ろうとしてる、エレーカシとワーンズだ」



 アントレン様と一緒に来たのは、エレーカシさんとワーンズさん。いきなりの王族訪問に驚いている。



「驚かせてすまんな、今日はお忍びなんだ。ただの平民とでも思ってくれ」


「私もただのマリーちゃんです!」



 それは無理がある気がする…。知らなければそれで良いかもだけど、知ってしまったらそうはいかない…。



※※※



 ジーク様達はパラレルで一泊する事もあり、結局ストムさんや他のリトール首脳陣も合わせて、夕食を取る事になった。軽い会談てとこかな?



「挨拶も出来るし、丁度良いさ。いつか国交するつもりだしな」


「そうですね。それくらいで話が終わればですけど…」


「まあ、何か聞かれれば答えるさ…変に隠す事も無いしな。今日一日で思う事も沢山あったからな…」


「聞かれなければ?」


「それは俺の胸の内さ…駆け引きは国交をする上で大事だろう?」


「そうですけど…」



 何となく嫌な予感もするな…。変な事にならなければ良いけれど…。



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