表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界美容室  作者: きゆたく
四年目、異世界砂漠開拓編
120/136

ザドー王国首脳陣、リトールと共に


 会談は終わらない…。まだ肝心な話は、聞いていないし、見えてこない。



「そもそも…教国とは、どういう関係なんですか?教国はあまり他国と、交流していないと聞いていたので…」


「それが…私にも良くわからい…クサーヤ様の父…シオカララ様に頼まれ行動していましたので…」


「私もです…父には何も聞いていないんです…たまに指示がきて、それに従うだけなので…」



 何が目的だったんだろう…。シオカララ様に、話を聞かなくてはいけなそうだ。



「突然…死んだ事にしてくれとお願いされ…その後で教国の方を紹介されました…クサーヤ様への気持ちを知っていたのか…それも盾にされました…後は指示通りに…でもどうして従ってしまったのか…」


「私も突然…色々と試すから協力しろと…何故か断る事も出来ず…気が付いたら側妃になっていました…もしかしたら母さえ生きていればこんな事には…」


「ううむ…いまいちわからないな…」


「そうですね…やはり国家転覆は、本来の目的では無いのでは…どっちにしろ、そのシオカララ様という方に話を聞かなくてはですね」


「そうだな。ワーンズ、すぐに叔父上を拘束してこい。ゴビ、クサーヤ、居場所はわかるのか?」


「おそらく…私の実家近くのカンツメの森にいるかと…詳しい場所はわかりませんが、そこで身を隠していると聞いてます…」


「陛下、すぐに向かいます」


「ああ、頼む。それとこの二人も拘束し、城に幽閉しておけ。また尋問する」


「はっ!」



 ワーンズ様達が、ここを出ていく。そしてゴビ様とクサーヤ様も、連れていかれる。これで一段落だ。



「教国は無くなってしまったからな…教皇含め悪事に手を染めてた者は、殆ど粛清されてしまったらしいからな。そっちの情報は期待出来ないか…」


「それなら、オースリー王国かダウタウーン公国を頼ってみろ。その二国が中心に教国を粛清したからな、その辺も調べてあるかもしれない。今は教国もリリーシュ連合国になって、まだまとまってはいないだろう。調べるなら、先に二国に聞いた方が早いはずだ。その手がかりから、連合国に聞けば良いさ」


「お前は…」


「俺はオースリー王国の出身者だ。『銀翼の騎士団』の元団長さ」


「まさか…アントレン…『天下雷神』のアントレンかっ!」


「おう。良く知っているな」


「最近では…教国も無くなったからな…こちらにも漫画や情報が入ってくるさ…どうりでうちの騎士達が敵わないはずだ…」


「王都で暴れて悪かったな」


「いや、今となってはどうでも良い…それにしても何でこんな所に…」


「まあ、色々とあるのさ。それと二国に聞く時は、俺の名は伏せてくれ。今更目立ちたくも無いしな」



 まさかのアントレン様の正体に、皆は驚いている様だ。こっちにも少しづつ、文化が入ってきたんだなぁ。良い事だ。



※※※



 その後も話は続いた。今までの経緯も含めてね。古代遺産もダウンジングして、探す事も決まった。試しにやってみたら、方角的にさっき話に出ていた、シオカララ様がいるであろう方角だった。



「そして、それで砂障壁を止めると…」


「全てがはっきりしたらですけどね。取り合えず、リトールの独立を認めて下さい。下手な介入はしないと」


「この十年何も出来なかったしな…俺は構わんが…クジランやタクラはどう思う…」


「私も構いません。その砂漠化の停止は、こちらにも影響が出ています。最近オアシスの水量や緑も増えてきたと、報告が上がってました。まさかそちらでそんな事があったとは、思っていませんでしたよ。なら恩人の願いは応えるべきでしょう」


