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異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
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※リトールのエレーカシ、再会と誓い※


 とうとうこの日がやって来た。僕には特別な日…。とうとう妻ミスレンと会える。



「何か…緊張するな…」


「良いじゃない…羨ましいわ。私だってもう三十よ?なのに独り身でさ…」


「ストムさんは…元王女ですし…知っている人はそうそう付き合おうとは…」


「それはそうだけどさ…この砂漠に閉じ込められていたとはいえ、寂しいものよ…」


「まぁ、これからですよ…新しい出会いもありますから…」


「そうだと良いわね…」



 ストムさんはしょうがないよ…。これからに期待だね。ミスレンはどうなってるかな…。お互い歳も取った。でも楽しみだ。



「ワーンズ達と一緒に来るんでしょ?」


「ええ、それにワーンズも奥さんや子供と一緒に、移住する様です。他にも何家族か来るみたいですね」


「良く反対されないわね…」


「ワーンズも忙しかった見たいですから、やっと家族とゆっくり出来る様で、家族皆で楽しみにしてるみたいですよ」


「確かにそうかもね…うちの家族もそうだし…」


「これから楽しくなりますよ」



 そして僕達は到着を待つ。折角だから、キクチさんの所に行って、ヘアスタイルでもセットして貰おうかな…。



※※※



「エレーカシさん、到着したみたいですよ!」


「ナナセ隊長、本当ですか!?」


「外も騒がしいし、出迎えも誰かがしてるみたいです!」



 パラレルで待っていた僕は、慌てて待ちの入り口に向かう。何故かパラレルにいたスタッフと、お客まで一緒にね。



「エレーカシ!ここだ!」


「ワーンズ!ご苦労様!」


「私は良いさ、そっちに挨拶してやれ」



 ワーンズが指す方に目を向けると、見覚えのある女性がいた…。そうミスレンだ…。



「エレーカシ…久し振りね…」


「ああ…本当にね…」



 簡単な言葉を交わす…。そして…。



「エレーカシッ!」


「ミスレン!」



 僕達は駆け寄り、抱き締めあった…。気が付いたら、涙も流れていた…。



「本当に良く無事で…」


「ああ…十年も待たせてごめん…」


「ふふっ…お互いにおじさんと、おばさんになっちゃったわね」


「関係無いさ…変わらないよ何もね…これからはずっと一緒さ…」


「ええ…そうね…お爺さんお婆さんになってもね…」



 本当に君は変わらないよ…。僕にとってはずっとあの頃のままだ。そして抱き締めていると、ミスレンが不安そうに声を出す…。



「エレーカシ…感動の再会の場で言うのもなんだけど…」


「どうしたの?」


「あの…この周りの人達は…」


「あっ、あれっ?」



 気が付いたら、キクチさん達に囲まれていた…。何故か皆は、僕達より号泣している…。そして近い…。



「皆さん…どうしました…?」


「エレーカシさん…良かっだでずねえぇぇぇ…」


「私も涙がどまりまぜん~うれじいでずぅぅ…」



 いつの間に…。ずっと見られていたのか…。その後は、謎の胴上げまでされたよ…。かなり恥ずかしかったけど、まぁこんな日だから良いさ。他の再会を祝ってる人達も、順番に胴上げされてるしね。



※※※



 あっという間に、パーティーが始まっていた。キクチさんが、例の如くバーベキューを用意していたんだ。再会の日に合わせて、毎回するつもりなのか?



「ターチルド…ミスレンを支えてくれていたみたいで、本当にありがとう」


「良いのよ。友達じゃない。それに私は新しい男を、紹介しようとしたりしたからね…感謝される必要も無いわ」



 ターチルドはワーンズの奥さんだ。彼女もミスレンを支えてくれた、大事な友達だ。




「それは仕方無いさ…誰も生きてるって思ってなかったから…こっちの人も向こうが滅んだと思ってたしね…文句は言えないさ…実際に新しい家族がいる奴もいるしね…」


「でも…ミスレンは一度も頷かなかった…あなただけを望んでた…」


「そう…」


「あなたもそうだったんでしょ?」


「ふふっ。まあね」



 そこに料理を取りにいっていた、ミスレンとワーンズが戻ってくる。



「凄いわね。どの料理も美味しいし、中々選べないわ」


「私も会談以来、また食べるのを楽しみにしていた」


「キクチさん達に感謝だね」


「それで、神妙な顔をして何の話をしていたの?」


「私がエレーカシに、ミスレンと早く子供作りなさいって言ってたのよ」


「えっ…そんな事…」



 いきなりそんな事言わないでよ…。それにそんな事言ってないし…。恥ずかしい…。でも僕達は子供が出来る前に、離ればなれになったから、わからないでもないけど。



「私達も、もう四十よ?大変だわ…あなた達の子供だってもう十三だっけ?無理よ…」


「関係無いわ。やってみなさいよ。可能性なら充分あるわ」


「おいおい…ここでそんな話止めろよ…ワーンズも何か言ってくれよ…」


「はっはっは、良いじゃないか。この国の新しい希望になるかもだぞ」



 皆、お酒も入り饒舌になってるよ。でも子供は欲しかったからな、考えてみるのも良いかもね。



※※※



 宴も終わり、ミスレンと僕の家に帰る。前は集落の長だったから、未だに一番大きい家に住んでいる。どんどん新しい家も建設してるから、どうなるかわからないけどね。



「この家でずっと一人だったの?寂しくは無かった?」


「いや、いつも皆が来ていたからね…まだ我慢は出来たよ…」


「ストム様も…皆も本当に大変だったのよね…」


「ああ…大変だったよ…死んだ者も沢山いる…でも皆で協力して何とかやってこれた…」


「これからはそんな思いはさせないわ…」


「僕もだよ…」



 そして僕達は十年振りに、一緒に眠る事が出来た。本当に心から安心して、心地よく…。これからもミスレンを大事にしていきたい。このリトールと共に新しい人生を歩む…。そう改めて誓った、一日だった。




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