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異世界美容室  作者: きゆたく
一年目、異世界王国飛翔篇
13/136

美容室の二人、美容室オースリー城開店


 王様達をカットする為に通された部屋を見て、僕達はかなり驚かされた。



「まさか、これはシャンプー台!?」


「カット椅子もありますよ、店長!」



 その部屋はまるで、美容室なのだ。鏡面もあるし、良く見たらドライヤーの様な物もある。



「どうだ。中々の物だろう」


「あなた方を驚かせたかっのよ。試してみて下さいな」



 王様と王妃様が、得意気に言う。言われるがままチェックすると、カット椅子はペダル式で上下するし回転もする。シャンプー台の椅子もしっかりスライド式になっていて、シャンプーボウルはしっかり排水できるようにされているようだ。驚くべきはドライヤーとシャワーノズルだ。まずドライヤーは風量調節はできないが、髪を乾かすのには問題ない。シャワーノズルも温度調節はできないが、お湯がしっかり出てくるし、問題ない。そして一番関心したのは、この二つがコードレスになっているところだ。



「キクチどうだ。俺の作った魔道具は」



 後ろから声を掛けられ振り向くと、そこに立っていたのは鍛冶ギルドのマスター、ディンドンさんだった。



「ディンドンさん!いらしてたんですか!ていうか何故ここに?」


「依頼されたからだよ。そこのワガママ夫妻にな」



 ディンドンさんが、やれやれといった顔をしている。王様夫妻に無理を言われたのだろう。



「俺とオヒオヒが無理言ってな」


「ジーク!今はもうディーテですわ!」


「ジーク?ディーテ?なんの事だ?」



 それにしても、まさかディンドンさんがいるとは思わなかった。どうやらディンドンさんが、僕が教えてあげた知識や渡した資料を元に色々と研究していることを知り、お願いする事にしたらしい。それと同時に開発費の援助と、王都の学者達も協力を行ったそうだ。



「いつのまに…けど良く考えると、最近は来る度に目付きがギラギラしてると思ってました」


「私もです!シャワーノズルを見せたりしたし」


「こっそり学者も、店に行かせてたのよ」



 いつのまにスパイ活動みたいなことまで…。しかしまだ電気が継続的に使える状態にはできないらしく、結果的に魔石と魔方陣を組み込んだ魔道具になってしまうらしい。そりゃいきなり発電所は作れないから当然だ。



「魔石と魔方陣のバランス、素材や軽さ、構造と色々苦労したぜ」


「すごいですね店長!しかもコードレスだし」


「本当にね!」


「俺達に電気供給し続ける装置はまだまだ作れねぇし、電池も当然無理だ。だがら電力を魔力に置き換えて何とか作った。学者様に感謝だ」


「でもこれはこれで素晴らしいと思いますけどね」


「ヘアアイロンは間に合わなかったけどな」



 そんな魔道具議論をした後、国名等が変わったことに驚きながらディンドンさんは帰っていった。今後、魔道具は完成度を高め、僕の確認を取ったら売り出す事になる。まずはサロンの街からだ。販売はマリベルさんの雑貨屋にお願いする事になるだろう。王都の鍛冶ギルドも頑張って欲しいものだ。



※※※



「これで俺はジークフリートとして、完成したのだ…素晴らしい…」


「ジーク様、それはアシンメトリーというスタイルです。あえてバランスを崩しました」


「スタイリングバッチリですね!さすが店長!」


「これがワックス…国宝にする!」



 希望通り、まだ誰もしていない髪形にした。右サイドを短めで、左サイドに動きを付けたスタイルにしたら、最高の評価を頂いた。王子は王様と同じヘアスタイルにしたかったのだが、王様が許さなかったのでサッパリとしたショートに。まだ14才なのであまり冒険はしなかった。10才の王女には年齢にピッタリのパッツン前髪&ボブにした。



「私かわいい!何かキラキラしてる!」


「僕も全然違う…カッコ良くなった!」



 とても喜んで頂いた。王様と王妃様も満足気にしている。侍女達も「かわいい~」なんて夢中になっている。シャンプー台やドライヤーの使い心地も悪くなく、皆さん大変喜んで頂けた。王城美容室は凄く良い場所だった。因みにワックスは消耗品なので国宝にはならなかった…。



※※※



「キクチよもう一度話をさせてくれないか」


「はい。構いませんが?」



 王様は少し真面目な雰囲気で、そう言った。そして先程の謁見の場よりも、遥かに小さいこじんまりした部屋で話す事に。参加者は王様と王妃様、宰相のヤッカム様、インペリアルガード隊長のタハラシ様、銀翼の騎士団団長アントレン様、そこに僕とナナセさんを入れた合計七人。先程までと違い、明らかに重い空気になってきた。そして机を囲んで皆が席についた後、一呼吸置いてから真剣な眼差しで王様が話し出す…。



「キクチとナナセよ、お前達は何者だ…」



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