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異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
123/136

※オースリー王国の国王ジーク、知って気付く※


「ジーク様…ザドー王国より、使節団がやって来ました…急ではありますが謁見を求めてきてます…」


「珍しいな…国交はまだ先かと思ってたが…」



 向こうの大陸とも国交は始まったが、まだリリーシュ連合国だけだ。そこからドワッフルやザドー王国に、商品や情報が流れるのはわかる。だが連合国からもかなり南方にあるし、まだまだ先の話だと思っていた。伝令もそう思っていただろう。



「内容は何だ」


「それが、直接話したいと…それに…」


「どうした…何があった…」


「国王も自らいらしてます…」


「何っ?」


「最近、王を継いだそうで…挨拶も兼ねたいそうです」



 国王だと?いきなりだな…。



「ヤッカム、タハラシ…どう思う」


「ちょっと、わからんな…取り合えず会ってみるべきではないか?」


「私もそう思います。教国の事とかではないでしょうか…」


「その可能性もあるな…会ってみるか…」



 そして俺は、ザドー王国の王に会う事にした。どんな話を聞かされる事やら…。最近はキクチ達もいなくなって、刺激も少ないから楽しみだ。



※※※



「俺が国王のジークフリート・ヴァン・オースリーだ」


「僕はザドー王国の国王ハリーケン・ザドーです。今日は忙しい中すいません。若輩者ですが、よろしくお願いします」



 随分と腰が低いな…。歳は俺より幾分か下だろうか。



「国王になったばかりらしいが…」


「はい。父が急に隠居すると言いまして…仕方無く」


「何かあったのか…」


「実はそれも含めて、色々とお話をさせて頂きたく、そして協力もお願いしたいと思ってます…」



 いきなり怪しいだろ…。面倒事か?



「皆さんも砂障壁はご存じだと思いますが、実は砂障壁を突破しました…」


「何っ?…あの天災をか…」


「ジーク…信じられません…あれは誰かに突破出来る様な代物では…」


「皆さんが信じられないのは、良くわかります。僕達も信じられませんでしたから」


「どういう事だ…」


「こっちからじゃないんです…あの中から帰還してきたんです…トンネルを掘って、地下を通って…」


「あの中で…人が生きていたのか…」


「砂を通ってか…」



 こちらは全員絶句だ。砂障壁の中に生存者がいるなんて、誰も思ってなかった…。中は砂嵐は起きてなかったのか…。信じられん…。



「十年耐えてました。それこそかなり過酷な状況の中で…」


「それはそうだろう…砂障壁の内側はどうなってたんだ…」


「砂障壁をある程度進むと、普通の砂漠だったみたいです。それでも砂嵐や砂塵はあった様ですけど…何とか皆で協力して過ごしていた様です。多くの死者も出ていましたが…」


「そうか…それでも良かった…生存者がいたのだからな…それで、その報告だけでは無いだろう…用件は何だ」


「実は…砂障壁が人の手によって起こされた物だったんです。意図的に、古代遺産を起動させたんです…」


「まさか…あれを…そんな事をする奴が…」



 そんな事が出来たとはな。意図的に災害を起こす事が出来る奴がいるのか…。かなりの極悪人だぞ…。



「ジーク…わかりました…ここに来た理由…」


「ヤッカム、言ってみろ」


「教皇の仕業なんでしょう…それで調査の協力を求めにきたと…」


「ヤッカム様、その通りです。恥ずかしい話ですが、ザドー王国内に犯人はいましたが、協力者として教皇もいたんです。どうやら教国に古代遺産を起動する鍵があるらしく…それを探し出して破壊するか封印しようかと…」


「なるほどな…俺達が教国を潰したしな…ダウタウーン公国と協力して粛清も行ったし、俺達が一番情報を持ってる訳か…」


「はい。砂障壁から出てきた人達に、アドバイスも受けて助けを求める事を薦められました。連合国に聞くより先に聞けと…向こうからの突破口も、その人達に大分助けられましてね…僕達が何も出来なかった分、本当に感謝ですよ」



 凄く出来る奴がいたんだな…。それでも十年掛かった訳だ…。



「ちょっと待って下さい…」


「どうした、タハラシ…」


「その人は十年、砂障壁の中にいたんですよね…なのに何故、こちらの情勢を知ってるんですか?」


「確かに…変だな…どういう事だ」


「えっと…気付きませんでした…喜び浮かれていたせいで…でもオースリー王国出身と言ってましたよ…」


「名前は…」


「えっと…目立ちたく無いと言って…名乗りは…」



 これは、隠してるな…。目立ちたく無いのは、本当かもしれんがな…。こいつは知っているな…。



「まぁ、良いさ…そのうちわかるだろう」


「そうですね、じゃあ詳しい話をさせて下さい」



 それから俺達は、どういう状況からどうやって打破したかを、詳しく聞いた。とても面白く、刺激的な話だったよ。だが色々と、何か隠してるのはわかる。本当の事しか言ってないが、本当の事で言ってない事がある。俺にはそう見える。



※※※



 そして謁見を終え、ザドー王国の奴等は帰っていった。しっかり協力はしてやるさ。色々と興味深いからな。



「ヤッカムどう思う…」


「怪しいですね…特に活躍している連中が…胡散臭過ぎます…」


「俺もそう思う…でも本人達も、そんなに隠す気は無いんじゃないか?目立ちたく無いってのは、冗談とも取れる…」


「私もそう思います…ジーク様、その王都で暴れた武人てどう思います…オースリー王国出身ですよ?」



 俺達は気付いていた。



「こっちの事情に詳しく…」


「無鉄砲に王都に乗り込み…」


「無礼に謁見を求めて…」


「衛兵といざこざを起こし…」


「それを全員打ち倒す…」


「私はこれが出来る馬鹿を…一人しか知りません…」


「私もだタハラシ…大馬鹿は一人だな…」


「俺もだ…超馬鹿な奴を一人知っている…」


「「「アントレンだ!」」」



 おそらくどういう理由かわからんが、きっとアントレンが砂障壁の中にいたんだ。中で協力して突破してきたんだな…。もしかしたら、キクチ達もいるかもしれないな…。呪いを解除したり、結界を作ったり、国を興したり、色々とアントレンだけじゃ無理だろうからな…。これは楽しくなってきたぞ!



「色々と調べなきゃだな…」


「ザドー王国に、転移陣の設置も要請しましょう」


「というか、もう行きたいな…」



 忙しくなるぞこれは…。あいつらがいなくなって、半年くらいか…。戻ってくるには早すぎる気もするが、関係無いな。取り合えずディーテや、子供達にも教えてやるか。あいつらとまた会えるかもってな!




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