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異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
122/136

新しい仲間、新しい生き方


 あれから僕達はリトールに戻り、数日が経った。そして僕達は普通の生活に…まだ戻れなかった…。



「これがシャンプーされるという事か…自分でするのとは、大違いだな…」


「あなた、私の髪型も素敵でしょ?」


「私も強くなった気がします…素晴らしい」



 今日は元王様夫妻と、ワーンズ様がパラレルに来店された。昨日はクジラン様とタクラ様も来られた…。ザドー王国に多少商品は輸入されてはいるが、カット等まだまだオシャレは広がっていない。この人達は、目一杯楽しんでいるのだ。



「もうザドー王国は良いんですか?」


「ハーリケンがいるから、大丈夫だろう。それに後は教国を調べるくらいだ。もう無い国や人を、そこまで調べるつもりもない。リリーシュ連合国も形になったばかりだからな、今更揉めるつもりも無いさ」


「なら良いんですけど…ワーンズ様も軍は…」


「教国も無くなっていて、比較的平和ですから。もう若い者に任せます。その代わり、ここは守りますよ。私やエレーカシでね。衰えない為に、今度アントレンさんに手合わせでも頼んでみますよ」


「充分やれそうですけどね…」



 これからは、この街に協力してくれる。皆さんは私財を投じて、貨幣まで流通させようとしている。十年間使っていなかった貨幣も合わせて、ここを発展させるつもりだ。引っ越してくる人も増えそうだしね。



「新しい家族と、昔の家族が上手く行けば良いがな…」


「大丈夫よ…お互い理解出来るわ…どういう形になろうともね…」


「エレーカシさんも奥さんも、ずっと一人で耐えてたんですもんね…凄いと思いましたよ…二人で笑顔で抱き合ってる姿を見て、僕達皆で泣きましたよ…」


「エレーカシはこっちの仲間が、ミスレンは私や私の妻がいたからな…色んな奴が支えてたさ…だから新しい家族が出来てても、支えてくれた人に感謝はしても、恨みはしないさ…」


「そうですよね…ワーンズ様も…エレーカシさんが生きてて良かったですね…」


「エレーカシだけじゃないさ、ストム様も、他の皆も…本当に嬉しいよ…そうですよね、陛下…」


「当たり前だ…この十年、忘れた事は無かったからな…」


「私もよ…話を聞いてから、嬉しくて泣いてばかりよ…涙脆くなったもんね…」



 本当に皆も嬉しかったんだろうな…。



「それとワーンズ…もう王では無いからな…陛下は止めろ。それにリトールに身分は無い。民主主義だろ?だったら、ただのタイーフンで良いさ…これからは少し歳上の友とでも思ってくれ」


「ふふっ、わかりました。そうします…タイーフン…ところで、少し歳上じゃなく…大分歳上の様な気も…」


「ぐっ…そんな事は無い…」


「それは私にも言ってるの?ワーンズ…私をお婆さん扱いする気…?身分は同じでも、譲れない事はあるわよ…?」


「モーンスン様、いえ…決してそんなつもりじゃ無く…軽い冗談のつもりで…」



 女性に歳の話は、禁句だよね。マイさんで良くわかってるからね、僕は。皆の仕上げも終わりそうな中、気になってた事を聞く。



「シオカララ様達は、どうなりそうですか?」


「…そうだな。キクチは知っておくべきだしな…まだ決まって無いだろうが、叔父上が処刑される事は確実だ。自分の知識欲の為だけに、あそこまでしていては擁護は出来ない…」


「そうですよね…」


「ゴビとクサーヤは、叔父上の言ってた通り…魔道具で操られていた様だ。だが操られていない時もあったからな…処刑はされないが、生涯幽閉されるだろう…己の欲も多少はあった様だからな…あいつらの側近達も同じ様な刑か、労働刑で落ち着くだろう…」


「あの…お子さんは…」


「…あいつは…サバシオは…罪に問わない事にした…話をしたら…親の罪を、まだ小さいながらも理解していた…そして、自分の死すら覚悟した…俺の子として、帝王学を学んでたからな…頭が良いんだ、あいつは…色々と苦しそうだった…」



 きっとタイーフン様も、苦しいんだろうな…。この間まで息子だと思っていたし、愛情も持っているだろう。お互いにどうする事も出来ないんだろうな。



「それで近々、平民に落とされるだろう。おそらく、孤児院に入るか…どこかの使用人にでもなるだろう…」


「そうですか…」


「仕方無いさ…親はそれだけの事をした…一族全員処刑されてもおかしくないからな…生きているだけ良かったのだ…」



 確かに、こういう世界ならそれが当たり前だろう。教国もそうだったしな…。だけど、ここで僕は提案をしてみる。



「…だったら…この街によべませんか?出来るならですけど…今なら働き口も多いし、学べる事も多いですよ…」


「確かにそうかもしれんが…」


「この国に入ったら、ザドー王国の法律も多少は無視しちゃえば…何だったら、タイーフン様が…預かっては…?」


「そっ、そんな事が許されるのか…?」


「あなた、良いじゃない!老人二人より、楽しくなるわよ!」


「陛下!…良い案ですよ!お二人もサバシオ様とは仲が良かったですしね!」


「モーンスン…ワーンズ…よし!確認だけでも取っておくか!」



 決定だな。せめて未来ある若者だけでも、可能性は無いとね。これで終わりかな?そして調べ終われば、砂障壁も止められる。古代遺産を僕は見てないけど、アントレン様が言うには簡単に壊せるらしい。それで止まるかは不安だけど、古い魔方陣と魔石を上手く使った魔道具らしい。今、学者達が調べてもいるが、壊すしか方法は無いそうだ。あんな物は無くなった方が良い。勿体無いなんていう人もいるだろうが、それは認めたくはない。



※※※



 そして、意気揚々と三人は帰っていった。エレーカシさんに達に作らせた、新しい住居にね。ただ、ワーンズ様は伝令として、王都に向かったけど。サバシオ様の交渉に向かったんだろうな。



「これで終わりですか?」


「ナナセさん…どうだろうね…」


「活躍出来なかったから、少し寂しいですよ!」


「ナナセ…平和で良いじゃない」


「マイさんのいう通りだよ。でもまた何か起きるかもね」


「じゃあ、楽しみにしてます!」



 トラブルを楽しまないでよ…。大変なんだからさ…。ナナセさんとマイさんも、タイーフン様やモーンスン様達ともう仲良くなってたし、オースリー王国の頃を思い出したよ。そう考えると、トラブルは起きそうだよなぁ。どうなる事やら…。



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