「アタシも同感だね。正直、オリハルコンは惜しいけどね。でもこのザドー王国への貢献は、歴史上でも最大級さ。文句は言えないよ。誰だって納得するよ」



 よし…。これでリトールは、何とかなりそうだ。後は上手く、交流をしていけば良いさ。



「ちょっと待って…あなた、そうするとストムは他国の代表になるんでしょ?折角戻ってきてくれたのに…」


「確かにそうだな…」


「お母様…別にいつでも会えますから!隣街とでも思って下さい!」


「そんな事を言っても…十年振りなのに…いきなりお別れみたいで…」



 確かにそうだ。家族は十年離れていた。ましてや元王女…代表には無理があったかもな…。



「うん…うん…そうだな、そうしよう!わかった!俺は決めた!」


「あなた…どうするの?」


「俺は王を降りる。ハーリケン、今からお前が王だ」


「えっ?僕が?父上…急に何を…」


「それで俺もリトールに住む!エレーカシ、場所を用意してくれ!何ならストムの家で良い!」


「あなた!ナイスアイデアよ!そうしましょう!私も行くわ!」


「父上!母上まで!急過ぎます!クジランも何か言ってくれ!」


「陛下…流石にそれは大変でしょう。新しい国なのですから…宰相の私の知識も必要になるでしょう、それなら私も行きます」


「クジランまで何を!タクラ何とか…」


「アタシも歳だしね、新しい国で隠居も良いね…まだ住人も少ないだろう?発展に協力するよ。ザドー王国は、次世代の若者達に任せるさ!」


「タクラ…嘘だろ…皆どうしたんだよ…」



 衝撃だよ…。ザドー王国の首脳陣が、国を乗り換える…。そんな事あるの?この世界の人の行動力を、改めて見せ付けられたよ…。まともなのはハーリケン様だけなの?他の文官や護衛も、気のせいか羨ましそうにしてるし…。



「これは大変な事になりましたね…」


「エレーカシさん…大変過ぎますよ…」


「ああなった陛下達は、誰も止められません。この大陸で唯一、教国と対等に戦ってきた人達ですから。豪胆なんですよ。きっとワーンズも来るって言いますよ。もしかしたら離れていた他の家族も多く来ますね。僕の妻もまだ会ってはいませんが、ワーンズが伝えてくれたようで、もう準備しているそうです」


「来るって言うか、狂ってるよ…ストムさんも大丈夫?変な部下も出来そうだけど…」


「ふふっ、大変でしょうけど、嬉しくもあります。十年振りの対面で、ここまで決まるなんて…きっと私達の為でもあるんですよ…リトールの皆もザドー王国に戻るより、今の街の発展を優先しそうだし」


「それはそうだけどね…はぁ皆はリトールに来ちゃうのか…」



 結局、一連の問題が解決次第、タイーフン様達は移住する事になった。でも王はさっきの発表で決定したらしい。ハーリケン様が、頭を抱えているけどね。戴冠式も何も無いし。



※※※



 そして僕は一応準備していた、バーベキューを用意する。結界のおかげで、無事に出来る。シオカララ様拘束の報告が来るまでは、憩いの時間だ。それが今日なのか、明日なのか、その先なのかはわからないが。



「これは美味い!焼きそばは国宝だな!」


「外で食べるのも新鮮ね」


「向こうの大陸は、楽しそうだな」


「このタレも中々…」


「僕も取り合えず、自棄食いだ!」



 皆は楽しそうにしてくれる。首脳陣や他の側近、騎士の方もこちらのメンバーと再会を祝っている。ストムさんや、エレーカシさんは人気者だ。因みにタイーフン様、食べ物は国宝になりません。ジーク様を思い出したよ…。そして改めてタイーフン様と話す。



「キクチ…ありがとう…改めて礼を言わせてくれ」


「いえ、こちらこそ色々と、無理を言ったりして…」


「良いんだ。良い判断だと思うぞ。おかげでこれからが、楽しみでしょうがない」


「ははっ、僕は不安ですけどね」


「まぁ、そう言うな。十年はそれほど重かったんだ。死んだと思っていた者達が、生きていた…かなり苦労したはずだ…死んだ者も多くいるだろう…そしてこれから国中に、発表もする。喜ぶ者…中には悲しむ者もいるだろう…でも皆、お前達に感謝しない奴はいない。どんな事でも認められるさ」


「ありがとうございます…」


「でも、今日みたいにあんなに皆が、カッコ付けていたら少し興醒めするかもな!あえてボロボロの格好をさせた方が良いかもな!」


「はははっ!そうですね。でも今日の為に、皆が張り切ったんです。褒めて上げて下さいよ!」


「はっはっは!そうだな!わかってるさ。でも良く見ればわかる。以前より痩せた顔や体…荒れた肌…無理してるのが、痛々しく思える程にな…」


「本当に…その通りですね…」



 わかってくれている。この十年を。リトールにいる皆にも、早く伝えて上げたい。そして僕達はこのまま、ここで一夜を過ごす事になった。ストムさんは家族と同じテントに、エレーカシさんも騎士仲間と共に過ごし、他の皆もそれぞれの知り合いや、気の合う者同志で過ごしていった。今後の可能性に胸を膨らませながら…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